September 23, 2022

岩湧山で地図読み実習と自然観察

登山で最も多い遭難の態様は道迷いである。原因は地図読みをしっかり行っていないところにある。地図読みによって常に自分のいる位置をしっかり把握していれば、決して道迷いを起こすことはない。それは野外で研究を行う研究者や学生にとってもあてはまることである。私は野外実習という実験科目を担当しているが、その授業の中で、野外研究でのリスク管理を目的に、地図読み実習を行っている。

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事前に、2万5千分の1地形図で、自分の位置がわかるポイントをチェックしておく。地形図には磁北線と、経線・緯線を引いておき、自分のいる位置がピンポイントでわかるようにしてある。ざっと以下にあげるようなところがポイントになる。

・道の分岐や方向の変わるところ
・登りや下りが変わるところ→コル・ピーク
・傾斜が変わるところ
・尾根の太さが変わるところ、分岐するところ
・沢の二股、その方向
・地形が変わるところ→尾根・谷・トラバース
・送電線や小屋などの人造物とその方角

このポイントを現場で歩きながら確認してもらう。9月12日に下見、15日に本番の実習を行った。生物学の実習ということもあり、地図読みだけでなく、自然観察も行った。

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道の方向が変わる所で、自分の位置を確認する。

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地形図では山頂手前の小ピークだが、広場になっており、ベンチがあり、休憩するならば、こちらの方が山頂よりよい。山頂ではコンパスを使って、山座同定も行った。

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下山へ。15時台の帰りのバスがないため、14時台のバスに間に合わせようとすると、結構、時間的にタイトだった。

以下は、岩湧山で出会った動植物たち。

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アオキ

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ヤマジノホトトギス

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雨が多いので、キノコも結構出ていた。

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ニガクリタケ

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タマゴタケ

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テングタケの仲間?

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登山口のトイレにいたウマオイ

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ミヤマクワガタのメス

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イタチ類?の糞

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シマヘビ

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サナエトンボの仲間

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ハバヤマボクチ

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マルバハギとトラマルハナバチ

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クマバチ

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キキョウ

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キリギリス

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シラヤマギク

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September 10, 2019

兵庫県香美町の美方高原自然の家にて野外実習

珍しく仕事の話しです。

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2週間前に遡りますが、兵庫県香美町の美方高原自然の家にて4日間の野外実習を行ってきました。野外実習は私が勤務する大学の実験科目であり、生態学と分類学についての実習を野外にて行う。

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たとえば、昆虫を採集して、

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種名を同定して、標本を作製する。

植物の葉を餌として利用する昆虫がいるが、一般的なチョウやガの幼虫のように葉の上で端から葉を食べていく昆虫はよく知られている。そのような昆虫のグループをチューワーとよぶ。

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それに対して、メス成虫が産卵した刺激によって葉の細胞をコブ状に異常増殖させて、その中に幼虫が住み、コブ状になった組織を食べるものがいる。そのような昆虫のグループを虫えい(虫こぶ)とよぶ。上はクズの葉にタマバエの仲間がつくった虫えい。

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また、葉に潜入して、葉肉を食べながら進んでいく昆虫のグループをマイナーという。幼虫が葉に潜入してから脱出するまでの通り道が、葉にしっかりと残り、その模様から「エカキムシ」や「ジカキムシ」とも呼ばれている。上の写真はヌルデの葉にできたマイナー。

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上の写真はクズの葉にできたマイナーを開けて、顕微鏡撮影したもの。ガかタマムシか分類群までは同定できなかったが、幼虫が1匹いた。このような感じで、昆虫による植物の葉の利用様式の違いについて観察してもらった。

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植物の分類実習もあり。上はヤマブドウ。

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マタタビ。

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ツリフネソウ。

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実習中には地図読みを中心とした登山実習も行った。野外調査は登山と同様に道迷いによる遭難のリスクがあるため、地図読みは重要。

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毎日雨が降り、天気に恵まれない実習期間であったが、雨が止んでいる時間をうまく利用でき、予定していた八割方の実習ができたのでヨシとします。昨年は台風直撃で、実習期間が1日短くなったこともありました。

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September 10, 2018

地図読み実習にて高丸山登山

先週は公務にて兵庫県香美町の美方高原自然の家へ。ここで3泊4日の生態学と分類学についての実習を行なう予定だったが、台風21号の通過により実習スタートを1日遅らせて、2泊3日の短縮日程にて行った。

その実習の中で、地図読み実習を行った。地図読みは登山だけでなく野外調査を行ううえでも身につけておくべき技術。

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目的地は高丸山。ハチ高原スキー場のゲレンデ内にあるピークである。

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美方高原からは谷地形に入り。

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谷地形の登りは、つづら折りの急登。

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尾根に出て、尾根と谷の違いを学ぶ。

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途中、いいブナ林があり。

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尾根と尾根の合流地点を目指す。自分の位置を知るポイントごとに地図で確認してもらう。

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尾根上にある東屋で休憩。

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目的地の高丸山。左にある小ピークは斜面をトラバースする。

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トラバースは藪が少々うるさい。

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高丸山手前の稜線鞍部に出て、鉢伏山方面。

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高丸山は鉢伏山とは反対方向にあるすぐのピーク。

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兵庫県最高峰の氷ノ山。

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展望のよい高丸山に到着。

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山頂からは鞍部である小代越えに下る。ここでコンパスの使い方についても指導。

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さらに北方向にある林道へ下る。

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来た道を振り返る。あとは林道を美方高原まで下る。

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美しい赤色のマユミの実。

3時間ほどのお手軽なハイキングでしたが、地図読みは理解できたかな?

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September 09, 2016

兵庫県香美町の美方高原自然の家で野外実習

たまには本業の方の記録をアップします。

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毎年9月第1週に、兵庫県香美町の美方高原自然の家にて、生物科学課程在籍の大学3年生を対象に野外実習を行っています。生態学・分類学の実習が中心ですが、野外活動でのリスク管理として地図読みなどの実習も行います。

信濃俣河内での沢登りでの滑落事故による臀部の負傷が癒えていない状態でしたが、なんとか4日間の実習を終えることができました。

以下は実習中に出会った生物たち。

Beetle

コアオハナムグリ

Hanaabu

ハナアブの仲間

Hirata

ヒラタアブの仲間

Moth

ホウジャクというガの仲間。ハチドリのようにホバリングしながら花の蜜を吸います。

Swallowtail

カラスアゲハ

Tora

トラマルハナバチのワーカー

Tora2

トラマルハナバチのオス。以上は花に来た昆虫たちでした。

次は、葉を利用する昆虫たち。

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マイナー(ハモグリ虫)が入ったヌルデの葉。主にガや甲虫の幼虫が葉の内部組織を食べ進んでいくことで、葉にお絵かきしたようになります。

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ゴール(虫こぶ)ができたヤマブドウの葉。これはタマバエが産卵したことで、葉の組織が異常増殖してコブ状になったもの。昆虫の幼虫がこのコブ状組織の中を食べます。昆虫による植物細胞の操作です。

Gall

こちらはヌルデの葉にアブラムシが作ったゴール。この中でアブラムシが単為生殖で増えていきます。

Worm

ススメガの幼虫。これは普通に葉を囓って食べるタイプ。

3番目は鳴く虫たち。

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キリギリスのメス

Kantan

産卵中のカンタン。コオロギの仲間ですが、植物の茎に産卵します。オスはルルルルルと女性的な美しい鳴き声です。

最後は番外編。

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アキアカネ

Mamushi

ネットでわかりにくいですが、マムシ。

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登山実習での地図読み。

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鉢伏山に登りました。

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氷ノ山もクッキリ。

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天体観測。土星の輪と流星群が見えました。

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最後の晩は打ち上げを兼ねてバーベキュー。お酒の飲み方をしっかり学びましょう。

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最後は自由課題研究の発表会。

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多少のトラブルはありましたが、無事4日間の実習が終了しました。

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September 16, 2011

比良 蛇谷ヶ峰

私が担当する学科には野外実習という実験科目がある。
その科目名の通り、野外で生態学と分類学の実習を行うのである。
場所は滋賀県高島市の朽木いきものふれあいの里で、2泊3日で行う。
もう1週間以上経ってしまいましたが、今年度も9月6日〜8日の日程で行ってきました。

この実習の期間中に必ず登るのが、宿泊地のすぐ裏にある蛇谷ヶ峰(902m)です
比良全山縦走路の最も北側にある山です。

いつも実習2日目の早朝に希望する学生と登ってきます。
今回も4名の学生と朝5時出発で登ってきました。

登山口からはしばらく林道を進み、それから尾根に取り付きますが、結構急です。

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途中で日の出を迎えました。

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出発してから1時間半で山頂に到着。

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下りは1時間もかからずに7時半前に宿舎に戻りました。

それから朝食を食べて、学生は実習を行う。
ちなみに実習風景はこんな感じです。

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実習3日目の午前中の空き時間を利用して、今度は私1人で蛇谷ヶ峰をトレランスタイルで往復してきました。
45分で登頂でした。下りは30分かかっていないかな。合計90分ほどでした。

実習ではスラックラインも。

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今年は台風後の実習だったので、ヒルにやられた学生が多かった。

P9080587 スミナガシ

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December 02, 2010

研究室忘年会のご案内

業務連絡です。

研究室の忘年会の日時・場所が決まりました。

研究室忘年会
日時:12月21日(火) PM7時〜
場所:かいゆう亭(南海高野線白鷺駅から徒歩5分)
    二次会は中百舌鳥周辺で考えています。

研究室出身者および研究室に多少でも関わりのある人であれば参加できます。
予約の都合上、参加希望者は12月16日(木)までにご連絡下さい。
二次会からの参加も歓迎です。

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October 30, 2010

金剛山で学生実習

昨日は午後から学生実習のため金剛山へ行きました。
実習目的の1つはフィールドワークで事故を起こさないための読図訓練。
2つめの目的が、フィールドで興味深い自然現象を見つけられる観察力を養うです。

3人ずつで1パーティーとして、計3パーティーで、各パーティーごとに選んだルートで山頂を目指す。
山頂まで行く間に地図とコンパスで現在地の確認を何回か行い、時間と場所を地図に記録する。
また、山頂に着くまでの間に1つ興味深い自然現象を見つけるというもの。

私は女子学生2名を含むパーティーに同行し、妙見谷から山頂を目指しました。
ちなみに妙見谷のルートは地図には載っていないバリエーションです。
沢装備は必要ないが、沢登りの入門的なルートです。
滝もあります。
巻き道はしっかりしていて、補助ロープも付いていますので問題はないですが、ちょっと靴が濡れるのは我慢しなければなりません。

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沢では、枝沢との分岐や沢が大きく方向を変えるところが現在地確認のポイントになります。

事故もなく全員無事に山頂に集合することができました。

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September 01, 2010

比良 蛇谷ヶ峰

8月30日〜9月1日の日程で、学科の3回生と滋賀県高島市朽木に来ていました。
目的は野外実習。
昨日は蛇谷ヶ峰へ早朝登山してきました。
朽木いきものふれあいの里から1時間15分で山頂着。
残念ながらガスのために琵琶湖は見えませんでしたが、山頂の爽快さを学生とともに味わいました。
翌日は学生たちは筋肉痛でした。

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August 09, 2010

前期終了

今日で担当科目の試験が終わり、ようやく前期終了です。
これから採点です。

大学では2単位の講義は90分15回の講義と1回の試験を行うことを、強く文科省から指導され、10年前と比べても夏休みがだいぶ少なくなっています。

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April 07, 2010

新年度

雪山から帰ってくると、季節の進行の速さに驚きます。
桜は満開だし、金剛山にはスミレも咲いていた。

4月になり、職場は新年度となっていました。
大学には新入生が入ってきた。
研究室にも新メンバーの卒研生が2名加わりました。
昨日はその新歓。

来週からは講義も始まる。
そう言えば、今年度から准教授になっていました。

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