September 26, 2023

南アルプス 信濃俣河内 3日目:稜線への詰めと長い下山(1700m幕営地〜茶臼岳〜畑薙第1ダム)

信濃俣河内の3日目の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

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いよいよ最終日である。この日は稜線への詰めと長い下山が待っている。長い1日となりそうだ。最終日の朝も焚火を熾すことから始まった。結局、全ての炊事は焚火で行い、ガスを使うことはなかった。

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ちょっと出発が遅れて、7時18分に出発となった。

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幕営地を出発してすぐに5m滝から始まる小滝の連瀑となる。この連瀑が魚止となっているようで。、連瀑の上ではイワナの魚影は見なかった。

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この滝のヘツリで釜にドボンしてしまう。朝からの水泳で、一気に目が覚めた。

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斜面では、オスジカが草を食んでいた。

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小滝はつづく。

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小滝の連瀑が終わると、正面に3段の15m滝が現れる。

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3段15m滝は左岸から巻く。

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巻きは容易であった。

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2000m二俣は左俣へ進む。

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2段10m滝が現れる。

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2段10m滝は右岸から高巻く。

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高巻きを終えると、今度は10m滝が待っていた。10m滝の高巻きは、滝の下が二俣になっているので、まずは左俣を少し登ってから、右へトラバースしていく。

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10m滝の高巻きを終えて、沢に戻ると、一気に源流部の様相となる。

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そのまま詰めていくと、

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源頭となる。

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流れがなくなったら、いよいよ最後の詰めに入る。シカ道を利用して登るが、斜度があって息が上がる。キツい登りが続く。

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最後はハイマツを少し漕いで、

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正午過ぎに、希望峰と仁田岳の間の稜線に出ることができた。残念ながら山々は雲に覆われて、展望はなかった。沢装備を解除したら、5時間以上と思われる長い下山が待っている。仁田岳を往復してきたと思われる軽装の女性登山者が、休憩中の我々の前を通って行った。

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希望峰を通過する。

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最後の詰めで疲れ切った重い足で茶臼岳へ登る。今回の最高地点であったので、Yukaと記念撮影をする。山頂には登山者が1人休んでいた。

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茶臼岳からは下りメインとなる。茶臼小屋への分岐を過ぎる。シルバーウィークでありながらも、南アルプスの最深部ということもあり、すれ違う登山者は少なく、たいへん静かな下山であった。

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茶臼小屋を通過する。ここで1泊したいところだが、要予約らしい。テン場でくつろぐ登山者を横に見ながら、下降を続ける。

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樹林帯に入ると、急下降が続く。下りは若者には勝てない。

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横窪沢小屋を過ぎ、危うい橋で横窪沢を対岸に渡る。

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ウソッコ沢非難小屋手前で、橋を渡る。沢には滝がかかる。ウソッコ沢避難小屋に着いた時には時刻は17時を過ぎていた。覚悟はしていたが、ヘッデン下山となることは間違いない。ヤレヤレ峠への登りに入ったところで、ヘッデンを点ける。ここからヤレヤレ峠までは、沢の遡行で疲れた足にはしんどい登りとなる。この登りで、私はヘトヘトである。若いYukaは余裕があるのか、ヒルに献血のサービスまでもしていた。誰も来ないと思っていたら、後ろからヘッデンの灯りが近づいてくる。

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その灯りは、我々がヤレヤレ峠に着いたところで追いついた。1人の男性で、格好的にトレイルランナーのようだったが、どうやらTJARコースの試走をしているようだ。私もトレイルランニングの経験はあるが、アキレス腱の故障があるので、もう山は走れない。大いに頑張ってほしいものである。

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ヤレヤレ峠からは下りになり、畑薙大吊橋までは15分ほどだった。前真っ暗の中で畑薙大吊橋を渡ったが、幸いなことに、下は暗くて何も見えなかったので、高度感は感じずに済んだ。沼平駐車場に着いたのは20時であった。

できればその日のうちに汗を流しかったが、温泉はすでに営業時刻を過ぎていたので入れなかった。疲労で長距離の運転も厳しい。コンビニで夕食とビールを買って、道の駅なかかわね茶茗舘で車中泊をすることにした。7年前の敗退の時も、ここで車中服した。なかなか暑くて寝付けなかったが、疲労もあり、朝方には寝入ってしまった。

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翌朝は、静岡県の磐田市にある朝5時から営業している磐田ななつぼしで汗を流した。朝風呂時間帯の入館料は500円で、土日祝日料金よりも150円安かったのは有り難かった。おかげでは気持ちよく帰路につけた。

久しぶりに2泊を要するハードな沢登りであったが、無事に遡行できたことで、7年前のリベンジができたという達成感は大いにあった。信濃俣河内は南アルプスの入門沢とはいえ、やはりアルプスの沢だけあり、沢のスケールは大きかった。徒渉、登攀、ヘツリ、巻き、ルーファイなどそこそこの総合力が要求された。私はもう還暦近い歳なので、これからはハード系よりもまったりした沢泊を楽しみたいが、いずれにしても体力の維持が課題だ。同行のワンゲル部前主将のYukaにとっては、初めてのアルプスでの沢登りだったこともあり、たいへん良い経験になったのではないかと思う。一方で、信濃俣河内で釣れたイワナがすべて白斑のある個体ばかりで、純系のヤマトイワナに会えなかったのは残念であった。ほとんどの個体はヤマトイワナとニッコウイワナのハイブリッドなのだろう。大峰の弥山川ではヤマトイワナ系統であるキリクチには出会ったことはあるが、南アルプスや木曽御嶽山など東海地方で太平洋に流入する河川では、まだ純系のヤマトイワナにはお目にかかったことがない。ヤマトイワナを探し求める沢旅もぜひ行ってみたい。

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南アルプス 信濃俣河内 2日目:核心部を越える(オリタチ沢出合〜第2ゴルジュ〜第3ゴルジュ〜西沢出合)

信濃俣河内の2日目の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

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5時に起床し、焚火を熾し、お湯を沸かす。若いYukaはなかなか起きてこない。Yukaが起きてきたところで、コーヒーを入れる。米は前日に多めに炊いておき、朝は残ったご飯をお茶漬けにしてしまうのが手っ取り早い。目の前の流れの中を泳ぐイワナを見ながらの朝食タイムだった。

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7時過ぎに幕営地をスタートする。この日は核心部である第2ゴルジュと第3ゴルジュを越える。若い山仲間がここから1日で稜線に抜けて下山したらしいが、トレランをしていた10年前の私ならまだしも、還暦近いこの歳では無理なことである。

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すぐに両岸が狭まり、ゴルジュの様相となる。いよいよ第2ゴルジュの始まりである。

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第2ゴルジュは第1ゴルジュよりも狭く、壁も高いため、険悪な様相で、恐怖すら感じる。

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すぐに水線通しの突破が難しい箇所が現れる。巻くならば、第2ゴルジュは全巻きとなってしまう。

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右の壁に残置スリングがかかっている。かなり悪そうだが、ここをロープを出して登るしかなさそうだ。ここのリードはYukaに任せる。Yukaが空荷で登って突破し、カムで支点を構築した。まずは Yukaのザックを上げて、それから私が確保されて登った。反対側にはクライムダウンでなんとか下りることができた。

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あとは、狭い廊下をほぼ水線通しに、ヘツったりなどして進むことができた。

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最後の出口の滝は、どう突破すべきか迷ったが、右側の水中にはスタンスがあり、ヘツって回り込むことができる。しかし滝右の岩を越えるにはスタンスがほしい。まずはYukaを岩の上へ押し上げて、上からYukaにスリングを下ろしてもらい、それを頼りに突破した。第2ゴルジュは険悪ではあったが、距離は短く、1時間15分ほどで突破できた。

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次は第3ゴルジュであるが、その前に待望の釣りタイムを設けた。テンカラ釣りにて最初に釣れたのは、外見的には白斑のあるニッコウイワナだった。入れ食いというほどではなかったが、25cm以上の良型ばかりがそこそこ釣れる。

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いきなり強い引きが。上がったのは、35cmの尺イワナだった。この個体も白斑はあるが、ヤマトイワナとニッコウイワナのハイブリッドだろうか。

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Yukaも調子よく釣っている。

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Yukaも尺イワナを釣り上げた。これもハイブリッドだろうが、ヤマトイワナらしさがある。

いつまでも釣っていると先に進めないので、1時間ほどで釣りタイムは終了とした。ここではまだ午前中ということもあり、全てリリースとした。

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しばらく進むと、両岸が狭まってきて、再びゴルジュの様相と化す、いよいよ第3ゴルジュへの突入である。

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水流の強そうな小滝が現れる。

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この小滝は、右の岩の間を倒木を潜りながら上に抜けた。

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深い釜をもつ小滝も右から越える。

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第2ゴルジュは距離が長い。

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正面に1条の大きい滝が現れたが、左からも、もう1条の滝があった。2条15mぐらいの滝であった。右岸のルンゼ上方にフィックスロープがあったので、そこから高巻くことにした。

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2条15m滝の高巻きは、フィックスロープのところから高度感のある嫌らしいトラバースになる。念のためロープを出して通過することにし、2条15m滝の落口に出る。

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続く2m滝とCS3m滝は左岸から高巻いたが、

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高く上がりすぎてしまい、

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2回の懸垂下降で沢に戻った。第3ゴルジュは第2ゴルジュほどの険悪さはなかったが、高巻きが嫌らしかった。

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その後もヘツりあり。

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7m滝は右から越える。

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第3ゴルジュも終了となり、その通過に3時間ほどを要した。

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西沢出合から夕食用の釣りタイムとする。

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すぐに泣尺サイズのイワナを釣り上げる。ヤマトイワナらしさはあったが、白斑はあるので、ニッコウイワナとのハイブリッドだろう。食べる分だけの4匹のイワナを釣り上げた。次は幕営地探しだ。

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西沢出合から少し進んだ標高1700m地点に幕営適地があったので、そこで2日目の行動を終えることにした。ツエルトを設営し、薪を集めたら、早速、焚火を始める。前日もそうだったが、薪は結構乾いているようで、すぐに火がついた。イワナは前日と同じく2匹は塩焼きに、もう2匹は刺身にし、残ったあらはあら汁とした。

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前日の残りの日本酒とジム・ビームが今宵のお酒であった。

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にわか雨に備えてタープも張ったが、結局雨は降らなかった。適度に酔いがまわったところで就寝とした。2日目の移動距離は7.6km、行動時間は8時間14分、累積標高差は519mだった。核心部の通過ということで、距離はあまり進めなかった。

南アルプス 信濃俣河内 3日目につづく

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南アルプス 信濃俣河内 1日目:7年前のリベンジ(畑薙第1ダム〜第1ゴルジュ〜オリタチ沢出合)

信濃俣河内は南アルプスの入門沢である。7年前にその遡行を計画したが、渓時に滑落して、お尻を岩に打ち付けて負傷した。それでも第1ゴルジュの手前までは行ったみたが、とてもそれ以上は進めずに敗退した。今回、その7年前の敗退のリベンジを果たしたが、信濃俣河内はさすがにアルプスの沢だけあり、スケールは大きく、徒渉、登攀、ヘツリ、巻き、ルーファイなど総合力が要求される沢だった。

【日程】2023年9月15日(金)〜17日(日)
【山域】南アルプス
【渓谷名】大井川水系 信濃俣河内
【メンバー】Yuka、マメゾウムシ
【天候】9/15 曇りのち晴れ、9/16 晴れ、9/17 晴れのち曇り
【コー スタイム】
9/15 沼平駐車場6:59〜林道信濃俣線入口7:19〜信濃俣大吊橋下降点7:52〜埋まった堰堤9:01〜アシ沢出合10:17〜三俣11:33-52〜オリタチ沢出合15:59〜1270m小屋跡16:05(泊)
9/16 1270m小屋跡7:14〜第2ゴルジュ入口7:31〜第2ゴルジュ終了8:46〜第3ゴルジュ入口10:46〜西沢出合14:17-32〜1700m15:28(泊)
9/17 1700m7:18〜2000m二俣9:09〜稜線12:08-50〜希望峰12:59〜茶臼岳13:47-14:08〜茶臼小屋14:30〜横窪沢小屋16:09-15〜ウソッコ沢避難小屋17:17-32〜ヤレヤレ峠18:37-43〜畑薙大吊橋19:11〜沼平駐車場20:04

信濃俣河内については、7年前に遡行を計画したことがある(2016年8月の記録)。その時は、入渓時に滑落して、お尻を岩に打ち付けて負傷した。それでも第1ゴルジュの手前までは行ったみたが、とてもそれ以上は進めずに敗退した。今回はその7年前のリベンジと、大井川水系ということで純系のヤマトイワナに出会うことも目的とした、愛弟子のワンゲル部前主将のYukaをパートナーにして、親子ほどの歳の差ペアで挑戦することにした。当初の天気予報では、午後はにわか雨の予報が出ていたが、そこは自分の晴れ男ぶりを信じることにした。

前日の18時に堺を発ち、新東名の島田金谷ICで高速道路を下りる。畑薙第1ダムまでは下道で80kmもある。畑薙第1ダムの沼平駐車場にはトイレがないので、車で1時間ほど手前にある道の駅奥大井音戯の郷で車中泊とした。車中泊といっても、翌朝は4時起床なので、3時間ほどの仮眠程度であった。

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6時を過ぎたぐらいに沼平駐車場に到着し、共同装備の振り分け、パッキングを行って、沼平駐車場をスタートできたのは7時であった。

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20分ほどダム湖沿いの車道を歩き、ダムを対岸に渡る。

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林道信濃俣線に入る。

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林道を30分ほど歩くと、吊橋へ下降する踏み跡があるので、そこを下る。

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吊橋は渡らずに、そのまま踏み跡を沢まで下る。7年前と同じく、ここには水流がなかった。

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7年前は水流が現れるまで結構歩いた気がするが、今回はすぐに水流が現れた。7年前の方が渇水だったのだろう。埋まった堰堤を越える。

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アシ沢出合を越える。下流部にこの辺りは結構水圧が強かったので、2人でスクラムを組んで徒渉を繰り返した。

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西河内沢出合を越える。三俣の手前で、幕営準備をしている釣人3人パーティーと会ったが、シルバーウィークの1日前の平日がスタートだったこともあり、沢の中では他には誰も会わなかった。後でわかったことだが、この時の釣人3人のうちの1人は、8年前に富士山の山頂でお会いし、一緒に小御岳流しをスキーで滑ったヂュンさんであった(2015年5月30日の記録)。

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廊下状を経て、7年前に撤退した地点である三俣に到着する。この三俣を越えると、いよいよ未知の領域である第1ゴルジュに入る。

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次第に両岸が狭まり、ゴルジュ状とんる。いよいよ第1ゴルジュへの突入だ。

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すぐに現れた深い釜をもつ2m滝は左岸を高巻くことにした。

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2m滝の巻きでのトラバースが嫌らしく、途中からロープを出して、最後は懸垂下降で沢に戻った。釜の右をへつるか、泳いで越えるのが正解だったようだ。この高巻きで、だいぶ時間を無駄にした。

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行ける限りは水線を進むことにする。

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大岩がある。

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ヘツリもあり。

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またヘツって。

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4m滝。

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登れなそうな滝は巻く。

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また滝を巻く。

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4m滝が現れる。

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4m滝は左を登る。

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第1ゴルジュをようやく抜ける。第1ゴルジュを抜けるのに4時間を費やした。

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オリタチ沢出合を越えると、右岸に半壊した小屋があり、幕営適地となっていた。時刻も16時を過ぎていたので、1日目はここで泊まることにする。ツエルトを設営し、薪を集めると、もう17時を過ぎていた。すでに暗くなりかけていたが、テンカラ竿をもって食糧調達へ行くことにした。

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最初は駄目かとも思ったが、何とか短時間で4匹のイワナを釣り上げた。暗くなるとイワナは毛鉤には反応しなくなるようで、暗い林冠の下では釣れず、釣れたのはまだ明るいオープンな場所だった。写真の一番上のイワナだけにはヤマトイワナらしさはあったが、基本的にどの個体も白斑のあるニッコウイワナの外見であった。大井川水系ということで、ヤマトイワナの純系を期待していたのだが、ほとんどの個体がニッコウイワナとヤマトイワナのハイブリッドなのだろう。これで夕食のおかずと酒のアテを確保でき、一安心ではあったが、ヤマトイワナの純系でなかったのは残念だった。

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イワナ2匹は焚火で塩焼きにする。薪は湿り気味とも思ったが、比較的すぐに火はついた。

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残りのイワナ2匹は刺身にし、残ったあらはあら汁にした。ザックには缶ビールを2本入れていたが、無理なパッキングで1本に穴が空いていた。防水袋の中にビールが溜まっていた。もったいないことをした。そんな訳で、ビールは1晩目で飲み干してしまった。塩焼きで残った骨はさらに焼き直して、日本酒の熱燗に入れて骨酒とした。

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適度に酔いがまわったところで就寝した。1日目の移動距離は17.2km、行動時間は9時間4分、累積標高差は560mだった。水平移動の長い1日目だった。

南アルプス 信濃俣河内 2日目につづく

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September 13, 2023

奥美濃石徹白のナメ天国:保川支流遡行〜岩巣越〜牧川下降

奥美濃の石徹白にある登山道のないマイナーピークである岩巣越(いわすごし)1286.9mに、沢遡行・沢下降にて行ってみた。遡行下降に使った沢には、美しいナメ天国が存在したのだった。

【日程】2023年9月10日(日)
【山域】奥美濃
【渓谷名】九頭竜川水系 保川支流(無名沢)・牧川
【メンバー】ワンゲル部前主将、マメゾウムシ(OMUNWV部)
【天候】晴れ
【コー スタイム】駐車地点(保川林道・朝日添川林道分岐付近)7:50〜保川林道入渓地点9:00-9:40〜保川支流出合9:57〜支流遡行〜岩巣越12:05〜牧川下降〜林道合流14:03〜駐車地点15:08

私が顧問をしているワンダーフォーゲル部の山小屋があることから、奥美濃の石徹白を沢やスキーのホームにしているが、遡行したことのない沢はまだある。今回は、ワンゲル部前主将が久しぶり沢に行きたいというので、1日目は釣り目的にて、2日目は沢登りにて、新規の沢へ行ってみることにした。1日目の記録についてはすでに報告済みだが、2日目に選んだ沢登りルートが、登山道のないマイナーピークである岩巣越(いわすごし)1286.9mを踏む、保川の支流と牧川の周回ルートである。噂によると、奥美濃の沢上谷と言ってもよいぐらいに美しいナメがあるらしい。

7時過ぎに山小屋を出発する。車高の低い私の車では、林道の奥まで入るのは怖いので、保川林道と朝日添川林道が分岐する橋の近くに車を駐めた。車高の高い車であれば、牧川出合近くの橋にある駐車スペースも利用できる。

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7時50分に駐車地点を出発し、保川林道を1時間10分ほど歩くと、大きめの沢が林道を横切る。この沢の橋の上で、沢装備を装着する。

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橋の左岸上流側から橋の下へ下りる。

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沢を下降していくと、すぐに堰堤状の2m滝が現れる。この滝はクライムダウンする。

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さらに下降していくと、保川の本流に出る。

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さらに保川本流を下っていくと、左岸に支流からの5mの滝がかかる。この支流が遡行する沢であるが、名前はついていないようだ。この5m滝はシャワーを浴びながら直登する。

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5m滝の上はゴルジュ状となり、8m滝がかかる。ここもシャワーを浴びながら直登する。渇水でも結構シャワーを浴びるのに、水量が多い時期だと、かなり苦労しそうな箇所である。結構滑っているので、ラバーソールでは少々怖い。

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その上の2m滝は落口付近がイヤらしかったので、右岸から巻いたが、直登の方が安全だったかもしれない。

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3m滝は右寄りを登り、ゴルジュを抜ける。いきなり出だしからシャワーを浴びるゴルジュで緊張感を強いられた。

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階段状4m滝。

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2m滝。

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8m滝を直登で超える。

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ナメもある。

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多段の滝15mと奥に幅広10m滝。

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幅広10m滝は右岸から巻いた。

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ナメが美しい。

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2m滝を登る。

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15m滝が現れる。直登できそうではあったが、無理せずに右岸から巻いた。これが最後の滝であった。

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源頭部はナメであった。

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最後の詰めはルンゼに入り、少々の藪を漕いで、

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岩巣越1286.9mの3等三角点を見つけることができた。

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三角点からは藪漕ぎをしながら西方向へ進み、

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それほど苦労することなく沢に出た。

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最初のうちは、水流がいったん無くなったり、藪が濃かったりとショボいが、下降していくにつれて、次第に枝沢が合流して沢らしくなっていった。

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ナメも現れる。ナメ滝4mは、ヌメリがあってラバーソールでは結構滑るので、草木を掴みながら下る。

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目の前に三角形の大きな岩が現れる。この三角岩より下流部は水量が増える。

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ハング4m滝が現れて、右岸から巻き下りる。

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凄いナメが現れる。規模は沢上谷より小さいが、充分に奥美濃の沢上谷と言ってよい立派で美しいナメである。

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まさにナメ天国である。

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ナメをヌメリに注意しながら下降していくと、橋らしきものが現れるが、これが林道合流地点であった。

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あとは沢沿いの林道を下降していく。沢を覗くと、まだナメは続いているようだった。林道は保川林道に合流し、駐車地点に戻ることができた。

奥美濃の沢は林道や登山道を使えないところが多く、帰りは沢下降をせざるを得ないが、別な沢を下降する場合は、基本的にササが濃いので藪漕ぎにかなり苦労する。このルートは、藪漕ぎがさほどキツくないという点では、なかなか魅力的なルートと言えるだろう。

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September 05, 2023

夏風邪明けのリハビリで、2週連続のホームの沢:金剛山 高天谷左俣

夏風邪明けのリハビリ山行にて、前週に引き続き、金剛山の高天谷を再び遡行してきた。

【日程】2023年9月3日(日)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 高天谷左俣
【メンバー】マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】高天彦神社駐車場12:06〜高天滝下12:17〜10m大滝下12:34~二俣13:39~郵便道(920m地点)14:05-16~高天彦神社駐車場15:07

1週間前に3ヶ月ぶりに金剛山の高天谷を遡行したが、遡行後は咳き込む日々を送る。発熱はなかったが、新型コロナウイルスに感染の可能性はある。市販の検査キットで検査してみたところ、幸いなことに陰性だった。どうやら夏風邪のようだ。週末にはだいぶ良くなってきたので、山に行ってみたくなった。やはりこの時期は沢しか考えられない。2週連続にはなるが、お手軽な高天谷にリハビリ沢登りに行くことにした。

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11時半過ぎに高天彦神社の駐車場に着いたが、ほぼ満車状態だった。たまたま出ていく車があったので、そこになんとか駐車できた。沢装備を調えて、正午過ぎに駐車場を出発する。林道では道しるべともよばれるハンミョウに道案内された。

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高天滝6mより入渓する。水量は先週と変わっていない。高天滝は右にあるハシゴで巻く。

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沢沿いにはミズヒキが咲いていた。

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3m滝と背後の堰堤は、まとめて右岸より巻く。

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このあたりは、トノサマガエルが多い。

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10m滝は、いつも通りに左岸から高巻く。体が重いが、特に咳き込むこともなく歩ける。息は上がりやすいので、ゆっくり進む。

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連瀑帯に入ったら、滝は全て直登する。5m滝は右寄りに登る。

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体は重いが、それ以外には問題はない。

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トイ状5m滝をシャワーを浴びながら登る。

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倒木で埋まった二俣を通過する。

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ラスボスの左俣大滝が現れる。今日は右寄りを登ってみた。

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最後の4m滝を越える。

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郵便道に出て、遡行終了。1週間前と沢の状況は変わらなかった。体調不良で体は重かったが、タイムは先週と比べて7分長かっただけだった。まったりと楽しんだ高天谷だった。

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August 29, 2023

金剛山 高天谷左俣:3ヶ月ぶりのホームの沢

週末の日曜日は、3ヶ月ぶりにホームの沢である高天谷を遡行してきた。気温が高い日だったが、沢の中は涼しく、滝の登攀でシャワーを浴びるのも苦ではなく、お手軽で快適な沢登りを楽しめた1日だった。

【日程】2023年8月27日(日)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 高天谷左俣
【メンバー】マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】高天彦神社駐車場11:14~高天滝下11:24~10m大滝下11:38~二俣12:37~郵便道(920m地点)13:03-19~高天彦神社駐車場14:07

中央アルプスの細尾沢を遡行してから早くも2週間が経つ。山行の間隔が開くと、体力が落ちるし勘も鈍る。そこで3ヶ月ぶりにホームの沢である金剛山の高天谷に行くことにした。

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高天谷は半日コースのお手軽な沢である。登山口である奈良県御所市の高天彦神社に着いたのは、11時過ぎという遅めの時刻であった。こんな遅い時刻に沢へ入る人は他にはいないだろうと思っていたら、男女2名のパーティーから「これから入渓します」と声をかけられた。話を聞くと、高天谷は初めてらしい。こちらもソロなので、他に入渓者がいるのは、どちらかというと有り難い。準備をしていると、沢ソックスが片方しかないではないか。どうやらソックスの片方は家に忘れてきてしまったらしい。仕方なく、裸足で沢靴を履くことにする。結果として、履き心地は悪かったが、夏の低山の沢では、沢用のソックスがなくても特に問題はなかった。

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高天谷が初めてである男女2名のパーティーと入渓地点である高天滝まで一緒に進む。巻く滝は最初の3つだけで、あとの滝はすべて直登できることを伝える。高天滝6mはかって直登したことはあるが、右にあるハシゴを使って巻くのが無難である。入渓の準備をする2人組と別れて、先行することにする。

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高天滝を巻いて、沢に下りると、その先はゴルジュ状となる。水量的には、先日に近畿地方を通過した台風、もしくはここ最近の毎日のように起こる雷雨によって、一時の渇水より平水に戻ったか、やや増水気味の感じである。遡行にはちょうどよいレベルではあるが。

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イワタバコの花が咲いていた。

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ゴルジュの奥には3m滝とその背後の堰堤がある。まとめて右岸から巻く。前日かこの日の早い時間帯に結構遡行者がいたようで、踏み跡がしっかり残っていた。

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堰堤の上は上部が開け、奥にはかっての10m大滝がある。現在は沢床が土砂で埋まってしまい、8mぐらいの高さである。いつも通りに左岸から高巻くが、強引に直登している踏み跡がある。右から回り込む感じで登れば、多少は楽に巻ける。

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大滝の上は、両岸からの崩壊がある箇所の通過となる。3ヶ月前よりも倒木が少なく、すっきりした感じがする。増水で流されたのだろうか。高天谷は植林の中を流れる谷で、周囲の土砂が崩れやすいこともあり、大雨があると、ちょくちょく倒木や土砂の量と位置が変わる。

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崩壊地を抜けると、流れは樹林の中の入って行き連瀑帯となる。その連瀑帯の入口に3ヶ月前にはなかった大岩があった。8月に近畿地方を通過した台風による増水で流されてきたのだろうか。

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小滝を超えていくと、倒木のかかる5m滝が現れる.この滝は右寄りを直登する。

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谷はゴルジュ状となり、ゴルジュの中の滝を難なく直登で超えていく。3ヶ月前は結構岩にヌメリがついていたが、今回は増水で流されたのか、全くヌメリはなく、ラバーソールで快適に進める。

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再び谷はゴルジュ状となる。

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ゴルジュの奥には5mトイ状滝がある。水線に沿って、シャワーを浴びながら直登する。暑い日なので、シャワーを浴びるのは苦ではなく、むしろ爽やかで気持ちがよいぐらいだった。

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壊れた堰堤を通過する前に2m滝があるのだが、3ヶ月前にはなかった倒木が横たわっている。

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倒木の枝をかき分けながら進むと、2m滝が現れた。倒木が2m滝のカーテンのようになっている。

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壊れた堰堤を越えて、二俣の手前に新たに崩壊した箇所があった。この箇所より下流部では、土砂が沢床を覆っていた。

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倒木で埋まった二俣に到着する。

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左俣へ進むと、すぐに2段20mの大滝が現れる。1段目は左側を直登し、2段目は右側を直登する。高さがあるので、初心者がいる時はロープを出す所である。

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4m滝を越える。

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最後の4m滝を越えると、

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植林の中の緩やかな流れになる。登山道に出る踏み跡があるところに倒木があったので、仕方なく、そこから直登気味に上がることにする。

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登山道(通称 郵便道)に出て、遡行終了である。沢装備を解除して、郵便道を下山する。高天谷方向を見下ろすと、男女2人組のパーティーが登ってきていた。どうやら順調に進めたようで一安心である。

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下山途中からの奈良盆地の眺め。

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登山道脇に、郵便道ということで、ミニチュアの郵便ポストが置いてあった。3ヶ月前はなかった気がするが。

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高天彦神社の駐車場に無事下山する。

3ヶ月ぶりのホームの高天谷で、お手軽に快適に真夏の沢登りが楽しめた1日だった。

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August 22, 2023

中央アルプス 正沢川 細尾沢:今シーズン初の沢泊

8/11-12の1泊2日にて、中央アルプスの細尾沢を、山仲間2名と遡行してきた。細尾沢は、アルプスの沢だけあり、スケールが大きく、明るく美しい沢であったが、下山の長さには閉口した。

【日程】2023年8月11日(金)〜12日(土)
【山域】中央アルプス
【渓谷名】木曽川水系 正沢川 細尾沢
【メンバー】どうちゃん、ばるちゃん、マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】
8/11 コガラ登山口7:36〜正沢川吊り橋8:05-12〜玉の窪沢との二俣10:50〜正沢との二俣12:28〜細尾大滝下13:17-30〜細尾大滝高巻き終了14:14-25〜2160m二俣幕営地15:02
8/12 幕営地6:24〜森林限界大岩(2530m付近)8:14〜木曽駒ヶ岳10:13-46-〜玉乃窪山荘11:20-27〜八合目水場12:14-26〜七合目避難小屋13:18-27〜力水14:44-56〜幸ノ川徒渉地点15:25-35〜コガラ登山口16:03

8/11-12の1泊2日にて、中央アルプスの細尾沢を、山仲間2名と遡行してきた。奥美濃のワンゲル部山小屋滞在6日間からの継続になるので、前日に木曽まで150kmの下道ドライブを行った。登山口である木曽駒高原に到着したときには、すでに周囲は暗くなっていた。登山口は木曽駒冷水公園という無料のキャンプ場になっていて、お盆休みということもあり、多くのキャンパーで賑わっていた。周囲はテントと人だらけで、車を駐める場所がわからず、まさにカオス状態だった。結局、道の駅日義木曽駒高原まで戻って車中泊した。

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翌朝に再びキャンプ場となっている登山口まで上がり、一番上部になんとか駐める場所を確保できた。隣には沢に入ると思われる2人組が出発の準備をしていた。我々も準備をし、7時半に駐車場を出発した。2日間の天気は良さそうで、増水の心配はまずはなさそうだ。

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福島Bコース・茶臼山分岐には、親切なことに沢登りコースの案内がある。この先で釣り人とすれ違う。魚は釣れるのだろうか。一応、テンカラ竿はザックに忍ばせてある。

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正沢川吊り橋に出る。かなり簡易的な吊り橋であるが、元々の吊り橋は増水で流されてしまったようだ。ここから入渓となる。先行の単独の遡行者が準備をしていた。ちょうど上流から下ってきたパーティーがいたが、沢の往復もしくは周回だろうか。

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入渓した正沢川は、渇水の時期にもかかわらず、水量が多く、大岩だらけだった。最初は、釣りをしながらとも考えたが、とても重荷を担いで竿を持ちながらでは進めない。

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天気は実によいが、単調な沢歩きが続く。

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玉の窪沢との二俣は左俣へ進む。

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源流の雰囲気が出てきた。試しにテンカラ竿を振ってみたが、生命反応はなく、魚影も見ることはなかった。入渓時に釣り人とすれ違ったが、そのせいか、それとも魚がいないのかはわからない。

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本沢との二俣は左俣を進み、いよいよ細尾沢へ入る。単独の人が高台でマッタリしていた。ここまでちょこっと釣りをしたりはしたが、4時間もの単調な河原歩きだった。

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6mのナメ滝が現れる。

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6m滝はヌメリが酷く、実に滑りやすそうである。左から登ったが、念のため、ロープ確保をした。

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その上もナメであった。

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再び、開けた巨岩の堆積した河原となるが、しばらく進むと、前方左に大きな滝が見えてきた。

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細尾沢最大の滝である細尾大滝40mである。

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細尾大滝は左岸の枝沢から高巻くが、途中で誤った踏み跡に導かれしまった。そのまま進むと、危ういルンゼを横切らねばならないし、トラバースするには傾斜も急なので、枝沢に戻ることにする。枝沢は登るにつれて傾斜が増していく。ヌメリもあり、手が痺れるほど水も冷たい。今回はラバーソールの沢靴で来ていたが、念のため、サワーサンダルフエルトを着用した。枝沢は途中で左に入る。ここでヒヤリハットが発生する。右手で掴んだホールドに体重をかけて、右足を上げたところ、ホールドが剥がれた。右半身が空中に投げ出されて、体が円を描いた。幸いなことに、なんとか掴んでいたホールドから左手が外れずに耐えることができた。最悪の転落は免れることができた。先に登っていた同行者は、岩が落ちていく音に驚き、「大丈夫か」と声をかけてくれた。転落してたら、ただでは済まなかっただろう。危うい区間はほんの短い区間だったので、ロープ確保はしていなかった。ホールドの頑強さを、もう少ししっかり確認すべきだったというのが反省点である。山小屋滞在中の釣行でも、転倒で右眉毛の横を切るという怪我をしたが、1週間でヒヤリハットが2回あったこともあり、充分に気を引き締めなければと反省した。

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標高2080mぐらいまで登ったら、下方向の踏み跡が樹林内にあったので、ついそちらに進んでしまった。標高差20mほど下ると、先ほど迷い込みそうになった危ういルンゼが下に見えた。方向的にも明らかに滝より下に向かっていたため、と元の標高2080mの所まで登り返す。正解はその位置から薄い踏み跡の斜面のトラバースであった。この踏み跡は、危ういルンゼのすぐ上をうまくトラバースしていた。

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斜面をトラバースしている踏み跡をしばらく進むと、下方向に向かう踏み跡がある。その踏み跡を下降していくと、細尾沢に戻ることができた。

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高巻き後は、連瀑となる。5m滝を右から越える。

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4m滝は左から越える。

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4m滝は右から巻く。

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チョックストン滝3m。

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15時に標高2160mの二俣に到着する。二俣では、先行していた岐阜ケルン山岳会の2人組が幕営していた。我々もかろうじてツエルトを張れるスペースを2つ見つけることができた。

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沢泊の醍醐味はやはり焚火である。しばらく雨が降っていなかったこともあり、薪はすぐに燃え始めた。イワナがないのが残念であるが、それでも宴は盛り上がった。

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すぐ近くの岩の割れ目にハコネサンショウウオがいた。

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宴は20時過ぎに終了した。ファイントラックのツエルトロング2は中が広く、1人だと実に快適であった。

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2日目は下山が長いので、4時半起床で、6時20分に行動開始した。すぐに10m滝が現れた。2日目の滝は、ナメ滝が中心で、滝のスケールの大きさに比べて、登るのは容易だったが、渇水のせいかヌメリが結構あった。念のため、ラバーソールの沢靴にサワーサンダルフエルトを着用した。

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これは四条の滝17mだろう。一応、四条の流れに見える。

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抜きつ抜かれつだった岐阜ケルン山岳会のメンバーに撮っていただいた記念写真。

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20m以上の斜滝。

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ナメ滝が続く。登るのは容易だが、ヌメリが結構ある。本来は花崗岩の沢なので、ヌメリがなくラバーソール向きのはずだが、これも渇水のせいだろうか。

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6m滝。

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高山蝶のベニヒカゲが岩にとまっていた。

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3弾の滝を越える。

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標高2500mの森林限界付近で水流がなくなる。

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森林限界付近の低い樹林の中の沢筋を登る。

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森林限界を超えるとガレ場登りとなる。

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ウサギギクなど高山植物の花々が、ガレ場登りの癒やしとなってくれる。

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落石が起こりやすいガレを、木曽駒ヶ岳の山頂まで標高差400mを詰める。

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後続に岐阜ケルン山岳会がいるので、落石を起こさないように慎重に詰めていく。

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最後は、多くのギャラリーに注目されながら、ロープを跨いで、木曽駒ヶ岳の山頂にポッと出た。ガレ場登りに2時間を要した。多くの一般登山者やハイカーにとっては、登攀具をつけた我々は相当に違和感のある存在だったに違いない。沢装備を解除して、昼食を取った。

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登ってきた細尾谷を見下ろす。

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山頂でどうちゃんと記念撮影。

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山頂の木曽駒ヶ嶽神社にお参りしてから、下山に入る。

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登山道脇に咲いていたトウヤクリンドウ。

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下山は福島Bコースを下りる。

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樹林に入るとキノコが出ていた。ハナビラタケ。

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ベニテングタケ。

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下山は実に長く、足はパンパンになる。八合目の水場から七合目の避難小屋まではアップダウンのあるトラバースで、実に長く感じた。七合目の避難小屋で休憩していると、沢装備をした多くの人たちが下りてきた。話を聞くと、幸ノ川を遡行して、下りてきたとのこと。幸ノ川は日帰りの沢だが、連瀑があるとのことで、機会があれば遡行をしてみたいものである。

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その幸ノ川の徒渉地点に出る。すぐ上に堰堤があり、そのすぐ上から滝が出てくるようだ。

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徒渉地点からは林道を下って、木曽駒高原に下山した。山頂から5時間もの時間を要した。最後は足はパンパンで、ヘロヘロ状態であった。

細尾沢は、久しぶりのアルプスの沢だった。アルプスの沢だけあり、スケールが大きく、明るく美しい沢であったが、下山の長さには閉口した。帰宅した翌日は1日ダウンしていた。年齢のせいか、最近はなかなか疲れが抜けない。今シーズンはもう1回ぐらいはアルプスの沢に行きたいが、やはりイワナが釣れる沢を選びたい。

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August 20, 2023

ワンゲル部山小屋でスローライフ

ワンゲル部山小屋滞在も5日目を迎えると、山小屋の維持作業はほぼ終了である。午前中は、久しぶりに下界へ買い出しに下りた。

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現役部員たちは、山小屋から徒歩にて、白山縦走へ出発する。

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山小屋を出発するワンゲル部員たち。本合宿は南アルプスでの長期縦走だが、そのための予備合宿として白山の南から北へ縦走する。現役部員のサポートに入っていたOBのAさんも帰路についた。

私は本日は休養日とし、翌日まで1人で山小屋に滞在し、中央アルプスの細尾沢へ転進する予定である。今日明日はスローライフと決め込む。

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沢臭くなった沢服を水洗いした。

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テンカラ毛鉤作りも行い、尻尾のある逆さ毛鉤を作ってみたが、はたして釣果に影響するだろうか。

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山小屋滞在中に紛失した毛鉤よりも多くの毛鉤を作り、今後の釣行に備えるとする。

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夕食は、買い出しで購入した生野菜、カレイの唐揚げ、寿司を、飛騨の地酒のアテにし、1人宴とした。

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翌朝はのんびり起床し、翌日からの沢泊山行のためのパッキングを行う。ここでコンパスを紛失していることに気づく、まあ、GPSとアップルウォッチをコンパスの代用としよう。正午過ぎには山小屋の戸締まりを済ませ、山小屋を発った。6日間も山小屋に滞在すると、山小屋への愛着も沸くもので、少々寂しさを感じた。

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August 19, 2023

奥美濃 長良川水系 前谷川支流 矢谷川:ワンゲル部新人の沢入門

ワンゲル部山小屋夏合宿の3日目は、ワンゲル部新人の沢入門を目的として矢谷川を遡行した。沢はナメ中心の癒やし系で、1回生の沢入門にはちょうどよいレベルだった。

【日程】2023年8月7日(月)
【山域】奥美濃
【渓谷名】長良川水系 前谷川支流 矢谷川
【メンバー】ワンゲル部員5名、マメゾウムシ(OMUNWV部)
【天候】曇りのち雨
【コー スタイム】桧峠8:13〜白山禅定道説明板9:09〜矢谷川出合9:30-47〜林道11:44〜毘沙門岳登山口(スゲオリ谷下降地点)12:22〜白山禅定道スゲオリ谷徒渉地点12:49-13:07〜桧峠13:25

矢谷川は、5年前に私が中心となって、我がワンダーフォーゲル部と私の山仲間とで開拓した沢である(2018年6月9日の記録)。前谷川出合からの下流部は人工的に整備されており、とても沢登りができそうな雰囲気はないが、入渓地点となる林道が交差する地点からの上流部はナメとナメ滝ばかりで、コンパクトにまとまった癒やし系の谷を形成している。遡行には技術的な困難さはなく、行程も短いため、初心者の沢入門のための沢と言ってよいだろう。今回は、2019年8月13日にワンゲル部の沢入門で遡行して以来の再訪である。ワンゲル部以外のパーティーでは、1年前にワンゲル部OBのHくんが所属する京都雪稜クラブが遡行している。

当日は夜半からの雨が朝まで降り続いていたが、午前中はいったん雨が止む予報である。半日コースなので、雨と雨の合間をうまく狙って遡行したい。しばらく雨が降っていないこともあり、この程度の雨量では、雨は地面に吸収されるだけで、沢が増水することはないだろう。今回の参加者はワンゲル部員5名で、うち2名が沢デビューとなる新人であった。雨がちょうど止んだ8時に、我々は山小屋を出発した。

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矢谷川の入渓地点にはよい駐車スペースがないので、桧峠の大日ヶ岳登山口にある駐車スペースに車を置くのがよい。桧峠からは旧道である白山禅定道を前谷へ下る。

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雨が降ったためか、キノコが出ていた。

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白山禅定道を前谷まで下りてくると、白山禅定道についての説明板がある。ここからは矢谷川方向への林道に入る。

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ススキが生い茂り、自然に帰りつつある林道を20分ほど進むと、林道が矢谷川と交差する所に出る。ここが入渓地点であり、沢装備を装着する。

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渓流沿いによく見られるアオバセセリ。

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樹林の中の流れを進む。最初は大きな岩が多い。

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最初のナメ滝が現れると、すぐにナメとナメ滝のオンパレードとなる。

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トイ状の滝を登る。

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ナメとナメ滝が続く。

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ナメ滝はフリクションを効かせて登る。

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新人はまだ登り方がわかっていない。足の置き方を知らない。アドバイスをする先輩たち。

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ナメ滝をウォータースライダーとして遊ぶワンゲル部員たちであった。

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連瀑が終わると、樹林の中の穏やかな流れとなる。

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水流がなくなると、藪が煩わしくなる。

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そのまま詰めていくと、林道にぶち当たる。ここで遡行終了である。

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林道を毘沙門岳の登山口方向へ進む。この林道も自然に帰りつつあり、ススキや低木が生い茂っていて、時折、藪を漕がねばならない。登山道の一部となっている毘沙門岳登山口の近くは草刈りがされている。スゲオリ谷の源頭から、白山禅定道の徒渉地点までスゲオリ谷を下降する。

End

白山禅定道に出たら、沢装備を解除し、往路を戻る。最後で雨に降られたが、無事、桧峠に下山となった。山小屋に戻ったワンゲル部員たちには、前日に引き続き、山小屋の維持作業に入るのだった。

矢谷川のナメに癒やされた1日であった。矢谷川は、ワンゲル部の山小屋から徒歩でアプローチできるお手軽な沢だが、アクセスに使う林道が自然に帰りつつあり、今後は、沢の中よりも、林道の通過が核心になっていくかもしれない。まあ、藪漕ぎの練習と思えばよいのだが。

YouTubeにアップした記録動画です。

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August 18, 2023

ワンゲル部山小屋の維持作業とテンカラ釣り第4弾

速報で報告済みだが、8月5日から10日まで、奥美濃にワンダーフォーゲル部が所有する山小屋に滞在していた。主な目的は山小屋の維持作業としての夏ワークだが、それは現役部員に任せて、私は近くの渓にテンカラ釣りに行ったりして、山小屋ライフを楽しんでいた。

山小屋滞在1日目と2日目には、フライマンのSくんが遊びに来てくれたので、一緒に近くの渓へ行くことにした。Sくんとは、この1週間前にもD谷で釣行を一緒にしている。

1日目はワンゲル部員も2名同行して、いつも裏切らないA谷へ行くことにした。

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しばらく雨が降っていないこともあり、A谷は驚くほどの渇水状態で、流れもゆっくりである。

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序盤にイワナは釣れたが、いつものようにポンポンとは出てくれない。渇水で流れもゆっくりということもあり、イワナは毛鉤をしっかり見てくる。イワナは毛鉤には反応は示すが、餌でないと認識すると、さっさと走って逃げてしまう。こんな感じで、自分が使っているテンカラ毛鉤はほとんどが見抜かれていた。

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ところが、同行のフライマンのSくんが使っているフライ用の毛鉤であるオレンジ色のカディスはしっかり咥えてくる。こういう時は、虫に精巧に似せているフライの毛鉤の方がよいようだ。翌日に行ったB谷では、さらにその傾向が顕著だった。

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初めてテンカラ釣りをするワンゲル部員が、試しにそのカディスを借りて使ったところ、なんとイワナがかかる。残念ながらバラしてしまったが、毛鉤の種類でこうも釣果が変わるのは源流では珍しい。流れの速い源流では、イワナは水面に落ちたものを見極める時間がないので、反射的に咥えてくる。それを利用したのがテンカラ釣りだが、流れが緩くなった渇水の時はそうはいかない。状況によって釣果が変わるのも、渓流釣りの面白いところではある。平水に戻るまでは、流れが緩い小さな藪沢に入るのは控えた方がよいかもしれない。

話は変わるが、A谷での釣行中に、前のめりに転倒して、右のまぶたの上を岩にぶつけて、怪我してしまった。かけていたサングラスにはヒビが入った。ぶつけたところからは、たらたらと出血して、まさにプロレスの流血試合というような様相で、同行者の方がむしろ驚いていた。幸いなことに、バンダナで傷口を押さえたら、すぐに止血できた。竿を持ちながらの沢歩きは、岩で滑ったり、浮石でバランスを崩しやすいので要注意だ。

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天気にも恵まれて、山小屋の維持作業の方は順調に進んでいた。

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薪ストーブの煙突の煤取りは、屋外と屋内とから行う。山小屋の壁のペンキ塗りも無事終わったようだ。

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山小屋周辺の草刈りは、自分たちが歩きやすくするだけでなく、クマが山小屋に近づかないようにする意味でも重要である。

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