今年のゴールデンウィークはカレンダー通りの休日で、アキレス腱痛もあったので、長期的な遠征はできなかったが、ゴールデンウィークとしては3年ぶりにスキーができた。今回は、指導しているワンダーフォーゲル部員の希望もあり、白馬でのテレマークスキー練習に付き合うことにした。天気にも恵まれて、指導の傍らで、山にも入れたので、短いながらも充実した3日間だった。まずは、その2日目に行った天狗原からフスプリ山を経て木地屋までのスキーツアーの報告です。
【日程】2022年5月4日(水)
【山域】北アルプス後立山
【場所】白馬 天狗原・フスプリ山
【メンバー】Tさん(ワンゲル部OB)、Mさん、Hくん(ワンゲル部OB)、マメゾウムシ
【天候】晴れ
【装備】テレマーク2、ATスキー1
【コースタイム】栂池自然園駅9:29〜天狗原10:59-11:25〜フスプリ山12:43-13:01〜1799南のコル13:49-14:02〜角小屋峠14:31-35〜栂平14:48-56〜白池17:00〜木地屋ゲート18:36
3日間の白馬遠征1日目は、ワンダーフォーゲル部の現役部員1名と若いOBのテレマークスキー練習につきあった。現役部員の20歳女子は初めての本格的なテレマークスキー練習となった。2日目は、まだスキーの初級レベルである女子部員は1人居残ってゲレンデで練習をしてもらうことにし、残りのメンバーでバックカントリーに行くことにした。メンバーは、ワンゲル部の大先輩OBであるTさんとその友人のMさん、若いOBのHくん、そしてワンゲル部顧問である私の4人であった。

行くコースは、ロープウェイの栂池自然園駅から天狗原に上がり、千国揚尾根をフスプリ山まで進み、笹目尾根に入って、角小屋峠を経て、木地屋へ下山するというロングルートである。天狗原からフスプリ山までは行ったことがあり、角小屋峠からのツアーコースは何度も滑っているので、最初はさほど難しくはないだろうと考えていた。アップダウンがあるコースというのはわかっていたので、個人的なギアは革靴・ステップソールの組み合わせをチョイスした。このチョイスは機動力的にドンピシャであったが、急激に進んだ雪融けなどのために、角小屋峠から先に困難が待ち構えていたことは知る由もなかった。

栂池高原スキー場のリフト券売場にて栂池ゴンドラ&ロープウェイの片道券2000円を購入して、栂池自然園駅に上がる。ロープウェイの切符を購入する際には登山届の提出が必要であるが、事前にコンパスなどのアプリで登山届を提出していれば、すでに提出済みであることを伝えるだけでよい。

まずは天狗原を目指す。ステップソール板ではあるが、急斜面の登行に備えて、天狗原まではシールを装着した。

ゴールデンウィークだけあり、スキーヤー以外にも一般登山者などたくさんの人たちが登っていた。

天狗原に到着する。正面に白馬乗鞍岳。

天狗原の祠の方から聞いたことのある声がするなと思ったら、小谷村の有名人であるジュンジマンだった。娘が小学生の時にスキースクールでお世話になったコーチである。この日は小谷のスキージュニアチームとバックカントリーとのこと。小学生を連れて、白馬乗鞍岳方面に登っていった。

シールを外して最初の滑走に入る。

千国揚尾根に入り、まずはフスプリ山を目指す。6年前の3月に天狗原から紙すき山牧場までツアーをした際に、フスプリ山は通過しているので、ある程度は尾根の様子はわかっている(2016年3月の記録)。

海谷・戸隠方面の眺め。

基本的にザラメ雪であるが、最近積もった新雪がうっすらあり、これが水分が多くブレーキのかかる雪であった。革靴では要注意の滑りが求められた。

フスプリ山までに4回の登り返しがあったと思うが、フラット板の他の3名はその都度シートラかシール登行になり、実に効率が悪かった。さすがにステップソール板ではそのまま進めるので、軽快であり、機動力が違う。今回は、前半に関してはステップソール板の一人勝ちであった。

やや悪雪気味ではあった。そういう点では革靴よりもプラブーツに利点があったが、そこは技術でカバーする。

フスプリ山への最後の登りはフラット板メンバーはシールを貼る。ステップソール板の私ははそのまま進む。

広いフスプリ山の山頂に到着する。ここまでは楽勝であり、木地屋下山もそんなに遅くはならないだろうと思っていた。

問題はここからであった。雪融けが急激に進んでいて、ウド川源流部は完全に沢割れしていて、ワサビ沢はスノーブリッジがすでにないとのこと。本来であれば、このままウド川源流部に向かって滑走し、ツアーコースに合流するだけであったが、そのコースは取れないのである。角小屋峠から栂平へツアーコースを逆行して下り、あとは林道をひたすら木地屋まで下山するしか取れるルートはなかった。

とりあえずは笹目尾根を進む。尾根上には痩せた箇所があり、なかなかテクニカルな滑走が要求された。

おまけに尾根上にはアップダウンもあり、フラットソールのメンバーは登り返しが面倒であった。そんな訳で、余計な時間が費やされる。
1799m小ピーク手前のコルから角小屋峠方面に進路を変える。適当な所から林道へ滑走したかったが、藪が阻む。角小屋峠のツアーコース合流点までは、無難に尾根上を進むことにした。

角小屋峠からは栂平へツアーコースを逆行して下るが、雪が途切れているためスキーを担ぐ。

雪がつながったところでスキーを装着する。下には林道が見えているので、そこまで滑り降りる。

あとは林道を滑っていくだけだが、斜度が緩いので滑りが悪い。

林道からの雪倉岳・朝日岳方面の眺め。

林道上には雪切れ箇所が多く、何度もスキーの脱着を繰り返す。おかげで時間と体力を無駄に消費する。電波が通じた所で、ゲレンデで居残り練習中の現役部員に下山が遅れると連絡を入れる。おまけにブナなどの木の芽吹きにより,雪の上には大量の冬芽の殻が落ちていて、これが絶望的に滑らない。ほとんど歩いているのとスピードが変わらなかった。

標高850mぐらいまで下ったところで、林道上の雪がなくなったので滑走終了。ここからはスキーを担いで林道を下る。すでに時刻は18時となっていた。そこから木地屋の車をデポした地点までは30分ほどであった。合計9時間の行動時間となり、想定よりも3時間以上も遅れての木地屋下山となってしまった。総距離は19kmだった。1人でゲレンデ練習をしていた現役部員に対しては、スキー場にて我々の帰りを19時まで待たせることになってしまい、たいへん申し訳なかった。
春になってから高温の日が多く、雪融けが急激に進んだことが今回は災いした。前半はステップソール板で快適であったが、後半は滑れず修行系となってしまった。地球温暖化という問題がベースにあると思われるが、このような春の急激な雪融けが今後は普通になってしまうのだろうか。
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