June 11, 2023

乗鞍岳:今シーズンの板納めにて

1週間前の記録になってしまったが、6月最初の週末を利用して、乗鞍岳で板納めをしてきた。災害級の大雨の翌日ということもあり、週末でありながらも比較的静かな乗鞍を満喫し、悔いのない今シーズンのスキー終了となった。

【日程】2023年6月3日(土)
【山域】北アルプス南部
【場所】乗鞍岳
【メンバー】Kさん(現地合流)、Yuka、マメゾウムシ
【装備】テレマーク2
【天候】晴れ
【コースタイム】肩の小屋口〜乗鞍岳11:19-35〜肩の小屋口12:26

ゴールデンウィークに立山で滑ってから1ヶ月。この1ヶ月は土日に所要ありで、滑りに行くことができずに、仕方なく近場で沢登りのシーズンインとした。しかしこれではスキーの方は中途半端なシーズン終了となってしまう。そのため、この週末は、弟子のワンゲル部前主将であるYukaと、乗鞍で板納めをする予定としていた。

ところが予定が近くなると、直前に台風の接近と大雨の予報。一方で週末は大荒れの後の晴れ予報であった。普通の人はそんな時に移動はしないので、うまく現地まで行ければ静かなスキー納めができるにちがいない。しかしながら、金曜日の午前は大阪ではひどい降りだったので、一時は前日発はやめて、土曜日は移動だけにしようと考えていた。金曜日は朝から雨の様子を伺っていたが、15時ぐらいには大雨のピークは過ぎた感じがした。高速道路も通行止めにはなっていない。東の方はこれから大雨のピークを迎えるが、北上する東海北陸道はなんとかなるかもしれない。急遽、夕方に堺を発つことにした。こういう時に移動するのは非常識なことかもしれないが、リスクは受け入れたうえで、行けないのならば行ける所までと考えていた。

幸いなことに東海北陸道は通行止めとならずに、松の木峠PAまで行くことができた。しかし安房トンネルから先の国道158が通行止めとなっていた。これは雨量制限による通行止めなので、雨が止めば規制は解除されるに違いない。とりあえず松の木峠PAで車中泊して様子を見ることにした。

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翌朝は、予想通りに朝6時には通行止めは解除されていた。春山バスも運行されるとのことで、始発に間に合うように乗鞍観光センターに入った。車から降りて支度を始めると、隣に停まっていた車の持ち主も準備をしていた。テレマーカーのようだが、どこかで見たことのある顔だ。なんと大阪労山所属のKさんであった。

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8時30分発の春山バスに乗車して、大雪渓下の肩の小屋口に到着する。ここまでバスが延伸したことで、だいぶハイクアップが省略できる。災害級の大雨の翌日ということもあり、週末でありながらも、さすがに乗車したスキーヤーも登山者も少なかった。

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とりあえずは、Kさんと一緒に剣ヶ峰を目指すことにした。

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乗鞍名物の乗鞍大雪渓webさんがweb用の撮影をされていた。

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乗鞍大雪渓webさんに撮っていただいた写真である。

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シール登行を開始する。

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剣ヶ峰へ向けて高度を稼ぐ。

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雪を繋げていくと、こんな狭い所も通る。

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稜線近くで雪が途切れたので、スキーをデポして剣ヶ峰へ向かう。

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剣ヶ峰まであと一登りだ。稜線は風速20mぐらいの強風が吹いていて、普通に歩くのも難儀であった。爆風で愛用の帽子を飛ばされてしまったのは、たいへん残念であった。

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剣ヶ峰に到着する。山頂の祠の屋根の上では、この強風の中で修復作業をしている人がいた。

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この時期に滑ったことのある木曽御嶽山の眺め。雪が少ない。

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槍・穂高方面の眺め。

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強風の往路をスキーデポ時点まで戻って滑走準備に入る。

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狭い箇所は、私は小回りにて滑ったが、ワンゲル部前主将は横滑りにて通過する。さすがに大雨の翌日ということもあり、湿った重めのザラメ雪ではあった。

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縄張りを誇示するライチョウのオス。

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大斜面が広がったら、あとは自由に滑る。

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無事に下山。前主将もテレマーク2シーズン目ながら、今シーズンは急速な成長を遂げた。初めての爆風もよい経験になったに違いない。来シーズンが実に楽しみだ。

スキーヤーも登山者も少なく、週末でありながらも比較的静かな乗鞍を満喫することができた。これで悔いなく今シーズンのスキーを終了することができた。問題は私の経年劣化の方であるが、なんとかアンチエイジングを成功させたいところだ。これからしばらくは沢の方に専念させてもらう。

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May 17, 2023

ワンゲル部立山スキー合宿4:大走り尾根滑走と下山

ワンゲル部の立山スキー合宿の4日目(5月5日)の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

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最終日である4日目の朝を迎える。怪我人がいたようで、富山県警の雪上車で搬出されていった。前日に歩き方のおかしい女性が気になったが、その人であった。転倒か滑落で怪我をしたようだ。

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正午前には撤収して下山したいので、この日は近場で軽く滑るだけとする。現役部員4名はテン場前にある斜面、通称ゲレンデで滑走練習をするとのこと。

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私と前主将で大走り尾根を滑りに行くことにする。

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雷鳥沢キャンプ場から1時間ほど登った標高2500m地点から滑ることにする。まだ雪が緩んでおらず、斜度もそこそこある。

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私は特に問題はなく滑れたが、前主将が無事滑れるか危惧する。やはり転倒! ヒヤリはしたが、滑落することなく下りてきたのでホッとする。

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斜度が緩めば問題はなかった。下部は快適ザラメとなっていた。

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10時にテン場に戻り、テントを撤収する。

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多少遠回りにはなるが、すべてシールで行けるブル道から室堂に下山することにする。

13時前に室堂に下山できた。混雑のため高原バス乗車時にケーブルカーの整理券が発行されたが、美女平ではそれほど待ち時間もなくケーブルカーに乗ることができた。立山駅に下山後は、現役部員4名は公共交通機関にて帰路についた。

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マイカーの私と前主将は、亀谷温泉白樺の湯で汗を流した後に、立山町の台湾菜館にてボリューミーな夕食を取った。

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台湾菜館からは、剱岳・立山方面の山並みを見ながらの食事ができた。

ワンゲル部立山スキー合宿は滞在中4日とも天気と雪に恵まれた。個人的にはもう少し斜度のある斜面を滑りたかったが、後進の育成も重要である。ワンゲル部員たちには良い経験になったに違いない。ワンゲル部にとって、今シーズンは創部以来の山スキーの伝統を復活させたという点で、今回のゴールデンウィーク合宿はたいへん記念すべき合宿と言えるだろう。

滑走シーンを編集した動画のリンクです。

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May 16, 2023

ワンゲル部立山スキー合宿3:雄山谷と山崎カール滑走

ワンゲル部の立山スキー合宿の3日目(5月4日)の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

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立山滞在3日目も良い天気であった。この日は、一ノ越方面の斜面を滑ることにした。

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雷鳥沢キャンプ場からブル道を進み、途中からブル道を離れて浄土沢を詰めていく。

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登山者やスキーヤーなどで賑わう一ノ越に到着する。

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まずは雄山谷にドロップする。メローな雄山谷は個人的には物足りないが、ワンゲル部員にとってはレベル的にちょうど良い。

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それでも転けるのはいたが、恐怖感なしに滑れたようだ。

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大岩まで滑って休憩とする。

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いつの間にか大岩でボルダリング大会となっていた。

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一ノ越へ登り返す。疲れが溜まっているのか、登り返しに1時間15分もかかってしまった。現役部員たちはもう少し速く登っていた。

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元気な現役部員3人は、雄山谷をもう1本滑った。

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現役部員3人の登り返しを待ってから、浄土沢を少し落として、山崎カール側にトラバースする。

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山崎カール側の大斜面を滑る。こちらも快適ザラメだ。

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雷鳥沢キャンプ場まで滑り込んで、3日目の行動は終了。物足りない現役部員4名は、さらに大走り方面へ滑りに行った。

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私は前主将と、早速、柚子豆乳鍋をアテに立山最後の宴を始める。

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明宝ハムを焼く。

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最後の立山の夕陽である。持ってきたお酒を全て飲みきったところでお開きとした。

ワンゲル部立山スキー合宿4:大走り尾根滑走と下山につづく

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May 15, 2023

ワンゲル部立山スキー合宿2:剱御前岳からの剱沢滑走と雷鳥沢滑走

ワンゲル部の立山スキー合宿の2日目(5月3日)の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

全員無事に入山できたワンゲル部であるが、いよいよ2日目からが本格的な活動となり、早速、合唱のハイライトである剱沢滑走の予定だ。

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日の出は6時30分頃だった。

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8時を過ぎたぐらいに雷鳥沢キャンプ場を6人全員(顧問含む)で出発する。

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雷鳥沢右岸をシール登行で登るが、まだ雪は緩んでいない。

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滑落のリスクがあるので、シール登行の技術がない者は早めにシートラに移行してもらう。

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クトーがあれば問題ないが、ベテラン山スキーヤーはクトーなしでもシール登行で登る。それでも剱御前小屋手前のトラバースでシートラにせざるを得ず、ナイフリッジの通過は緊張感があった。

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剱御前小舎に到着して一服する。ここで聞いたことのある話し声がする。立山のガイドさんで、テンカラ仲間のかわさんだった。ガイド中で今日中にハシゴ谷乗越を越えるとのこと。6月のテンカラ仲間の集まりでの再開を約束する。

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剱御前小舎からは、スキー技術の高い者は剱御前山に登って剱沢への滑走、スキー技術に自信のない者は直接に剱沢滑走とした。

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前主将、現主将、顧問の3人で剱御前山へ登り、残りの2回生3人は先に剱沢へ滑り込んでいった。剱御前山からの剱岳。

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剱沢への滑走を前にして、ガッツポーズを取る現主将。

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前主将は剱岳をバックにVサイン。

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快適ザラメを滑る。

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剱岳に向かって滑る。最高のロケーションである。

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剱沢キャンプ場まで滑ってランチタイムとする。多少の雲はあるが、天気も良かった。

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50分ほどのマッタリとしたランチタイムを終えたら、剱御前小舎へ登り返す。

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2度目の剱御前小舎に到着。

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次は雷鳥沢の滑走である。少し夏道を下った所から、スキーを履く。

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スプリットボードの主将がドロップする。

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スキー技術に自信のない2回生3人は、出だしの急斜面はスキーを担いで高度を下げる。

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斜度が緩んだ所からスキーを履いて、全員での滑走へ。

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登山者を避けるために雷鳥沢の中へ滑り込む。

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上部はまずまずのザラメ雪だったが、

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下部は雪が緩みすぎて、やや重めだった。転けても滑落の心配はない。

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うまく滑れたかどうかは別にして、全員無事にキャンプ場に戻ることができた。

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2日目の晩は焼肉にて一杯。展望に恵まれた剱沢と雷鳥沢の滑走は、ワンゲル部員たちにとって、いい経験になったに違いない。

ワンゲル部立山スキー合宿3:雄山谷と山崎カール滑走につづく

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May 14, 2023

ワンゲル部立山スキー合宿1:室堂山滑走

顧問をしているワンゲル部の立山スキー合宿に技術指導のために同行してきた。主将を除く全員がテレマークスキーでの参加で、雷鳥沢キャンプ場をベースに4日間しっかり滑ってきた。滞在中は天気と雪に恵まれて、部員たちには良い経験になったにちがいない。

概要
【日程】2023年5月2日(火)〜5日(金)
【山域】北ア立山
【場所】立山
【メンバー】ワンゲル部員5名、マメゾウムシ(ワンゲル部顧問)
【天候】全日晴れ
【装備】テレマーク5、スプリットボード1
【コースタイム】
5/2 立山室堂9:08〜室堂山荘9:17〜雷鳥沢キャンプ場9:47-11:44〜みくりが池温泉12:29〜室堂山13:54-14:14〜雷鳥沢キャンプ場14:41
5/3 雷鳥沢キャンプ場8:05〜剱御前小舎10:42-11:13〜剱御前山11:23-39〜剱沢キャンプ場11:49-12:40〜剱御前小舎13:34-14:06〜雷鳥沢キャンプ場15:08
5/4 雷鳥沢キャンプ場8:03〜一ノ越山荘9:52-10:29〜雄山谷2320m地点10:38-11:45〜一ノ越山荘13:01-14:00〜雷鳥沢キャンプ場14:24
5/5 雷鳥沢キャンプ場8:22〜大走り尾根2500m地点9:21-35〜雷鳥沢キャンプ場9:58-11:07〜室堂山荘12:10〜立山室堂12:19

ワンゲル部にとって、ゴールデンウィークに行う合宿は、私が顧問になってから初めてのことである。スキーをするならば、天気が安定して雪質もザラメ雪となったゴールデンウィークは、本来合宿にふさわしい時期である。創部当時は山スキーや雪山の活動をしていたワンゲル部だったが、私が顧問を引き受けた時点では無雪期の縦走しかしないクラブになっていた。コロナ禍で活動のできない時期もあったが、なんとか全員が山スキーを行うところまでもってきた。厳冬期には、奥美濃にある山小屋をベースにスキー練習を行ってきた。3月末には、奥美濃の和田山牧場跡をベースにして、スキーと雪上訓練を中心とした春山合宿を行うことができた。今回の立山合宿は、一連のスキー山行の最後の仕上げの場として計画した。ワンゲル部にとって、創部以来の山スキーの伝統を復活させたという点で、たいへん記念すべき合宿と言えるだろう。

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1日目(5月2日)

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前主将と私の2人で先発し、立山駅7時20分発のケーブルカーに乗車する。後発隊4名は11時台のケーブルカーに乗車とのことなので、この日は後発隊とは別行動とする。

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1年ぶりの立山入山である。昨年は11月の立山に入れなかった。

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重荷なので、室堂山荘横のブル道から雷鳥沢へ向かうことにする。ブル道は多少遠回りだが、アップダウンがなく、全体的に緩やかな傾斜なので、重荷でもなんとか進める。

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たまたまテントを撤収した人がいたので、その場所を譲り受けてテントを張る。深く掘ってあって、ブロックも積んであり、風に安心なテン場である。自分たちで掘るとなると、まだ雪が締まっていて硬く、かなりの労力を要したに違いない。実に感謝なことである。テント代は1人1泊1000円で、1人3000円を管理事務所で支払った。

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3泊分のお酒であるが、ほぼ1人分の量である。

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一息ついたところで、室堂山に足慣らしに行くことにする。みくりが池温泉経由の夏道で行ってみたが、雪が繋がっていなかった。

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雷鳥沢キャンプ場から2時間ほどで室堂山に到着する。定番の日本オートルートの眺めを楽しむ。

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反対側には剱岳の眺めである。

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シールを剥がして滑るとする。昨年も来たが、その時は気温が低く、カチカチ山であった。今回は充分に雪は緩んでいる。

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思った以上の快適ザラメであった。前日に降ったと思われる新雪も板が走る。

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テレマーク2シーズン目の前主将も楽しそうに滑っている。そのまま浄土沢に滑り込んだ。

雷鳥沢キャンプ場へ戻ると、時間的には当然着いているだろう後発隊はまだ着いていなかった。やけに到着が遅いなと思って、目の前の雷鳥荘下の斜面に目をやると、何やら苦労しているテレマーカーたちがいる。それが後発隊だった。重荷でまともに滑れず、転倒を繰り返していた。「ブル道を使え」とアドバイスしたのに、わからなかったようで、アップダウンのある夏道を素直に来たようだ。

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後発隊も着いたので、早速飲み始めることにする。前日の移動途中で採った山菜をアテに一杯やることにする。採った山菜は、コゴミ、タラ、コシアブラ、ネマガリタケである。

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山菜はアヒージョにした。お酒が進む。

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後発隊はキャンプ場前の斜面を利用して雪上訓練を行っていた。3月に行った雪上訓練の復習である。

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日が陰ってきたら、さすがに寒くなってきたので、テント内にてメインデッシュのキムチ鍋をつつきながら呑んだ。

いよいよ明日から、ワンゲル部員全員で残雪の雪山を楽しむ。晴れ男の自分が参加したこともあり、どうやらこの4日間は好天が続きそうだ。

ワンゲル部立山スキー合宿2:剱御前岳からの剱沢滑走につづく

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April 03, 2023

ワンゲル部の和田山牧場跡ベース春山訓練3:野伏ヶ岳南面滑走

ワンゲル部の和田山牧場跡ベース春山訓練の最終日である3日目(3月29日)の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

前日に野伏ヶ岳のピークハントで実戦訓練を行ったワンゲル部だが、最終日は実戦訓練第2弾として、薙刀山の往復を予定していた。しかしながら、急激な雪融けで推高谷の徒渉地点を渡れない可能性があった。また前日に登った野伏ヶ岳の山頂から眺めた限りでも、薙刀山の斜面の雪の付きが悪く、徒渉できたとしても斜面に取り付けない可能性も高かった。そのような理由から、当初の予定を変更して、小白山に行き先を変更することにした。小白山の山頂までは雪が繋がっていないが、行ける所まで行って、良さそうな斜面を滑ることができればよいだろう。この日は下山を含めて、山小屋に立ち寄って後片付けを必要もある。その時間も考慮すると、正午ぐらいにはテントを撤収したいところである。滑走技術の低い者は、野伏ヶ岳南面の緩斜面を滑ってもらうこともできる。

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最終日の朝も見事な快晴であった。放射冷却で朝方にだいぶ冷え込んだため、雪はカチカチに凍っていたが、すぐに緩みそうだ。

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雪が緩み始めた8時にテン場を出発する。

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ダイレクト尾根の基部を目指す。

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このあたりはクマ棚が多い。

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ダイレクト尾根の基部に着く。こぶが複数あるブナが気になった。

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野伏平を小白山に向かって進む。

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沢割れ箇所が多く、ルート取りに苦労する。

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小白山は時間的に厳しくなってきたので、野伏ヶ岳南面に行き先を変更する。

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標高1220mあたりまで登って、滑走することにした。野伏ヶ岳南面は数年に1回ほど大きな雪崩が起こっているようで、木がまばらで、折れている木も多い。そこをダイレクト尾根の基部を目指してややトラバース気味に滑った。

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テレマーク2シーズン目の主将の滑り。

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ダイレクト尾根を越えて、湿原に出る。

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幕営地に戻り、テントを撤収する。撤収時間がちょっと長いような気がしたが、もう少し速くできるようになるべきだろう。

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3日間を過ごした和田山牧場跡を後にする。

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最後の滑りは林道である。ボブスレーのように滑っていく。

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雪がなくなった所で、シートラにて下山する。

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山小屋に戻って後片付けをしてから、帰路についた。山小屋の前では早くもザゼンソウが咲いていた。

ワンゲル部員においては、しっかり今回の合宿の反省会を行ってほしいところだ。登山における安全は、体力と技術があって確保されるものであるからだ。

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April 02, 2023

ワンゲル部の和田山牧場跡ベース春山訓練2:野伏ヶ岳で実践訓練

ワンゲル部の和田山牧場跡ベース春山訓練の2日目(3月28日)の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

前日に雪上訓練を行ったワンゲル部員であるが、練習したことを本番の山行で使えるかが重要である。その実戦訓練の場として、野伏ヶ岳のピークハントを行うことにした。野伏ヶ岳は私にとっては毎年のように登って滑る馴染みの山ではあるが、現役のワンゲル部員で山頂に立った者はいない。昨年は野伏ヶ岳に日帰りでワンゲル部員1名が私と一緒にトライはしているが、今年と同じ雪不足と出発が遅かったこともあり、山頂まで登らずに途中から滑走してしまった(2022年4月7日の記録)。

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合宿中の3日間は好天予報であったが、2日目の朝も見事な快晴であった。ワンゲル部員の滑走技術には差があるので、中級者以上の滑走技術がある者のみが山頂からの滑走を行い、初級以下の滑走技術の者は登山にてピークハントを行うことにした。自ずと2・3年生の2名がBC組、1年生3名が登山組となった。OB1名と顧問はBC組のサポートに入る。山頂までは全員がダイレクト尾根を登り、山頂からはBC組は北東尾根を滑走し、登山組は往路のダイレクト尾根を戻ることにした。

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ダイレクト尾根にショートカットで取り付く。昨年は基部まで回り込んだが、今回はなんとかシール登行でショートカットできた。

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最初のうちはシール登行で進めたが、斜度が増してくると雪不足と藪に阻まれて、スキーを担がざるを得なくなる。スキー組よりも登山組が断然有利であった。

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最初の急斜面を登り切る。

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次の急斜面も雪付きが悪く、シートラで登る。

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北東尾根とのジャンクション手前は、中央ルンゼへの滑落に注意しながら進む。危険箇所をいかに素早く通過できるかが、リスクを低くするうえで重要である。

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雪は途中で途切れて、先行していたメンバーがルートに迷っていたが、そこは藪に突っ込めとアドバイスする。我々が登ってきたダイレクト尾根側は北東尾根とのジャンクションの南側になるため、雪融けが早く、藪が出ていた。ジャンクションの北側は雪が残っているはずなので、少し藪を漕げば突破できるはずである。ほんの5mほどの藪漕ぎで、予想通りに尾根の北側の雪面に出た。そこからは再びシール登行で登れた。

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野伏ヶ岳の山頂に到着する。私にとっては2年ぶりの山頂であった。

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山頂の北側からは白山の眺め。

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東側には御嶽山や北アルプスの眺め。

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東方向の展望を拡大すると、馴染みの奥美濃の大日ヶ岳もはっきりわかる。

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こちらは山頂の北西方向の展望。

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南西方向の展望。

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山頂からは登山組と分かれて、BC組は北東尾根の滑走に入る。

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上部は快適ザラメであった。

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下部はやや湿雪で、藪も濃くなった。上級者の滑りにはさほど影響はしなかったが、テレマーク中級者の主将はやや苦労していた。ゲレンデと同じように滑れないのは、BCの難しいところである。

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無事、湿地まで滑り込んで、そのままテン場に到着。登山組もさほど遅れずにテン場に戻ってきた。野伏ヶ岳のピークハントは、ワンゲル部員たちにとってよい実践の場になったようだ。

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時間があったので、登山組は近くの斜面で滑走練習を行った。ワンゲル部員の課題は、スキー技術の向上と、トランジッション(シールの脱着)をいかに速くできるかであるだろう。登山における安全は、体力と技術があって確保されるものである。技術の習得には時間がかかるものなので、コツコツと練習を重ねていくことが重要である。部員たちにはそのことをしっかり意識してもらいたい。

ワンゲル部の和田山牧場跡ベース春山訓練3:野伏ヶ岳南面滑走につづく

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ワンゲル部の和田山牧場跡ベース春山訓練1:雪上訓練

3月25日〜29日の日程にて、ワンゲル部員たちと5日間ほど山籠もりしていた。前半2日間はワンゲル部山小屋をベースに過ごし、ワンゲル部員たちもテレマークスキーイベント「ゲレンデjack! with 集まろうテレマーク! in 奥美濃」に参加した。イベントでは、ワンゲル部員たちは先輩テレマーカーたちにアドバイスをもらいながら、しっかりテレマークスキーの練習を行った。後半3日間は和田山牧場跡にベースを移し、テン泊生活を送りながら春山訓練を行った。まずはその春山訓練の1日目の報告です。

概要
【日程】2023年3月27日(月)〜29日(水)
【山域】奥美濃
【場所】野伏ヶ岳
【メンバー】ワンゲル部員5名、Tさん(ワンゲル部OB)、マメゾウムシ(ワンゲル部顧問)
【天候】3/27 晴れ、3/28 晴れ、3/29 晴れ
【装備】テレマーク5、ATスキー1、スプリットボード1
【コースタイム】
3/27 白山中居神社8:38〜林道880m付近(シール登行開始)9:25-49〜和田山牧場跡石碑11:00〜幕営地11:27-13:16〜雪上訓練場所13:29-16:08〜幕営地16:22
3/28 幕営地8:09〜ダイレクト尾根基部(1150m)8:55〜北東尾根とのジャンクション11:12〜野伏ヶ岳11:31-12:08〜北東尾根滑走〜幕営地13:17
3/29 幕営地8:05〜ダイレクト尾根基部(1120m)8:45〜野伏ヶ岳南面1220m9:49-10:15〜幕営地11:09-12:15〜和田山牧場跡石碑12:35-12:46〜林道870m付近(滑走終了)13:10-43〜白山中居神社14:19

ワンゲル部山小屋のある奥美濃は、2月以降の降雪が少なく、3月に入ってからは急激な雪融けが進んでいる。残雪量から判断すると、例年よりも1ヶ月は季節が早く進んでいるようだ。そのため、3月下旬時点の山小屋の裏山では、予定していた雪上訓練を行えるだけの積雪は残っておらず、実施場所を変えざるを得なかった。そこで候補になったのが和田山牧場跡であった。当初は山小屋の裏山での雪上訓練を終えてから、石徹白の山に入りテン泊縦走を行う予定だったが、雪山のための充分なトレーニングを行っていない現在のワンゲル部の状況では、少々リスクを感じていた。そこで、和田山牧場跡をベースにして、雪上訓練と周辺の山のピークハントをまとめて行うことに計画を変更したのであった。

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1日目(3月27日)

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白山中居神社からスタートする。2泊分の装備とスキー板を担いでいるので、そこそこ重いが、年寄りサポート組のテントは現役部員に持ってもらっている。ただ、現役部員たちのザックが2泊の割には結構大きいのが気になった。ベース方式なので多少は余計な荷物を持っていっても良いが、今後の長期縦走に向けて、もう少し軽量化を意識した方がよいかもしれない。

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例年の3月であれば、和田山牧場跡への林道には結構雪が残っていて、比較的すぐにシール登行が開始できるのだが、今回は4月中旬以降の残雪状態ということもあり、しばらくはスキーを担がねばならなかった。

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白山中居神社から50分ほど歩いた標高880m付近でようやく雪が繋がり、シール登行を開始できた。昨年は4月7日に同じルートを行っている。その年も雪融けが早かったが、その時は標高870m付近からシール登行を開始できたことから、今年は昨年以上に雪融けが早いことがわかる。

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上部のヘアピンの林道ショートカットはなんとかいけたが、1週間後は厳しいだろう。

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最後は林道を離れて尾根を進む。

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昨年は尾根の雪がつながっておらず、スキーを脱いだが,今年はぎりぎりスキーを脱がずに和田山牧場跡に出ることができた。

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正面に野伏ヶ岳が現れて、一気に視界が開ける。

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無雪期は湿地になる窪地に今回の合宿のベースとなるテントを設営する。水は湿地を流れるクリークから取ることができるが、高さがあるので、直接に手で汲むことは難しい。我々はビリー缶に細引きを結んで、それをクリークに投げ落として水を汲んだ。

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テント設営を終え、一休みしてから、雪上訓練を行った。場所は和田山牧場跡の南側にある北向きの斜面にて行った。まずは歩行訓練である。最初に、つぼ足での斜面の登下降とトラバースの練習を行い、次に、アイゼンを装着しての斜面の登下降とトラバース練習を行った。キックステップについてもつぼ足とアイゼン装着の両方でしっかり練習してもらった。

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登下降の練習後には、ピッケルを使った滑落停止の練習を行った。

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わきをしっかりしめて、素早く体を反転させてピッケルを説明に打ち付ける。その際に足をあげなければならいが、なかなかそうならない。体が覚えるぐらいまでしっかり練習しておかなければならない。そうでないと、いざという時に瞬時に使えない。

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スタカット方式でロープを2人で結んで雪の斜面を登下降する際の、支点の構築の仕方とロープでの確保の仕方についても練習を行った。まずは肩がらみでの確保練習。

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次にピッケルを使った確保法であるスタンディングアックスビレイについても練習を行った。

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最後に、雪面での懸垂下降を行う際の支点になるスノーボラートを作ってもらった。

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実際にワンゲル部員たちに懸垂下降してもらった。一通りの練習を終えたら、16時を過ぎていたので、幕営地に戻り、この日の行動を終えた。

雪上技術はこのような訓練の場だけでなく、日常的な山行の際にもしっかり練習を行い、体がしっかり覚えるぐらいになっていないといけない。

ワンゲル部の和田山牧場跡ベース春山訓練2:野伏ヶ岳につづく

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March 31, 2023

ゲレンデjack! with 集まろうテレマーク! in 奥美濃:生憎の天気だったが、テレマーカーは熱かった!

このブログでも予告しましたが、関西の”集まろうテレマーク!”と、中部の”ゲレンデjackテレマーク”の4年ぶり2回目のコラボイベント「ゲレンデjack! with 集まろうテレマーク! in 奥美濃」が、2023年3月26日に奥美濃のスノーウェーブパーク白鳥高原にて行われました。

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集合写真です。

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当日は生憎の雨で、ゲレンデも融雪が進み、地肌があちこち見えていた。

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そんな状況だったので、関係者だけしか集まらないかと思っていたが、集合時刻の9時になるとテレマーカーたちがぞろぞろと集まってきた。ざっと数えただけで30名程度はいただろうか。こんな天気でも集まるテレマーカーはやはり熱い!

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開会の挨拶を終えたら、早速、みんなで滑る。

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このイベントの目的は、一緒に滑ることでのテレマーカー同士の交流と親睦である。今回はコラボイベントということもあり、関西、北陸、中京と異なる地域のテレマーカーの交流も目的であった。

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富山のスポーツのマンゾクさんによるテレマークスキー細板の試乗会も行われた。東海地方では初めての試乗会とのことで、75mmテレブーツを履いたテレマーカーや、一部のマニアな革靴テレマーカーが、3ピンビンディングがついた細板を試乗して楽しんでいた。

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うちのワンゲル部員たちも先輩テレマーカーたちと一緒に滑ることで、アドバイスをもらっていた。

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天気や雪の状況は関係ない。それを越える面白さがテレマークスキーにはあり、テレマーカーたちも熱い!

来シーズンは、北陸、中京、関西のさらに大きなコラボイベントを計画している。今回はそれに向けての弾みになったに違いない。

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March 21, 2023

奥美濃のワンゲル部山小屋周辺の残雪状況

私が顧問をしているワンダーフォーゲル部の春の山小屋合宿が今週末から始まるが、奥美濃では2月以降の降雪が少なく、3月に入ってからの気温の上昇もあって急激な雪融けが進んでいる。例年よりも1ヶ月近くは早く季節が進んでいる感じがする。山小屋に隣接するウイングヒルズ白鳥スキー場の営業も急激な雪融けで3月21日までとのことである。そのため、ウイングヒルズで3月26日に開催予定していたテレマークスキーのイベントについては、会場をウイングヒルズの向かいにあるスノーウェーブパーク白鳥高原に変更せざるを得なかった。この残雪状況では、ワンダーフォーゲル部が山小屋合宿で予定している雪上訓練や訓練山行の場所も変更せざるを得ないかもしれない。ウイングヒルズのリフト前売券がまだ残っていたこともあり、そのリフト券の消化も兼ねて、急遽、3月17日〜18日の日程で、山小屋周辺の残雪状況の確認に行ってきた。

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ウイングヒルズ白鳥スキー場は、ゲレンデの地肌がだいぶ見えていた。2週間前に滑った時よりもだいぶ雪融けが進んでいたが、この2週間でさらに雪融けが進んだようだ。

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ゴンドラでゲレンデトップに上がると、雲海であった。

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ワンゲル部の訓練山行の候補場所としている野伏ヶ岳であるが、ゲレンデトップから確認すると、スキーで登って滑れるだけの残雪はありそうだ。山頂から南面に全層雪崩の跡があるのが気になる。ここ最近の気温上昇によるものだろうか。急斜面では注意は必要そうだ。

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ウイングヒルズは南面に位置するスキー場のため雪融けが早いのだが、ウイングヒルズの向かいにあるスノーウェーブパーク白鳥高原は北面に位置するため、まだそれなりに雪が残っているように見える。どうやら3月26日に予定しているテレマークスキーイベントの開催は大丈夫そうだ。

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ゲレンデは湿雪でややブレーキのかかる雪だった。ゲレンデ練習は早めに切り上げることにした。

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山小屋の周囲は思ったよりは雪が残っていた。雪が緩んでいて、時々足を踏み抜く。

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部分的にはだいぶ笹が出ていた。2週間前はこの上に雪があって、その上を滑ったのだが。

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夕食はキムチ鍋とスパイスチキン。

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お酒と共にご馳走を味わった。

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翌朝は降雪があった。気温は2℃と高く、湿ったシャーベット状の雪が1cmほど積もっていた。

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前日の鍋の残りにうどんと焼き餅を入れて、ボリュームのあるな朝食を取った。

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雪融けが進んだ場所では、フキノトウが出始めていた。

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野伏ヶ岳方面の偵察にて白山中居神社まで行ってみた。雨でなければ、和田山牧場跡まで登る予定だったが、大進橋周辺の残雪状況を確認するだけに留めた。

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和田山牧場跡への林道の出だしには雪がなかった。林道はスキーを担ぐことになるだろうが、和田山牧場跡から上であれば、まだ充分な残雪がありそうな感じだ。

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ランチは久しぶりにさんたべーるで食べた。前菜とドリンクがついての価格としてはコスパがよい。

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福井周りで帰路についたが、荒島岳の登山口である勝原スキー場跡にはほとんど雪がなかった。

今回の偵察の結果、雪上訓練の場所はワンゲル部山小屋の裏山から和田山牧場跡周辺に変更となったが、訓練山行については予定通りに野伏ヶ岳等の石徹白の山で行うこととした。あとは天気に恵まれることは祈るだけだ。

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