大阪では万博が開催中であるが、混雑が激しいし、暑いしで、万博に行くことは考えていなかった。このままでは万博に行かないうちに終了してしまうのかと思っていたが、棚から牡丹餅で、急遽、万博へ行く機会が転がり込んできた。
生物多様性の研究に携わる者として、イタリア大使館から職場を通してのご招待だった。万博への入場は無料で、万博一の人気パビリオンでもあるイタリア館をVIPツアーで見学できるという特典まである。もちろん、イタリア館で行われる国際イベント「海洋・地球生物多様性の保全と持続可能な利用の実現に向けたイタリアと日本の取り組みー2030年までの共通の道筋と課題」に参加するという義務はある。
無料ならばもちろん行く。ついでに他のパビリオンも見学したかったが、チケットが手元に届いたのは1週間前を切っていたので、事前予約はできなかった。

万博の最寄り駅はOsaka Metro中央線の夢洲駅である。イベントの開催時刻に合わせて、万博チケットの来場日時は7月31日12時と指定されていたので、11時30分ぐらいに夢洲駅に到着した。なお、退場日時は3回まで変更することが可能のようだ。

多くの人が会場に向かうので、とりあえずついて行く。

地上に出ると、国旗が並ぶ。

案内に従って、東ゲートに向かう。

入場時に荷物チェックがあり、時間がかかることが予想されたが、平日の正午ということもあり、待つこともなく、あっさりと入場できてしまった。正面には大屋根リングが見える。

あまり下調べもせずに来てしまったので、イベント時刻までどうやって時間を潰すか迷う。入場から10分経つと、万博アプリで当日予約ができるということだが、残念ながら当日予約はできなかった。とりあえず大屋根リングを歩くことにした。

階段で大屋根リングの上に出る。エスカレータでも上がることができる。六甲方面の眺めである。

大阪市街地方面の眺め。しかし暑い。

さんふらわあフェリーが入港するところ。ダイヤでは朝に入港なのだが、なにかトラブルがあって遅れたのか。ほぼ1周したところで、あと2時間をどうやって過ごすか。とりあえずは予約なしで見学できるパビリオンへ行ってみることにする。

コモンズD館に入る。コモンズは複数の国が出展するパビリオンである。内部は冷房が効いていて快適である。

パレスチナも入っている。さすがにイスラエルとは共同出展はないようで、イスラエルは別のコモンズに入っている。

イタリア館のVIPツアーの集合時刻(14:30)になったので、イタリア館の前に行く。イタリア館の前の大屋根リングの下には大勢の人が並んでいたが、招待客はそのままイタリア館内部に案内された。

まずはミニシアターにて映像を見る。

映像が終了すると、スクリーンが開き、目の前に展示会場が現れて驚く。

アルトゥーロ・フェラリンの飛行機。大正時代に「ローマ―東京間飛行」を成し遂げた木製飛行機の骨格の復元である。

1585年にドメニコ・ティントレットによって描かれた伊東マンショの肖像画。1582年から1590年にかけてローマ教皇に謁見するためヨーロッパへ渡った4人の若き侍(天正遣欧少年使節)の1人でした。

イタリアの彫刻家JAGOの作品「Circulatory System」。それぞれの心臓の形は異なり、1つ1つの心臓が円になり、循環する様子を表している。

サイバーエコロジストを自称するアーティスト兼科学者であり、環境に対する若い芸術家世代の深い感受性を体現するオリアーナ・ペルシコの作品。肺と楽器の中間に位置するようなサイバネティックな有機体、すなわち「計算する臓器」をイメージしている。イタリア館と共に呼吸しながら、来場者に「空気の質を感じ取る」という稀なインタラクションを促している。

アトラスの彫刻。長いマントで覆われ、両手で肩の天球儀を持ち、猫背で膝を曲げたアトラスの姿である。

ボッチョーニの彫刻。芸術・工学・科学の融合を象徴する作品だそうだ。

復活したキリスト像。1514年メテッロ・ヴァリがミケランジェロに依頼し製作された最初のキリスト像である。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョによって制作された「キリストの埋葬」。

レオナルド・ダ・ヴィンチの「アトランティック手稿」からの貴重な素描の展示。

アーティスト、画家、彫刻家であるフランチェスカ・レオーネの作品。リサイクル素材を使用することで、物体に含まれる記憶を高め、廃棄物を美と反映の象徴に変えている。

VIPツアーが一通り終了すると、イベント会場に案内された。
イベントタイトルは、「海洋・地球生物多様性の保全と持続可能な利用の実現に向けたイタリアと日本の取り組みー2030年までの共通の道筋と課題」。このイベントの目的は、2023年と2024年にG7の議長国を務めた日伊両国が、2030年までに陸域・海域の30%を保全するという共通の目標への取り組みを強化し、環境分野においてリーダーシップを発揮するために何をどのようにやっていくのかを明確にするもので、プラスティックなどの海洋ゴミや侵略的外来生物の話題なども取り上げられた。保全というのは単に保護区を設けるというのではなく、如何に野生動物との軋轢を無くすかという問題とのバランスも取る必要がある。日本には里山という古い時代から人によって維持された自然があり、その里山の存在によって生物多様性の維持と、野生動物との軋轢が回避されていた。近年の里山の荒廃は生物多様性の喪失と野生動物との軋轢を生む結果となっており、里山の維持も重要な課題である。

イベントの言語は日本語とイタリア語の同時通訳で、スライドは主に英語で作成されていた。イベントには生態学関係者も招待されていて、知っている顔もあり。日本側からの登壇者であった五箇さんとも久しぶりに再会した。

イタリアからオンライン参加者もあり。

最後に登壇者による総括。
登壇者以外の参加者が発言する機会はなかったが、国際的な生物多様性の保全への取り組みの重要性は十分に認識できた。大学で生態学や生物多様性を教える立場として、教育という立場からの生物多様性の保全への貢献が期待されているのかもしれない。
イベント終了時には外はだいぶ涼しくなっていた。無料のパビリオンをいくつか見学して、混雑する前に会場を後にした。
今回は運良く招待にて万博に行くことができた。まだ万博は続き、もう一度訪れてみたい気はするが、混雑や入場料を考えると、これが最初で最後の万博となるだろうか。
Recent Comments