葛根田川・大深沢継続沢登り:概要と1日目(滝ノ上温泉〜葛根田川遡行〜幕営地)
初めての北東北の沢である葛根田川を遡行し、継続して大深沢も遡行してきた。同行したワンゲル部員たちにとっては初めての沢泊経験であっただけでなく、入渓前日に他パーティーにより事故があったり、下山時にクマに遭遇するなど実に盛りだくさんの内容であった。
【日程】2024年9月9日(月)〜11日(水)
【山域】八幡平・岩手山・秋田駒
【渓谷名】北上川水系 葛根田川、雄物川水系 大深沢
【メンバー】ワンゲル部主将、主務、マメゾウムシ
【天候】9/9 晴れ、9/10 曇り時々晴れ、9/11 曇り
【コー スタイム】
9/9 滝ノ上温泉駐車場5:58〜お函7:50〜葛根田大滝下10:15〜滝ノ又沢出合12:56-13:21〜幕営地14:12(泊)
9/10 幕営地6:29〜二俣6:34〜八瀬森山荘9:31-50〜関東沢出合11:01〜大深沢北ノ又沢出合12:44(泊)
9/11 深沢北ノ又沢出合6:43〜三俣7:41〜大深山荘12:22-57〜大深岳13:28〜小畚山14:32〜三ツ石山15:41〜三ツ石山荘16:14-35〜滝ノ上温泉分岐17:15〜林道出会18:20〜滝ノ上温泉駐車場19:07
休日出勤3日分の代休と残っていた夏季特別休暇1日分を利用して、ワンゲル部主将と主務の2名と初の北東北の沢へ行ってきた。当初に予定していたのは黒部川上ノ廊下だったのだが、そのための練習としての沢の計画がことごとく雨で中止になり、泳ぎや徒渉の練習がほとんどできなかった。致し方なく、沢のレベルを落とすことにした。日程は予備日を含めて6日間を空けていたので、移動に2日使って、行ったことのない北東北の沢に行くことにした。そこで沢の候補に上がったのが、癒やし系の沢の代表である葛根田川であった。葛根田川だけだと1泊2日で終わってしまうので、大深沢への継続とし、2泊3日の計画とした。
9月7日(土)の23時に堺を発ち、夜通し運転して、雫石の市街に着いたのは、翌日の13時半ぐらいであった。ここまで堺から14時間の時間を要していた。スーパーで買い出しを終えたら、入渓地となる滝ノ上温泉へ向かった。
雫石市街から滝ノ上温泉へは、距離20km、30分ほどの移動で着いてしまった。滝ノ上温泉駐車場には休憩舎を兼ねたきれいなトイレがあり、そこそこ涼しく、車中泊には快適な場所であったが、スマホの電波は入らなかった。
夕方に消防車やパトカーが何台もサイレンを鳴らしながらやってきた。何事かと思ったら、どうやら明通沢で滑落事故があったとのこと。まもなく日没を迎えるので、救助活動は翌朝からのようで、暗くなる時間には消防車やパトカーは戻っていった。
翌朝は早い時間から騒々しく、救助隊やマスコミ関係者が駐車場に集まっていた。救助に向かう救助隊の出発を見送ってから、我々も出発した。
水蒸気が上がる地熱発電所沿いの林道を進む。林道終点には消防車やパトカーなど救助関係者の車が駐まっており、出発の準備をしていた。我々は両サイドに救助隊メンバーがいる真ん中を「気をつけて」と言われながら、入渓地点への踏み跡へ進んだが、何とも変な感じだった。
踏み跡を進むと、葛根田川に出て、そこから遡行開始となった。
入渓地点から30分ほど進むと、エメラルドグリーンの美しい渓が始まる。
事故のあった明通沢の出合を過ぎる。
左岸の枝沢からナメ滝7mが落ちる。
最初の大きな淵が現れる。
大きな淵を右岸から通過すると、葛根田川のハイライトであるお凾が早速始まる。
お凾の中の2m滝。
お凾をヘツリながら通過するワンゲル部員。
きれいなナメ、切り立った岸壁を流れ落ちる滝、エメラルドグリーンの淵を見ながらゴルジュ状を進む。お凾を過ぎても、ナメや美しい淵は続き、実に癒やされる。
大石沢出合。
ナメ。
淵にはイワナの魚影もある。
3m滝を越える。
沼ノ沢出合。
中ノ又沢出合。
左岸の枝沢にかかる3段20m滝を過ぎると、
正面に2段15mの葛根田大滝が姿を現す。
葛根田大滝は左岸から高巻く。
高巻きの下降箇所にはお助けロープがついていた。
葛根田大滝の上の2m滝を越える。ここから幕営予定地である滝ノ沢出合まで釣りタイムとした。
いきなり最初に釣れたのが少し痩せ気味の尺イワナだった。
その後もイワナは釣れたが、ポンポンとは出てくれない。やはり直前の週末に多くの遡行者がいた影響だろうか。食べる分だけのイワナは確保できたが、ツ抜けまではいかなかった。
滝ノ又沢出合には13時に到着。先に進むか迷う。とりあえず、良いテン場が周辺か先にないか、分かれて探すことにした。出合から少し戻った左岸に快適な幕営地を私は見つけたが、ワンゲル部主将が次の二俣の近くに適地を見つけたというので、そちらへ行ってみることにした。
滝ノ又沢出合の先のCS3m滝を左から越える。
現場に着いてみると、確かに砂地で平らなのだが、明らかに川からの高さがなく、おまけに沢地形の下であり、雨が降ったら明らかに水に浸かる場所であった。そこは沢泊が今回初めての学生ということもあり、幕営地の見極めは甘かった。滝ノ又沢出合まで戻ることも考えたが、3mCS滝を越えたこともあり、少々面倒臭い。
砂地の上方に台地がありそうなので、様子を見に登ってみると、やや傾斜があるが、幕営できそうな台地があった。近くには水流もあり、本流まで下りずに水も得られる。多少不快でもここを今晩の幕営地とした。集めた薪はやや湿っていたが、なんとか火はついた。近くで山菜のミズも採れた。
釣ったイワナを塩焼きと刺身とあら汁にし、お酒と共に味わった。焚火を囲む一時は沢登りの醍醐味とも言える。
Comments