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September 26, 2024

金剛山 妙見谷:2年おきに歩く沢ルート

9月2回目の3連休は、最終日の天気が良かったので、2年半ぶりに金剛山の妙見谷を歩くことにした。

【日程】2024年9月23日(月)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 妙見谷
【メンバー】マメゾウムシ
【天候】曇り
【コー スタイム】金剛登山口バス停11:03〜妙見滝11:37〜山頂広場13:10-18〜金剛山13:27〜伏見峠13:53〜久留野峠14:23〜金剛山ロープウェイ前バス停14:49

妙見谷は沢装備なしでも遡行できる入門レベルの沢ルートである。前回歩いたのが2022年5月21日なので、2年半ぶりである。記録を見てみると、2018年からは2年おきに行っていることがわかった。特に意識はしていないが、沢としての魅力はないが、しばらく行っていないと気になってしまうルートのようだ。

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アクセスは公共交通機関利用にて、河内長野駅バス停から金剛山ロープウェイ前バス停行きの南海バスに乗り、金剛登山口バス停でおりる。しばらく金剛山ロープウェイ方面に歩くと、林道のゲートがある。2018年8月にあった妙見谷での死亡事故以降、林道のゲートには入山禁止の看板が貼られている。一般登山ルートではないので、行くならば自己責任となる。

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妙見谷の左岸にある林道を進むと、イヌショウマが咲いていた。

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ミズヒキとツリフネソウも咲いていた。

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林道が終了し、登山道のような道となると、左前方に妙見谷の連瀑が現れる。沢装備ならば、この連瀑からスタートとなる。今回は沢装備ではないので、妙見滝までは道をたどる。

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危険箇所にはハシゴやロープが設置されている。

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道を進むと連瀑の上に出るが、沢が倒木で埋まっている。倒木を掻い潜りながら進む。

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倒木帯を抜けると、妙見滝15mが現れる。妙見滝はロープがフィックスされている左岸から簡単に巻ける。

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妙見滝の上は、両岸が立っていて、ゴルジュチックである。雨の翌日ということもあり、水量は多めだった。

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中間部にある2m、4m、4mの連瀑が現れる。

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1段目の2mは左を登って、2段目の4mは左のお助けロープがあるところを登る。

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3段目の4mは、左から巻く。ここもお助けロープがある。

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巻いた所に岩があり、なぜかボルトが打たれており、ロープが固定されている。ボルダリングの練習場?

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その後も小滝は続く。沢装備ならば流心を難なく登っていけるが、トレランシューズで濡れないように進むのは結構テクニカルである。

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また小滝である。

左手で枯木を掴んだら、小指の付け根あたりにチクリと痛みが走る。刺した犯人はコアシナガバチだった。刺された瞬間は痛かったが、腫れもせずにすぐに痛みは引いた。先々週は東北の渓にてスズメバチらしきハチに刺されたが、患部は腫れて、2〜3日痛みが残り、その後痒みに襲われた。いまだ患部周辺は皮膚の色は広くうっすらと赤く、痒みが少し残っている。なお、過去にもスズメバチに刺された経験は2回ある。東北の渓刺された時は、やけに患部が広く赤くはなったが、アナフィラキーはでなかった。場所が場所的にそうなったらヤバかったが、どうやらハチを含め虫には体質的に強いのかもしれない。なお、沢行は問題なく続けられた。

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倒木にはえるヒトヨタケ。

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こちらはツキヨタケ。

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上部が開ける。この先は二俣状だが、左に進むと急なガレになってしまい、6年前に死亡事故があったところだ。正しくは右に進む。

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正しく右の樹林の中の流れへ進む。

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最後の詰めは倒木を掻い潜り、ガレを登る。

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踏み跡を進むと、山頂広場に出る。17℃と涼しい。

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雲の多い天気である。

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久しぶりに金剛山の山頂へも行ってみる。

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久留野峠まで散歩してから、金剛山ロープウェイ前バス停に下山した。途中では、台高の山が見えた。

2年半ぶりの妙見谷はそこそこ楽しめた。雨の翌日で、水量は多めだったこともあり、トレランシューズで濡れないように進むのは結構テクニカルだった。トレランシューズは結局濡らしてしまったが、むしろ沢靴の方が楽で楽しく進めたに違いない。

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September 22, 2024

附属植物園にて野外実習

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久しぶりに本業の話であるが、大学の生物学科の学生を対象に、「野外実習」という実験科目の実習を附属植物園にて行ってきた。

「野外実習」は、大学統合によって今年度から新たに担当する新カリキュラムの科目であるが、旧カリキュラムでも「野外実習」という科目はあり、担当もしていた。しかしながら、新カリキュラムでは、実習場所がこれまで行っていた場所から附属植物園に変わることになり、生物相も変化してしまう。そのため、ゼロから実習内容を考え直さないといけなくなってしまった。生物相は季節によっても変化するため、実習内容を見直すための下見は直前に行う必要がある。2日前に実習場所の下見をし、個体数が多く観察しやすいトンボと、抜け殻から種と個体数が把握できそうなセミに注目することにし、急遽、実習内容を考え直した。初年度は即興の実習内容となるため、うまくいくかわからない。人柱となる学年とも言える。

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午前中は植物園内にてセミの抜け殻を採集し、園内に生息するセミの種構成を調べることにした。

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十分な数の抜け殻が集まるか不安だったが、人海戦術により100以上の抜け殻を集めることができた。抜け殻から種と雌雄を同定した結果は以下のようになった。

アブラゼミ77、ミンミンゼミ25、ツクツクボウシ12、ニイニイゼミ7、ヒグラシ3、クマゼミ1

市街地にあるキャンパスでも同様な調査を行ったことがあるが、圧倒的にクマゼミが多く、その次にアブラゼミで、わずかにニイニイゼミがいる程度で、かなり種構成に違いがあることがわかった。クマゼミはもともと海岸部でよく見られたセミということもあり、アスファルト舗装された乾燥した都市部の環境には進出しやすいのではないだろうか。一方で、附属植物園は郊外に位置し、舗装されていない地面が多い環境であるため、クマゼミが進出しにくいのかもしれない。

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タブノキの新芽にはアオスジアゲハが卵を産み付けていた。

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地面からはオオイチョウダケと思われる大型のキノコが生えていた。

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午後は水生植物を育てているプールに集まるトンボの種数を把握し、トンボの縄張り行動の観察を行った。

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ショウジョウトンボ

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アキアカネ

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ハグロトンボ

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大型のギンヤンマは常に飛行しながら縄張りを旋回し、侵入者がいれば追い出す。

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中型のシオカラトンボはプールの縁にとまって、侵入者がいれば飛行して追い出す。

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小型のクロイトトンボは常にスイレンの葉にとまっていて、侵入者があれば飛行して追い出すが、シオカラトンボに比べると追い出し行動の頻度は少なく、他個体が近くまで近づかないと行動はおこさない。

縄張りの広さはトンボの体サイズに比例するようである。ギンヤンマが飛んでいると、シオカラトンボはとまったままで飛ばない。飛んでしまうとギンヤンマに追いかけられてしまう。

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アメンボ

最後にフィールドにおけるリスクマネジメンについて説明して終了となった。初めての附属植物園での実習であったが、即興の実習内容の割には結構興味深いことがわかった。今年度の反省点から観察方法についてしっかり詰めれば、そこそこ面白いデータが得られる実習になりそうだ。

野外実習も終わり、ワンゲル部員への沢指導も終えて、執筆の方も一段落し、ようやく自転車操業状態から解放されそうだ。

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September 16, 2024

東北遠征沢登り 番外編

今回の東北遠征沢登りは以下の日程で行われた。

 

9月7日(土)23時堺発

9月8日(日)雫石で買い出し、滝ノ上温泉着

9月9日(月)〜11日(水)葛根田川・大深沢継続沢登り

9月12日(木)森吉山 桃洞滝

9月13日(金)10時堺着

 

沢登りの報告はすでにアップ済みなので、移動途中の風景を紹介しておく。

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田沢湖

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田沢湖にいた小魚の群れはウグイ?

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道の駅あに・マタギの里に立ち寄る。クマを始め、動物たちの木彫りが迎えてくれる。

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剥製あり。ニホンオオカミもいる?

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男鹿総合観光案内所にある巨大なまはげ像。

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道の駅岩城アキタウミヨコに併設されている港の湯で日の入りを迎える。

この後、大阪堺までの夜間の長い帰路についた。

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森吉山 桃洞滝:沢行のクーリングにて

葛根田川・大深沢継続沢登りを終えた翌日は、森吉山の東を流れるノロ沢の桃洞沢(とうどさわ)にある桃洞滝を見に行くことにした。女性的な桃洞滝、ブナ林とナメを見ながらのハイクは、3日間の沢行の疲れを癒やすものであった。

【日程】2024年9月12日(木)
【山域】八幡平・岩手山・秋田駒
【渓谷名】阿仁川水系 桃洞沢 桃洞滝
【メンバー】ワンゲル部主将、主務、マメゾウムシ
【天候】曇り時々雨
【コー スタイム】森吉山野生鳥獣センター9:38〜ノロ川・黒石分岐9:58〜黒石登山道分岐10:24〜桃洞滝10:51-11:00〜ノロ川・黒石分岐11:53〜森吉山野生鳥獣センター12:07

葛根田川・大深沢継続沢登りを終えた翌日は、森吉山の東を流れるノロ沢の桃洞沢と赤水沢の日帰りでの周回沢登りを予定していた。しかしながら3日間の沢行の疲労は濃く、長い帰路も考慮して、桃洞滝を見に行くだけのハイクに変更した。裏岩手と森吉山は山域的には近いのだが、双方の登山口は山地をはさんで反対側にあるので、車での移動は120kmほどの移動を要する。

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入山口は森吉山野生鳥獣センターになる。雫石から3時間ほどの移動であった。森吉山野生鳥獣センターでは、周辺の自然の解説展示が行われている。注目すべきは、周辺一帯が本州では貴重なクマゲラの生息地になっていることだ。他の野生動物や植物も豊富である。

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桃洞滝への遊歩道に入ると、キノコが出ていた。シロハツだろうか?

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見事なブナ林の中を歩くが、ヤブ蚊とブヨが多すぎる。顔や手など肌の露出部分だけでなく、服の上にも多数のカがたかってくる。薄い服はヤブ蚊の口が貫通する。ヤブ蚊から逃げるように早歩きで進むしかない。

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樹林の中の道から沢沿いの道に出る。早速ナメが出迎えてくれる。沢に出ると、ヤブ蚊はいなくなる。

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本日は沢装備ではなく、ハイク装備のため、水の中は歩かない。

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ひたすらナメが続く。

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桃洞滝40mが現れる。女性的なセクシーな滝だ。


見学後は再びカに襲われながら往路を戻る。美しいブナ林のハイクだったが、ヤブ蚊とブヨの多さには辟易した。それを除けば、3日間の沢行のよい疲労抜きにはなった。この後、大阪への長い帰路につくのだった。

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September 15, 2024

葛根田川・大深沢継続沢登り:3日目(大深沢北ノ又沢出合〜大深山荘〜三ツ石山〜滝ノ上温泉)

葛根田川・大深沢継続沢登りの3日目の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

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3日目の朝は曇りがちの天気であった。そのためか朝はそんなに冷え込まなかった。焚火を熾してからお湯を沸かし、前日に引き続き、茶漬けで簡単な朝食を取る。

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疲れが溜まっているのか、前日より少し遅めの出発となった。

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出発して北ノ又沢をしばらく行くと、7m滝が現れる。

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7m滝は左からシャワーを浴びながら越えたが、その上にも2m滝があった。流れを横断して左岸から越えた。

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しばらく進むと、巨大なスダレ状の滝が見えてくる。ナイアガラの滝20mである。幅は30mはある。

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ナイアガラの滝は、一番左側の滝の右をフリーで越える。

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ホールドとスタンスは豊富だったので、ロープは出さなかったが、初心者がいる場合はロープで確保した方がよいだろう。

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滝上は景色が一変し、ナメが続く。

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ナメを歩いて行くと、仮戸沢・東ノ又沢・北ノ又沢が合流する三俣に到着する。真ん中の北ノ又沢を進む。その後もナメと滝が現れるが、滝は簡単に越えられた。

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枝沢2段20m滝(左)と北ノ又沢の6m滝(右)

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6m滝は左から越えた。

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6mナメ滝は右から越える。

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4m幅広滝。

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6mナメ滝。

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標高1250m付近から沢の傾斜が急になり、流れが滝状になる。

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急な流れの最後は5m2条滝。

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シャワーを浴びながら越えるワンゲル部員たち。

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滝上は水量が減り、湿原の中の流れとなり、源頭の雰囲気となる。イワナは5m2条滝が魚止かと思ったが、源頭部の緩い流れの溜まりに3匹ぐらい良型イワナがいた。

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やがて水流がなくなり、藪になる。そのまま沢沿いに進んで行くと、どんどん大深山荘から離れてしまうので、途中から大深山荘に向けてのトラバースに入る。これが激しい藪漕ぎになり、なかなか進まない。トータル1時間半ほどの藪漕ぎでようやく登山道に出た。ちょうど大深山荘のすぐ下であった。

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休憩のために大深山荘に立ち寄ると、どこかで見覚えのあるお顔の人がいるではないか。テレマークスキー界では有名なDVD「ゆきむし」のすーさんでした。登山道の維持作業での滞在とのことで、こんなところでお会いできるとは実に驚きのことであった。大深山荘で沢装備を解除し、ランチタイムとする。

大深山荘から滝ノ上温泉に下山するには、裏岩手縦走路の長い縦走を要する。そう長居はできない。すーさんにお別れを言い、下山に向けて出発する。

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まずは大深岳の山頂を踏む。今回の最高地点1541.4mである。

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長い裏岩手縦走路を進む。

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小畚山を越える。

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登山道上になぜかコウモリがいた。種類まではわからなかった。

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小畚山の次の小ピーク1448.1mを越えると、山頂の岩が特徴的な三ツ石山が現れる。3日間の疲れと股ずれでペースが上がらない。急にガスが出てきて、小雨がパラつく。

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スキーで2回ほど来たことのある三ツ石山に到着する(2009年3月16日2021年2月21日の記録)。

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エゾオヤマリンドウの白花が咲いていた。

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道しるべのようにウソ(メス)が先頭を進む。

三ツ石山荘に16時14分に到着する。ここから滝ノ上温泉まではコースタイム1時間半の下りだけだが、完全に足が逝ってしまっているし、股ずれも悪化している。コースタイムの2倍はかかりそうである。

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急下降に入ると、天使の梯子が現れる。

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自分のペースが上がらないので、途中からワンゲル部員2名には先に進んでもらい、マイペースで下りることにした。途中で日没となり、ヘッデンを点けて歩く。滝ノ上温泉駐車場に着いたのは19時を過ぎていた。先に下山したワンゲル部員は途中で木の上にいたクマに遭遇したそうだ。人に気づいたクマはすぐに木を下りて逃げたらしい。事故にならず、なによりだった。

下山後は、22時まで営業している雫石プリンスホテルにある雫石高倉温泉で汗を流した。入浴料は800円であった。中国人観光客がここでも多かった。

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夕食は遅くまでやっていそうなお店が多い盛岡まで出ることにした。調べて見つけたのは0時まで営業している盛岡食堂だった。私は焼肉丼に盛岡まで来たのだから盛岡冷麺を注文した。ボリュームもあって美味しかった。ワンゲル部員2名もガッツリ食べた。

今回は初めての北東北の沢だった。長い下山はキツかったが、美しいナメと自然に癒やされた3日間だった。今回はワンゲル部員たちと同行したが、彼らにとっては事故遭遇に加えて、初めての沢泊に、沢継続、激しい藪漕ぎ、美しいナメと滝、食糧の現地調達、下山に縦走を要し、クマが出没するなど、たいへん貴重な経験となったのではないだろうか。このような経験を積み重ねていくことで、山ヤとしても成長していくだろう。今後の活躍を期待したい。今回はイワナの入れ食いを期待したが、そこまで釣れなかったのは残念だった。下山時に大深山荘の近くで東ノ又沢を遡行してきた2人組にお会いしたが、彼らもあまり釣れなかったとのこと。「最近に大水があったようで、その影響があるのではないか」とも言っていた。週明けの入渓ということで、週末の入渓者の影響が残っていたのかもしれない。あとでわかったことだが、1日前に入渓者はいたようだ。今回はイワナが減ったのではなく、たまたまと信じたい。自然はこちらの思い通りにはならないものである。美しい自然が永久不変であることを願いたい。東北の沢は遠いが、また再訪したいと思う。その前にバックカントリースキーで行く可能性は高いが。

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葛根田川・大深沢継続沢登り:2日目(幕営地〜八瀬森山荘〜大深沢関東沢下降〜北ノ又沢出合)

葛根田川・大深沢継続沢登りの2日目の記録です。概要についてはこちらをご覧ください。

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2日目の朝は5時起床で、火を熾す。朝食を簡単にお茶漬けで済ませ、6時半に幕営地を出発した。

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すぐに二俣に着き、入口が10m滝となっている左俣に入る。右俣を進むと大白森に出て、明通沢を下降して滝ノ上温泉に戻れる。9月8日の事故は、この明通沢下降時に起こったようだ。あとでわかったことだが、事故を起こしたのは、東京の3人パーティーで、1名が滑落し、1名が下山して救助要請をし、残った1名は滑落者とともに現場で1泊し、翌朝に無事ヘリコプターで救助されたようだ。

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10m滝の上は小滝の連瀑となる。

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連瀑を越えると、標高を稼いだこともあり、水量は一気に減り、樹林の中の緩い流れとなる。

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ナメが連続する。

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ポットホールもある。

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左俣に入って2時間ほどで10m滝が立ち塞がる。右岸の枝沢から巻こうとしたが、これが失敗で本流から方向的に離れていってしまう。途中からトラバースで本流に復帰したが。余計な藪漕ぎと小さい沢の横断を何度か繰り返した。10m滝のすぐ左側を登るのが正解だったようだ。

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水流のない小滝を超える。

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平坦になると、大場谷地湿原に出た。

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少々はっきりしない登山道に出て、左へ進むと八瀬森山荘があり、しばらく休憩とした。

大深沢への下降は、登山道を少し戻ったところから、湿原を左(北)方向へと下りていく。湿原には秋の花が咲いていた。

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オクトリカブト

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エゾオヤマリンドウ

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ウメバチソウ

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しばらく進むと水量が次第に増えていく。はっきりとした沢になると、イワナの魚影が走るようになる。

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4m滝は右岸から下りる。

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関東沢出合まではイワナの魚影は濃かった。釣りをするならば、魚に見られやすい下降釣りにはなるが、この範囲で行うべきであったかもしれない。なぜか関東沢出合より下流は魚影が極端に減ってしまった。

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大きな深い釜をもった4m滝に進路を塞がれる。

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右岸側を少し登ったところに、残置のスリングがあったので、それを支点にして、懸垂下降で下りた。今回の沢行で唯一ロープを使った箇所である。この懸垂下降の前にいきなり左腕をハチに刺される。ハチの種類を判別できなかったが、痛さ的にスズメバチの感じがした。しばらく痛かったが、行動に支障はなかった。

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岩にミヤマサナエがとまっていた。

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八瀬森山荘から3時間ほどで大深沢北ノ又沢出合に到着する。ナイアガラの滝上にある三俣まで行く時間はあったが、快適そうな平坦地が右岸にあったので、2泊目の幕営地とした。

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幕営地近くで釣りをしてみたが、毛鉤への反応がやけに悪く、2匹しか釣れなかった。魚影の濃かった関東沢出合付近で竿を出すべきであった。やはり幕営地近くはみんな竿を出すので、魚影が薄くなるだけでなく、魚もスレてしまったのかもしれない。

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大深沢のイワナは黒みの強い個体だった。

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この日の薪はよく乾いていて、すぐに火がついた。釣った2匹のイワナは塩焼きにして3人で分けて食べた。前日よりもうまく焼けていて、外パリパリ、中はフワフワで実に美味かった。

葛根田川・大深沢継続沢登り:3日目につづく

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葛根田川・大深沢継続沢登り:概要と1日目(滝ノ上温泉〜葛根田川遡行〜幕営地)

初めての北東北の沢である葛根田川を遡行し、継続して大深沢も遡行してきた。同行したワンゲル部員たちにとっては初めての沢泊経験であっただけでなく、入渓前日に他パーティーにより事故があったり、下山時にクマに遭遇するなど実に盛りだくさんの内容であった。

【日程】2024年9月9日(月)〜11日(水)
【山域】八幡平・岩手山・秋田駒
【渓谷名】北上川水系 葛根田川、雄物川水系 大深沢
【メンバー】ワンゲル部主将、主務、マメゾウムシ
【天候】9/9 晴れ、9/10 曇り時々晴れ、9/11 曇り
【コー スタイム】
9/9 滝ノ上温泉駐車場5:58〜お函7:50〜葛根田大滝下10:15〜滝ノ又沢出合12:56-13:21〜幕営地14:12(泊)
9/10 幕営地6:29〜二俣6:34〜八瀬森山荘9:31-50〜関東沢出合11:01〜大深沢北ノ又沢出合12:44(泊)
9/11 深沢北ノ又沢出合6:43〜三俣7:41〜大深山荘12:22-57〜大深岳13:28〜小畚山14:32〜三ツ石山15:41〜三ツ石山荘16:14-35〜滝ノ上温泉分岐17:15〜林道出会18:20〜滝ノ上温泉駐車場19:07

休日出勤3日分の代休と残っていた夏季特別休暇1日分を利用して、ワンゲル部主将と主務の2名と初の北東北の沢へ行ってきた。当初に予定していたのは黒部川上ノ廊下だったのだが、そのための練習としての沢の計画がことごとく雨で中止になり、泳ぎや徒渉の練習がほとんどできなかった。致し方なく、沢のレベルを落とすことにした。日程は予備日を含めて6日間を空けていたので、移動に2日使って、行ったことのない北東北の沢に行くことにした。そこで沢の候補に上がったのが、癒やし系の沢の代表である葛根田川であった。葛根田川だけだと1泊2日で終わってしまうので、大深沢への継続とし、2泊3日の計画とした。

9月7日(土)の23時に堺を発ち、夜通し運転して、雫石の市街に着いたのは、翌日の13時半ぐらいであった。ここまで堺から14時間の時間を要していた。スーパーで買い出しを終えたら、入渓地となる滝ノ上温泉へ向かった。

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雫石市街から滝ノ上温泉へは、距離20km、30分ほどの移動で着いてしまった。滝ノ上温泉駐車場には休憩舎を兼ねたきれいなトイレがあり、そこそこ涼しく、車中泊には快適な場所であったが、スマホの電波は入らなかった。

夕方に消防車やパトカーが何台もサイレンを鳴らしながらやってきた。何事かと思ったら、どうやら明通沢で滑落事故があったとのこと。まもなく日没を迎えるので、救助活動は翌朝からのようで、暗くなる時間には消防車やパトカーは戻っていった。

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翌朝は早い時間から騒々しく、救助隊やマスコミ関係者が駐車場に集まっていた。救助に向かう救助隊の出発を見送ってから、我々も出発した。

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水蒸気が上がる地熱発電所沿いの林道を進む。林道終点には消防車やパトカーなど救助関係者の車が駐まっており、出発の準備をしていた。我々は両サイドに救助隊メンバーがいる真ん中を「気をつけて」と言われながら、入渓地点への踏み跡へ進んだが、何とも変な感じだった。

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踏み跡を進むと、葛根田川に出て、そこから遡行開始となった。

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入渓地点から30分ほど進むと、エメラルドグリーンの美しい渓が始まる。

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事故のあった明通沢の出合を過ぎる。

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左岸の枝沢からナメ滝7mが落ちる。

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最初の大きな淵が現れる。

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大きな淵を右岸から通過すると、葛根田川のハイライトであるお凾が早速始まる。

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お凾の中の2m滝。

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お凾をヘツリながら通過するワンゲル部員。

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きれいなナメ、切り立った岸壁を流れ落ちる滝、エメラルドグリーンの淵を見ながらゴルジュ状を進む。お凾を過ぎても、ナメや美しい淵は続き、実に癒やされる。

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大石沢出合。

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ナメ。

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淵にはイワナの魚影もある。

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3m滝を越える。

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沼ノ沢出合。

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中ノ又沢出合。

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左岸の枝沢にかかる3段20m滝を過ぎると、

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正面に2段15mの葛根田大滝が姿を現す。

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葛根田大滝は左岸から高巻く。

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高巻きの下降箇所にはお助けロープがついていた。

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葛根田大滝の上の2m滝を越える。ここから幕営予定地である滝ノ沢出合まで釣りタイムとした。

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いきなり最初に釣れたのが少し痩せ気味の尺イワナだった。

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その後もイワナは釣れたが、ポンポンとは出てくれない。やはり直前の週末に多くの遡行者がいた影響だろうか。食べる分だけのイワナは確保できたが、ツ抜けまではいかなかった。

滝ノ又沢出合には13時に到着。先に進むか迷う。とりあえず、良いテン場が周辺か先にないか、分かれて探すことにした。出合から少し戻った左岸に快適な幕営地を私は見つけたが、ワンゲル部主将が次の二俣の近くに適地を見つけたというので、そちらへ行ってみることにした。

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滝ノ又沢出合の先のCS3m滝を左から越える。

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現場に着いてみると、確かに砂地で平らなのだが、明らかに川からの高さがなく、おまけに沢地形の下であり、雨が降ったら明らかに水に浸かる場所であった。そこは沢泊が今回初めての学生ということもあり、幕営地の見極めは甘かった。滝ノ又沢出合まで戻ることも考えたが、3mCS滝を越えたこともあり、少々面倒臭い。

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砂地の上方に台地がありそうなので、様子を見に登ってみると、やや傾斜があるが、幕営できそうな台地があった。近くには水流もあり、本流まで下りずに水も得られる。多少不快でもここを今晩の幕営地とした。集めた薪はやや湿っていたが、なんとか火はついた。近くで山菜のミズも採れた。

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釣ったイワナを塩焼きと刺身とあら汁にし、お酒と共に味わった。焚火を囲む一時は沢登りの醍醐味とも言える。

葛根田川・大深沢継続沢登り:2日目につづく

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September 06, 2024

金剛山 高天谷左俣:今シーズン4度目は台風10号後の偵察

山は2週間のブランクが空いてしまったので、平日に休暇を取得し、今シーズン4度目の遡行となる金剛山の高天谷を遡行してきた。

【日程】2024年9月5日(木)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 高天谷 左俣
【メンバー】マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】高天彦神社駐車場10:39〜高天滝下10:48〜10m大滝下11:02~二俣12:02~郵便道(920m地点)12:33-12:43~高天彦神社駐車場13:31

東北遠征を間近に控えていながら、台風10号の接近など週末の天気がパッとしなかったこともあり、山は2週間のブランクが空いてしまった。これでは体力的にマズイと思い、平日に休暇を取得し、トレーニングと台風10号の被害がなかったかという偵察を兼ねて、ホームの金剛山の高天谷を遡行してきた。高天谷は今シーズン4度目の遡行となる(2024年5月25日7月28日8月3日の記録)。

平日でありながら、高天彦神社の駐車場にはそこそこ車が駐まっていたが、満車になることはなかった。暑さのピークを過ぎたのか、遡行準備だけで汗だくになることもなかった。堺の街中ではセミの鳴き声は聞かなくなったが、山ではまだミンミンゼミとツクツクボウシが鳴いていた。

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入渓地点である高天滝6m。平水よりやや水量が多いという感じだ。高天滝は右にあるハシゴを使って巻く。

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3m滝と背後の堰堤は、右岸からまとめて巻く。

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沢が開けて、10m大滝が現れる。倒木が1本増えている。大滝は左岸から高巻く。

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高天谷はもともと倒木が多かったが、新たな倒木も多少は見られた。台風10号の接近時は、大阪の街中ではほとんど被害はなかったが、山間部はそこそこ雨が降ったり風が吹いたのかもしれない。それでも新たに増えた倒木はそれほど多くはなく、ほぼ台風10号の影響はなかった感じである。過去には台風通過後に渓相が変わってしまったこともあった。

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連瀑帯に入り、倒木のかかる5m滝は右側を直登で超える。

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ゴルジュ状になる連瀑帯。

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トイ状5m滝はシャワーを浴びながら越える。暑さのピークを過ぎたこともあり、水に冷たさを少々感じた。

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壊れた堰堤と倒木。

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相変わらずの倒木で埋まった二俣であった。

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左俣へ進むと、すぐに3段30mの大滝が現れる。登りやすそうな右側から取り付く。

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次の3m滝も直登する。

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最後の3m滝を越えると、植林の中の緩い流れとなり、そのまま詰めていくと、左上方に登山道(郵便道)が見えてくる。最後まで特に問題はなく、登山道に出て遡行終了。遡行終了地点はだいぶ涼しかった。

今シーズンの5月に今シーズン初めて高天谷を遡行した時は、1時間早く出発していながら、今回よりも遅く下山していたので、その時に比べればまだ体力的にはマシだった。東北遠征を直前に控えて一安心というところである。

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