中央アルプス 正沢川 細尾沢:今シーズン初の沢泊
8/11-12の1泊2日にて、中央アルプスの細尾沢を、山仲間2名と遡行してきた。細尾沢は、アルプスの沢だけあり、スケールが大きく、明るく美しい沢であったが、下山の長さには閉口した。
【日程】2023年8月11日(金)〜12日(土)
【山域】中央アルプス
【渓谷名】木曽川水系 正沢川 細尾沢
【メンバー】どうちゃん、ばるちゃん、マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】
8/11 コガラ登山口7:36〜正沢川吊り橋8:05-12〜玉の窪沢との二俣10:50〜正沢との二俣12:28〜細尾大滝下13:17-30〜細尾大滝高巻き終了14:14-25〜2160m二俣幕営地15:02
8/12 幕営地6:24〜森林限界大岩(2530m付近)8:14〜木曽駒ヶ岳10:13-46-〜玉乃窪山荘11:20-27〜八合目水場12:14-26〜七合目避難小屋13:18-27〜力水14:44-56〜幸ノ川徒渉地点15:25-35〜コガラ登山口16:03
8/11-12の1泊2日にて、中央アルプスの細尾沢を、山仲間2名と遡行してきた。奥美濃のワンゲル部山小屋滞在6日間からの継続になるので、前日に木曽まで150kmの下道ドライブを行った。登山口である木曽駒高原に到着したときには、すでに周囲は暗くなっていた。登山口は木曽駒冷水公園という無料のキャンプ場になっていて、お盆休みということもあり、多くのキャンパーで賑わっていた。周囲はテントと人だらけで、車を駐める場所がわからず、まさにカオス状態だった。結局、道の駅日義木曽駒高原まで戻って車中泊した。
翌朝に再びキャンプ場となっている登山口まで上がり、一番上部になんとか駐める場所を確保できた。隣には沢に入ると思われる2人組が出発の準備をしていた。我々も準備をし、7時半に駐車場を出発した。2日間の天気は良さそうで、増水の心配はまずはなさそうだ。
福島Bコース・茶臼山分岐には、親切なことに沢登りコースの案内がある。この先で釣り人とすれ違う。魚は釣れるのだろうか。一応、テンカラ竿はザックに忍ばせてある。
正沢川吊り橋に出る。かなり簡易的な吊り橋であるが、元々の吊り橋は増水で流されてしまったようだ。ここから入渓となる。先行の単独の遡行者が準備をしていた。ちょうど上流から下ってきたパーティーがいたが、沢の往復もしくは周回だろうか。
入渓した正沢川は、渇水の時期にもかかわらず、水量が多く、大岩だらけだった。最初は、釣りをしながらとも考えたが、とても重荷を担いで竿を持ちながらでは進めない。
天気は実によいが、単調な沢歩きが続く。
玉の窪沢との二俣は左俣へ進む。
源流の雰囲気が出てきた。試しにテンカラ竿を振ってみたが、生命反応はなく、魚影も見ることはなかった。入渓時に釣り人とすれ違ったが、そのせいか、それとも魚がいないのかはわからない。
本沢との二俣は左俣を進み、いよいよ細尾沢へ入る。単独の人が高台でマッタリしていた。ここまでちょこっと釣りをしたりはしたが、4時間もの単調な河原歩きだった。
6mのナメ滝が現れる。
6m滝はヌメリが酷く、実に滑りやすそうである。左から登ったが、念のため、ロープ確保をした。
その上もナメであった。
再び、開けた巨岩の堆積した河原となるが、しばらく進むと、前方左に大きな滝が見えてきた。
細尾沢最大の滝である細尾大滝40mである。
細尾大滝は左岸の枝沢から高巻くが、途中で誤った踏み跡に導かれしまった。そのまま進むと、危ういルンゼを横切らねばならないし、トラバースするには傾斜も急なので、枝沢に戻ることにする。枝沢は登るにつれて傾斜が増していく。ヌメリもあり、手が痺れるほど水も冷たい。今回はラバーソールの沢靴で来ていたが、念のため、サワーサンダルフエルトを着用した。枝沢は途中で左に入る。ここでヒヤリハットが発生する。右手で掴んだホールドに体重をかけて、右足を上げたところ、ホールドが剥がれた。右半身が空中に投げ出されて、体が円を描いた。幸いなことに、なんとか掴んでいたホールドから左手が外れずに耐えることができた。最悪の転落は免れることができた。先に登っていた同行者は、岩が落ちていく音に驚き、「大丈夫か」と声をかけてくれた。転落してたら、ただでは済まなかっただろう。危うい区間はほんの短い区間だったので、ロープ確保はしていなかった。ホールドの頑強さを、もう少ししっかり確認すべきだったというのが反省点である。山小屋滞在中の釣行でも、転倒で右眉毛の横を切るという怪我をしたが、1週間でヒヤリハットが2回あったこともあり、充分に気を引き締めなければと反省した。
標高2080mぐらいまで登ったら、下方向の踏み跡が樹林内にあったので、ついそちらに進んでしまった。標高差20mほど下ると、先ほど迷い込みそうになった危ういルンゼが下に見えた。方向的にも明らかに滝より下に向かっていたため、と元の標高2080mの所まで登り返す。正解はその位置から薄い踏み跡の斜面のトラバースであった。この踏み跡は、危ういルンゼのすぐ上をうまくトラバースしていた。
斜面をトラバースしている踏み跡をしばらく進むと、下方向に向かう踏み跡がある。その踏み跡を下降していくと、細尾沢に戻ることができた。
高巻き後は、連瀑となる。5m滝を右から越える。
4m滝は左から越える。
4m滝は右から巻く。
チョックストン滝3m。
15時に標高2160mの二俣に到着する。二俣では、先行していた岐阜ケルン山岳会の2人組が幕営していた。我々もかろうじてツエルトを張れるスペースを2つ見つけることができた。
沢泊の醍醐味はやはり焚火である。しばらく雨が降っていなかったこともあり、薪はすぐに燃え始めた。イワナがないのが残念であるが、それでも宴は盛り上がった。
すぐ近くの岩の割れ目にハコネサンショウウオがいた。
宴は20時過ぎに終了した。ファイントラックのツエルトロング2は中が広く、1人だと実に快適であった。
2日目は下山が長いので、4時半起床で、6時20分に行動開始した。すぐに10m滝が現れた。2日目の滝は、ナメ滝が中心で、滝のスケールの大きさに比べて、登るのは容易だったが、渇水のせいかヌメリが結構あった。念のため、ラバーソールの沢靴にサワーサンダルフエルトを着用した。
これは四条の滝17mだろう。一応、四条の流れに見える。
抜きつ抜かれつだった岐阜ケルン山岳会のメンバーに撮っていただいた記念写真。
20m以上の斜滝。
ナメ滝が続く。登るのは容易だが、ヌメリが結構ある。本来は花崗岩の沢なので、ヌメリがなくラバーソール向きのはずだが、これも渇水のせいだろうか。
6m滝。
高山蝶のベニヒカゲが岩にとまっていた。
3弾の滝を越える。
標高2500mの森林限界付近で水流がなくなる。
森林限界付近の低い樹林の中の沢筋を登る。
森林限界を超えるとガレ場登りとなる。
ウサギギクなど高山植物の花々が、ガレ場登りの癒やしとなってくれる。
落石が起こりやすいガレを、木曽駒ヶ岳の山頂まで標高差400mを詰める。
後続に岐阜ケルン山岳会がいるので、落石を起こさないように慎重に詰めていく。
最後は、多くのギャラリーに注目されながら、ロープを跨いで、木曽駒ヶ岳の山頂にポッと出た。ガレ場登りに2時間を要した。多くの一般登山者やハイカーにとっては、登攀具をつけた我々は相当に違和感のある存在だったに違いない。沢装備を解除して、昼食を取った。
登ってきた細尾谷を見下ろす。
山頂でどうちゃんと記念撮影。
山頂の木曽駒ヶ嶽神社にお参りしてから、下山に入る。
登山道脇に咲いていたトウヤクリンドウ。
下山は福島Bコースを下りる。
樹林に入るとキノコが出ていた。ハナビラタケ。
ベニテングタケ。
下山は実に長く、足はパンパンになる。八合目の水場から七合目の避難小屋まではアップダウンのあるトラバースで、実に長く感じた。七合目の避難小屋で休憩していると、沢装備をした多くの人たちが下りてきた。話を聞くと、幸ノ川を遡行して、下りてきたとのこと。幸ノ川は日帰りの沢だが、連瀑があるとのことで、機会があれば遡行をしてみたいものである。
その幸ノ川の徒渉地点に出る。すぐ上に堰堤があり、そのすぐ上から滝が出てくるようだ。
徒渉地点からは林道を下って、木曽駒高原に下山した。山頂から5時間もの時間を要した。最後は足はパンパンで、ヘロヘロ状態であった。
細尾沢は、久しぶりのアルプスの沢だった。アルプスの沢だけあり、スケールが大きく、明るく美しい沢であったが、下山の長さには閉口した。帰宅した翌日は1日ダウンしていた。年齢のせいか、最近はなかなか疲れが抜けない。今シーズンはもう1回ぐらいはアルプスの沢に行きたいが、やはりイワナが釣れる沢を選びたい。
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