ワンゲル部2月合宿2:雪崩対策とビバークについての雪上訓練
ワンゲル部2月合宿の前半2日間は、山小屋の雪下ろしとゲレンデでのテレマークスキー練習であったが、後半2日間では、山小屋の裏山にて、雪崩対策とビバークを中心とした雪上訓練を行う。裏山は、山小屋からシールを履いてお手軽に行けるワンゲル部のプライベートゲレンデである。なお、雪上訓練のための学習会を、事前に大学にて1日かけて行っている。そこでは、座学にて、雪崩リスク、雪崩現象、山岳の積雪、雪崩捜索、行動判断、積雪の不安定性評価について学び、キャンパス内にてビーコンの使い方について練習した。
前日の大雪から一転しての好天であった。ただし気温は高い。朝のうちはクラストしていた雪も、日中は緩んで湿雪重雪に変わるに違いない。
雪上訓練1日目は、シール登行にて、裏山の小ピークに上がる。出発時にはしっかりビーコンの動作確認を行った。
林道を進むワンゲル部員たち。1回生3人は初めてのシール登行である。
スノーブリッジを渡る。
滑りやすそうなカラマツ林を登る。ワンゲル部のプライベートゲレンデである。
天気も良い。
裏山の小ピークに到着。ここが現役部員にとって2日間のベースとなる。
遠くに木曽御嶽山が眺められた。
まずはピットを掘って積雪の観察をしてもらった。それから雪柱を切り出して、バーブテストとコンプレッションテストについて指導した。
ピットから雪洞構築に入る。
2ヶ所から穴を掘り、中で貫通させて、現役部員6人が泊まれる雪洞を作る。とても2月とは思えない春山のような締まった雪で、掘るにはかなりの労力を要した。
例年ならば2m以上はある小ピークの積雪が1m60cmと少なく、雪洞が掘れるか危惧したが、案の定、掘り進むと地面が出てしまった。そこからは雪洞を2段構造にすることで、なんとか6人が泊まれる雪洞を構築できた。
現役部員には、実際に雪洞に宿泊してもらった。ちょっと窮屈だったとのこと。
私とOBは山小屋に戻って、温々と過ごした。小ピークから山小屋までは滑って30分であったが、想定通りの悪雪重雪でかなりテクニカルな滑りが要求された。スキー経験の浅い現役部員たちが、翌日の下山で滑って下りられるか危惧するところだ。
雪上訓練2日目の朝は、山小屋から再び小ピークに登り、雪洞に泊まっていたワンゲル部員たちと合流した。
行く途中で、ゴジュウカラ、コガラ、エナガなどのカラ類の混群を見かけた。写真はゴジュウカラ。
まずは斜面でのビーコン捜索訓練を行った。雪崩の走路を想定した斜面に、ビーコンを深めに2つ埋める。全員がビーコンをサーチモードにして捜索し、プロービングで位置を特定してスコップで掘り出す。この作業を、如何に効率よく短時間で行えるかが重要だが、5分前後でできていた。
次に、ビバーク訓練として、ツエルトの使い方について実践してもらった。まずは一番簡単な使い方であるツエルトを被るだけ。
スキーを使ってツエルトをテント状に張る。
雪洞での宿泊は実際にしてもらったが、ザックを埋めての簡易イグルー(かまくら)作りも経験してもらった。
雪に穴を掘って、その上にザックをまとめて置く。
ザックの上にツエルトを被せる。
その上に雪を積んで、ペタペタと固める。
埋めたザックを取り出すと、空洞ができる。
ちょっと狭いが、人が緊急避難できる簡易イグルーとなる。
ついでに上からプロービングを行い、人の感触を経験してもらった。以上でビバーク訓練は終了。
問題は下山である。
一昨日は南岸低気圧の通過で重い湿雪が積もったのだが、昨日今日は晴れて、気温も上昇したことで雪は生コン状態に。
スキー歴の浅いワンゲル部員にはかなり厳しいコンディションだったが、若さと体力で、何度も転けてもしっかり起き上がり、全員無事に山小屋に帰還できた。4日間は厳冬期の2月とは思えない春山のような天候と雪質だったが、ワンゲル部員たちにとっては、よい経験になったと思う。
Comments
いゃ~、実に充実した冬合宿ですねぇ
これだけの内容の講習が無料で受けられるなんて
(私も受けたい。。。笑)
それにしても、学生さん達のスキー道具はどうして調達しているのです?
板やビンディングはお下がりがあっても、靴はなかなか合わないのでは?
Posted by: CIMA | February 16, 2023 07:23 PM
シマさん、どうもです。
私がかってJANで受講したセイフティキャンプの内容がベースで、そこに私のオリジナルでビバーク訓練などを入れています。
学生にその価値ち意義がわかっているかが気にはなるところです。
道具については一部は私のテレ仲間からの寄付で、一部は新規で購入していますが、それはOBOGの寄付金にもとづくものです。
どうしてもないサイズのブーツは新規で購入しています。
ただし1名だけは自腹で自分の道具を購入しています。
自分で購入した以上、テレマークをものにするという意欲は感じています。
Posted by: マメゾウムシ | February 17, 2023 11:03 PM