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September 22, 2022

奥美濃 荒倉谷川 アラクラ滝3段50m:ワンゲル部員が大滝登攀に挑戦して敗退!

ワンダーフォーゲル部が奥美濃に所有する山小屋の維持作業のため、9月16日から19日の日程で、ワンゲル部員たちと山小屋に滞在した。1日ぐらいは登山活動をしたいということで、精鋭のワンゲル部員2名と大滝登攀に挑戦することにした。

【日程】2022年9月16日(金)
【山域】奥美濃
【渓谷名】長良川水系 前谷川支流 荒倉谷川
【メンバー】ゆか、Mくん、マメゾウムシ(OMUNWV部)
【天候】曇り時々晴れ
【コー スタイム】檜峠9:53〜荒倉谷川取水口11:29-12:27〜アラクラ滝下13:54〜アラクラ滝3段目敗退地点16:12〜アラクラ滝下17:26〜白山禅定道アラクラ滝道標17:41-18:01〜檜峠18:47

初めて荒倉谷川を遡行したのは5年前の7月のこと(2017年7月15日の記録)。奥美濃の白鳥からは石徹白を経て白山まで続く白山美濃禅定道がある。前谷集落から石徹白の檜峠までは、その旧道が残っている。その旧道から見えるのが荒倉谷川にかかるアラクラ滝である。地形図では荒倉谷川には水線は描かれておらず、滝のマークが1つ描かれているだけである。その滝マークの位置がアラクラ滝である。無雪期は樹木が邪魔し、滝の音はするが、その滝の姿を見ることができない。そのため幻の滝と呼ばれている。アラクラ滝は3段50mの高さがあり、5年前は2段目までは同行者のIくんがフリーソロで2登っているが、3段目は偵察のみで終えている。今回はそれ以来の再訪であり、私が直接に指導してきた精鋭の現役ワンゲル部員2名と、そのアラクラ滝の登攀に挑戦することにした。ワンゲル部員にとっては初めての大滝登攀であった。

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山小屋入りしたのが前夜遅くだったこともあり、山小屋を出発したのは10時近い時間だった。この遅い出発が後々に響くことになる。白山禅定道を下っていくと、いきなり正面にカモシカが立ち塞がる。道しるべのように我々の前を進み、立ち止まってはこちらを見る。

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白山禅定道はアラクラ滝の上流部を横切るが、沢の中をサワガニが歩く。

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白山禅定道はちょうどアラクラ滝のある右岸にある尾根上を通るが、その場所にはアラクラ滝の道標がある。しかしながら樹木の葉が茂っているため、アラクラ滝の音はするが、その姿を見ることはできない。途中、シカの姿を見る。

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寄り道が多かったせいか、入渓地点である荒倉谷川取水口に着いたのは、出発してから1時間半を越えていた。さらに入渓地点でゆっくりと沢支度を整えたり、昼食を取ったり、テンカラ竿を振ってみたり、リスが現れたりして、さらにまったりと1時間も過ごしてしまった。ただでさえ出発が遅かったのにに、このあたりののんびりさが後々に時間切れ敗退となる理由となった。

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ようやく荒倉谷川に入溪したのは、12時半近くであった。

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すぐに小滝の連瀑となる。

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やや水量は多いが、問題なく小滝を超えていく。

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意外と釜が深かったりする。

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飽きない。

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ナメもあったりする。

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前回は藪沢のイメージだったが、今回はそんなに藪は濃くないと思うのはなぜだろう。

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5m滝が現れる。

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5m滝は容易に越えられる。

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程なく、大きな滝が現れる。アラクラ滝3段50mである。時刻はすでに14時近くであったが、この時は日没前にこの滝を越えられると思っていた。

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アラクラ滝の1段目とその背後に2段目。1段目の4m滝はノーロープで容易に越えられる。

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2段目とその上に3段目の滝。2段目からロープを出しての登攀となった。2段目は18m〜20mほどの高さがあり、私がリードで右壁を登り、ハーケン2枚を打ってクリアした。ホールドスタンスは豊富であった。

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ワンゲル部員が続いて登る。2番目のMくんはフリクションノットで登ってもらった。

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最後に登るゆかは初めてのハーケンを抜く作業にも挑戦した。しっかりハーケンを回収してくれた。

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2段目を登り切ると、圧倒的な迫力ある3段目が立ち塞がる。高さは25m以上はありそうだ。

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どう登るか思案するが、直登の困難さを感じる。

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前回は左岸の泥壁を少し登って偵察だけにとどめたが、前回同様に巻き気味に左岸の泥壁を上部の岩盤まで登れば、その後に落ち口に伸びるバンドをトラバース気味に登れそうな感じがする。

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念のため、泥壁もロープを出して登る。

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真横から見た3段目は、やはり直登は難しそうである。

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泥壁を登り切ると岩盤となり、少し登った所から落口に向けてバンドが走っているように見える。出発が遅かったため、すでに時刻は16時。とりあえず、ハング気味の岩盤の突破を私が試みるが、ちょっと厳しい。そこでクライミングのセンスのあるワンゲル部員にトップを交替する。彼女にとっては初めてのリードである。

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なんと私が突破できなかったハング気味の岩盤をクリア。バンドの様子を見てもらうが、泥々で今にも崩れそうな狭いスタンスで、かなり悪そうとのこと。中間支点を取れる立木もないため、ハーケンかカムを打って突破する必要がありそう。スラブ状のため、それらを入れるリスやクラックがない可能性もある。そこから私がトップでとも思ったが、時間がかかると日没してしまう。ここで時間切れ敗退となった。

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30mロープを2本つないで、立木を支点に懸垂下降にて滝下に下りる。2段目の下までちょうど30mの長さ一杯であった。

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滝下からは、右岸の崩れやすい泥壁を白山禅定道まで木を掴みながら登る。

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なんとか日没までに白山禅定道に出ることができた。あとはヘッデン点灯で何とかなるが、桧峠までは登りである。

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途中で暗くなり、ヘッデンを点灯して歩く。無事、山小屋まで戻って、9時間の行動を終えた。

今回は敗退であったが、ワンゲル部員にとっては初めての大滝登攀を経験し、得たものは多かったに違いない。今回のリベンジはおそらく
来シーズンになるだろうが、次回は本流出合から遡行せずに、アラクラ滝だけを目的に早出で行きたい。

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Comments

結構ホンキすね

ご無事で、かつ楽しめたようで何より

Posted by: | September 22, 2022 06:50 AM

鎌さん、たまにはね。
どうもでした。

Posted by: マメゾウムシ | September 22, 2022 12:20 PM

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