比良 明王谷 口ノ深谷
パッとしない天気予報だった先週末でしたが、比良方面は土日とも天気がもちそうということで、ワンダーフォーゲル部員のOさんと比良方面の沢へ行ってきた。初級レベルの沢登りは何度か経験済みのOさんであるが、もう少し沢登りのグレードを上げたいというリクエストもあり、土曜日に口ノ深谷、日曜日に奥ノ深谷を計画することにした。まずは口ノ深谷の報告です。
【日程】2022年8月6日(土)
【山域】比良
【渓谷名】安曇川水系 明王谷 口ノ深谷
【メンバー】Oさん、マメゾウムシ(OMUNWV部)
【天候】曇り
【コー スタイム】坊村(葛川市民センター)駐車場7:06〜口ノ深谷出合7:48-8:19〜13m滝下11:24〜上部がナメ状の10m滝下13:48〜15m滝下14:35〜登山道交差点15:50-16:12〜ワサビ峠16:26〜御殿山16:33〜坊村18:06
比良の明王谷での沢登りは、奥ノ深谷(2018年6月18日の記録)と白滝谷(2015年6月27日と2020年7月24日の記録)の遡行経験はあるが、口ノ深谷は私にとっては初めての沢である。どんな沢登りになるか、実に楽しみであり、新鮮さをもって臨むことができそうである。今回のパートナーは私が顧問をしているワンダーフォーゲル部の3回生であるOさんである。Oさんはテレマークスキーやテンカラ釣りにも挑戦し、初級レベルの沢登りはすでに何度か経験済みである。今回は、もう少し沢登りのグレードを上げたいというOさんのリクエストもあり、2級レベルの口ノ深谷と奥ノ深谷の遡行を目的とした。
初日に口ノ深谷を遡行することにした。前夜のうちに登山口である坊村に入り、車中泊で朝を迎えた。どんよりとした天気であるが、ヤマテン予報では天気がもつとのこと。琵琶湖の東側の長浜では前日に大雨による河川の氾濫があったばかりだが、こちらは安曇川本流の流れを見た感じでは平水と思われる。最近は線状降水帯の形成による局地的な大雨が多くなっているが、琵琶湖の東と西という距離的には近い所にもかかわらず、これだけ状況が異なるのは実に驚きでもある。これも地球温暖化によるものだろうか。沢ヤさんたちは増水を心配をしていたのか、この日に沢登りで入山するのは我々だけのようだった。
出発前にOさんから、片方のコンタクトレンズの調子が悪いことを打ち明けられた。片目は眼帯をしていくとのこと。これが後で遡行時のスピードに影響することになるのだった。
明王谷沿いの林道を進むと、Oさんがあっと驚く。なんと3匹のマムシが絡み合っていた。1匹はすぐに逃げていったが、残りの2匹は絡み合ったまま。どうやら繁殖行動中のようだ。気がつかなかったら、踏んづけていたところだった。
林道を40分ほど歩いた口ノ深谷の道標があるところから入渓するが、なんやらOさんの様子がおかしい。なんと足にヒルがくっついていた。今にも血を吸い出しそうなヒルを除去し、靴の中にいるヒルも取ってあげた。自分の足下を見ると、自分の靴にもヒルが1匹くっついていた。入渓前にヒルの洗礼を受けてしまったが、これは想定内のとことであった。
口ノ深谷の出だしは、鬱蒼とした暗い樹林の中の流れから始まった。
すぐに小滝が現れて、最初の連瀑帯が始まる。
最初の斜滝5mは水際をへつって、流れの中央を登る。
次の斜滝7mは直登はできそうだったが、水流が強そうだったので、右のガレから巻くことにした。巻きではあるが、ガレが崩れやすいので、念のためロープを出した。ビレイ体勢に入って、Oさんの登ってくるのを待ったが、一向に登ってこない。しばらくして、ようやく登ってきたが、ビレイ解除等のこちらの声が滝の音で聞こえなかったとのこと。「ロープが出るのが止まってからある程度時間が経って、勢いよくロープが上がりだしたら、登ってきてもよい。」と説明したが、このあたりの阿吽の呼吸がわかるようになるには、何よりも経験を積んでもらうことが重要であるだろう。ホイッスルを使ってもよかったのだが。
ゴルジュの奥に7m滝が現れる。手前の右にあるガレからロープを出して巻いたが、これがひじょうに崩れやすくて悪かった。滝の手前の右壁を登った方がよかったのかもしれない。ここまでだいぶ時間を消費してしまった。
倒木が多い所があるが、和泉山塊の沢に比べれば、だいぶマシである。Oさん、片目のため、スピードが出ない。
形のよい8m直瀑が現れる。左のガレから落口に伸びるバンド上の踏み跡を使って巻く。
3m滝を越える。
途中で旧道が横切り、そのまま進むと、奥に13m滝が現れる。
13m滝は下をくぐって、右のガレから巻く。
13m滝の落口に出る。
まだ半分も来ていないのに、もう正午である。最悪でも日没までには登山道に出たい。
5m滝は直登で越える。
チョックストン6m滝が現れる。
チョックストン6m滝は左から直登するが、少々悪いので、Oさんにはお助け紐を出した。
ナメ滝が現れて、少し癒やされる。
またナメ滝。
8m滝が現れる。右岸の踏み跡を使って、容易に巻く。
斜滝4mを越える。
上部がナメ状の10m滝は、右岸から楽に越える。
3mと4mのチョックストン滝が2つ現れる。岩の間をくぐっていく。
岩の間から続く10m滝の飛沫が見えるが、これも岩をくぐって越える。
10m滝の全貌を見ることなく、落ち口に出る。
前半でロープを出してかなり時間をロスしたが、後半はロープを出す場面が少なく、だいぶスピードアップはできた。
ナメ滝4mを越えると、
ラスボスの15m滝が現れる。口ノ深谷最大の滝である。
15m滝の左にあるガレを登ってみると、左から右上するバンドを使って簡単に登れそうである。
念のためロープを出して登ってみたが、なんと落口付近がツルツルである。立木と残置ハーケンでランニングを取り、落口付近の左壁を滑らずになんとか登って、無事滝上に出ることができた。Oさんのビレイを信じてはいたが、結構冷や汗ものであった。
滝上は平凡な流れとなる。
中峠からワサビ峠への登山道が横切る所で遡行終了である。奥の左岸の台地にツエルトが張ってあった。16時前だったので、なんとか日没までには下山できそうである。
沢装備を解除して下山に入る。
ワサビ峠と御殿山を経由して、
坊村に下山。
今回の口ノ深谷遡行は、下山時間も含めると合計11時間の行動時間となり、沢登りとしてはそこそこハードであった。Oさんのコンタクトレンズの不調で、スピーディーな遡行ができなかったことも、長時間行動となった原因ではあるが、そこそこ登攀要素があり、巻きに使うガレが悪かった点も時間がかかった要因である。私個人のグレードでは奥ノ深谷よりも口ノ深谷の方が難しいと思ったのだが、いかがなものだろうか。今回は立場的に全てリードしたが、そろそろ部員にもリードをしてもらってもよいかもしれない。翌日は疲れが残っていたこともあり、白滝谷でまったり沢登りとなったのであった。
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