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August 30, 2022

扇ノ山 上地川 唐戸谷

扇ノ山の唐戸谷を遡行してきた。渓流釣りを除くと、初めての鳥取県での沢登りであった。唐戸谷は豊かな広葉樹林の中にある美しい癒やし系の谷であった。

【日程】2022年8月28日(日)
【山域】中国東部(扇ノ山)
【渓谷名】千代川水系 上地川(わじがわ) 唐戸谷
【メンバー】どうちゃん、ばるちゃん、マメゾウムシ
【天候】曇りのち晴れ
【コー スタイム】上地登山口9:22〜30m大滝下11:02〜登山道13:08-28〜大ヅッコ13:40〜扇ノ山14:01-19〜上地コース分岐14:41〜上地登山口15:42

これまで渓流釣りを除くと、中国地方での沢登りの機会はあまりなかった。昨年に遡行した兵庫県の笠形山の滝ノ谷と段ヶ峰の倉谷川ぐらいである。雪のある時期によく行く氷ノ山や扇ノ山にも遡行価値のある沢はある。これまで単に中国地方の沢を意識していなかっただけである。今回は、山仲間のどうちゃんより、扇ノ山の鳥取県側にある唐戸谷を遡行しようというお誘いがあり、初めての鳥取県での沢登りとなったのだった。

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土曜日の午後にわかさ氷ノ山キャンプ場に集合し、その晩は宴会キャンプとし、日曜日に唐戸谷を遡行する。涼しい環境のおかげで、前夜はまったりと過ごすことができた。少々深酒とはなったが、遡行への影響は少ないだろう。

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翌朝にキャンプ場から下界に下りても、沢に入るのを躊躇するぐらいのこの夏一番の涼しさであった。河合谷林道に入り、落石に注意しながら上地コースの登山口へ向かう。登山口には車が2〜3台ほど駐車できるスペースがある。

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登山口からすぐに入溪できる。入溪地点は二俣になっていて、右俣が本谷で、左俣が唐戸谷である。

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左俣である唐戸谷に入る。周囲は豊かな広葉樹林である。

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すぐに2mほどの滝が現れて、それを越えると、6mの幅広滝が現れた。左を登れそうだが、岩が脆かったので、左から巻いた。

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深い釜を持つ3m滝も左から巻いた。

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続く3m滝は中央突破。

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倒木の多い所を通過する。

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ゴルジュ状に両岸が狭まってくる。

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ゴルジュの中に連瀑が現れる。左岸からは枝沢の20mの滝が入り、正面の奥には逆くの字4m滝がある。まず左をへつる。

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逆くの字4m滝は、左から入るルンゼを登って越える。続く8mは、右を巻いた。

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再びゴルジュ状となって、2m滝を越える。

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4m滝は私は右を直登する。

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他の2名は左のバンド状から越える。

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両岸が高くなってくると、

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30m大滝が現れた。

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少し戻った所から右岸を高巻く。

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なんか獣臭がするなと思ったら、クマ糞があった。

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滝のすぐ上に下りたかったので、12mほどの懸垂下降にて沢床へ戻る。

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休憩をしてから、遡行を再開する。周囲は豊かなブナ林である。

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再び滝が現れる。

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連瀑となり、10m滝はシャワーを浴びながら直登する。流れの中にはホールドとスタンスは豊富だが、涼しい日なので、シャワーを浴びるのは結構冷たい。

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続く5m滝は右を巻く。

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二俣となり、左俣の5m滝を越える。

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最後の2条4m滝を越える。

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急に源頭の様相となる。

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急に水量が減る。

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最後の詰めは、掘り割り状の水路となる。

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藪漕ぎもなく、登山道に出て、遡行終了。沢装備を解除する。

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そのまま大ヅッコから下山でもよかったのだが、他の2名からの勧誘を断れず、扇ノ山の山頂を踏む。無雪期としては初めての山頂であった。雪のある時期と比べると、雪の高さがない分、周囲の木々が高く感じた。

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氷ノ山方面の展望。

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日本海側の展望。

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大ヅッコ付近の分岐まで戻って、上地コースの登山道に入る。この尾根は但馬尾根と言うらしい。周囲の様子を見ると、大ヅッコと扇ノ山の間のコルからトラバースにて上地コースに入れたと思う。

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尾根は最初だけ平坦だったが、その後は尾根は急になり、ほぼ同じ傾斜が続く。尾根の幅もあるので、スキー向きの斜面かもしれない。滑りやすい箇所もあるので、ストックがあれば楽である。

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分岐から1時間ほどで上地登山口に下山できた。

唐戸谷は、適度な間隔で滝が配置され、ゴルジュあり、30mの大滝ありで、最後は美しいブナ林で締めとなった。見事なナメがあるわけではなかったが、豊かな広葉樹林の中を流れる癒やし系の美しい沢であった。中国地方の沢もこれからは開拓していこうと思う。

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August 24, 2022

金剛山 イワゴノ谷:遡行図の確認のために再訪

どこもパッとしない天気予報だった先週末は、土曜日の天気がもちそうだったのが近場だけだった。昨シーズン(2021年6月12日の記録)に遡行した金剛山のイワゴノ谷を再訪し、前回に作成した遡行図の確認と修正を行った。

【日程】2022年8月20日(土)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 イワゴノ谷
【メンバー】Hくん、マメゾウムシ
【天候】曇り
【コー スタイム】高天彦神社駐車場9:44~最初の堰堤10:10-10:23~15m滝落ち口10:55~830m二俣12:26-32~ダイトレ合流13:19-34~郵便道分岐13:48~高天彦神社駐車場14:45

先週末はどこもパッとしない天気予報だったが、近場だけは土曜日の天気がもちそうだった。近場というと、金剛山の高天谷がすぐに思い浮かぶが、先週に行ったばかりである。さすがに今回は別の谷に行くとして、昨シーズン(2021年6月12日の記録)に遡行した金剛山のイワゴノ谷を再訪することにした。今回のパートナーは、前回と同じくワンダーフォーゲル部OBのHくんであった。前回は遡行図の作成も行ったが、今回はその遡行図の確認と修正を行うことにした。

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スタート地点は高天谷と同じく、金剛山の奈良側にある高天彦神社である。9時半ぐらいに到着したが、駐車場に充分な空きがあった。

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イワゴノ谷は高天谷とは尾根を1つ隔てて南側にあるので、入溪の前に尾根越えをする必要がある。まずは迂回登山道の方向に向かう。獣侵入防止用の柵があり、扉を開けて中に入る。入溪までこのような扉を何度か開け閉めすることになる。

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伏見山菩提寺方面の案内に従って、高天谷とイワゴノ谷の間の尾根に出て、その尾根を下降する。

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案内に従って、ほとんど流れのないイワゴノ谷を渡って、道を進むと、伏見山菩提寺の横に出る。菩提寺とは反対方向の右に進む。

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正面に伏見道の入口を見て、右へ進むと、また柵があるので、扉を開けて中に入る。

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林道をそのまま進むと、イワゴノ谷の入渓地である堰堤に出る。この堰堤は右から越える。

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小さな堰堤が現れるが、右から超える。

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最初の滝である12m滝が現れる。左岸にある踏み跡で高巻く。

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前回は懸垂下降で下りたが、今回は木を掴みながら、クライムダウンで落口に下りてみた。結構きわどいクライムダウンで、スリップしたら滝を落ちてしまう。安全第一ということであれば、懸垂下降、もしくはさらに踏み跡を辿って大きく巻いた方がよいだろう。

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12m滝の落口。

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3m斜滝。12m滝の上は、ゴルジュ状の中に滝が連続する。

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イワゴノ谷最大の15m滝が現れる。

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15m滝は、一般には左岸から高巻くようだが、我々は前回に引き続き、右岸の泥壁から小さく巻く。

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落口に出るところの木々が煩いが、ちょうど落口に出る。泥壁は崩れやすいが、慣れていれば、こちらの巻き方の方が楽だと思うが。

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すぐにチョックストン3m滝。

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チョックストン3m滝はステミングで越えるが、Hくんは2回も落ちる。3回目にクリア。

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古い堰堤を左から越える。

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しばらく平凡な流れとなる。

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4m斜滝が現れると、これは4段で、5m、4m、5mとつづく。上の写真は2段目の5m。

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3段目の4m。直登で越えるが、意外と手こずった。

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チョックストン3m滝から次の5段の連瀑が始まる。5段の連瀑は、右岸からまとめて巻く。前回は最上段4mの下に出て直登したが、今回はこれもまとめて巻いた。

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次は2条12m滝が現れるが、上部を右に回り込んで越える。

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ナメと小滝が続いた後に、4m斜滝。

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ナメ。

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倒木が多い箇所を通過する。

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標高830mの二俣に着く。左俣には水流がなかった。右俣と左俣の間に水流があり、上部に滝があるので、三俣のようでもある。

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水流のある本流の右俣を進むが、倒木が多い。

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水流がなくなる。

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最後の4m滝をが現れる。前回はこの4m滝を越えて、右へ進んだが、今回は左の踏み跡を進んでみる。

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結構急な詰めとなる。右へ進んだ方が楽だったかもしれない。

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ヒーヒー言いながら急登を登り、ダイトレに出て遡行終了。千早園地の展望台の近くであった。

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郵便道にて高天に下山。

1年ぶりのイワゴノ谷だったが、天気も持ってくれて、そこそこ楽しめた。今回の遡行にて、前回に作成した遡行図に若干の修正を行った。

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修正した遡行図です。

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August 13, 2022

金剛山 高天谷 左俣:ラバーソール沢靴のデビューにて

先日、人生初のラバーソール沢靴である秀山荘製の忍者を購入した。その忍者を通い慣れた金剛山の高天谷にて試履きしてみた。

【日程】2022年8月11日(木)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 高天谷 左俣
【メンバー】マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】高天彦神社駐車場12:41~高天滝下12:50~10m大滝下13:03~二俣14:05~郵便道(920m地点)14:33-43~高天彦神社駐車場15:31

沢靴はこれまで秀山荘オリジナルを主に使っていたが、残念ながら2021年3月でお店が閉店してしまった。関東在住時は池袋まで買いに行っていた。キャラバンやモンベルの沢靴も履いたことはあるが、秀山荘製が一番自分に合っていた。大阪に来てからは通販で購入していた。まだ在庫は通販で買えるが、ラバーソールの忍者26cmがあったので、ついポチッてしまった。ちなみにフェルトソールの26cmはもう在庫がなかった。これまではフェルトソールしか使ったことはなく、初のラバーソールとなるが、これが最後の秀山荘製の沢靴となるだろうか。ちなみにラバーソールの沢靴を初めて出したのは秀山荘であるらしい。

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その人生初のラバーソール沢靴である忍者を、通い慣れた金剛山の高天谷にて試履きしてみた。高天谷は7月に土砂と倒木で埋まった右俣を遡行したばかりである。高天谷の岩は花崗岩質ということもあり、もともとヌメリが少なく、実にラバーソール向けの谷と思われた。

遅めの出発で、午後からの入渓となった。山の日ではあるが、猛暑の正午過ぎということもあり、高天彦神社の駐車場には充分に空きがあった。午後からでも行けるのが、お手軽な高天谷の良いところである。

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高天滝6mからの入渓だが、いつも通りに左岸のハシゴで巻く。

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3m滝と背後の堰堤は、右岸からまとめて巻くが、ラバーソールで快適に登れる。

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かっての10m滝は左岸から高巻くが、崩れやすい泥壁もラバーソールで快適に登れる。

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連瀑帯へ入る。

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5m滝の直登は問題なし。

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核心部へ入って行く。

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イワタバコ。

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キツリフネ。

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ゴルジュの中へ。

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トイ状5m滝が現れる。ラバーソールで問題なく超える。

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倒木埋まった二俣に到着する。前回は土砂と倒木で埋まった右俣を進んだが、今回は左俣へ進む。

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すぐにラスボスの左俣大滝が現れる。2段で20mほどの高さである。左側を直登するが、特に滑ることもなく快適に登れた。

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最後の3m滝を越える。

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登山道(郵便道)に出て、遡行終了。アブがうるさくまとわりつく。スパッツとグローブを外したら、そのままラバーソールで下山へ。

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登山道上にあった温度計。標高900mで25℃であった。

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高天彦神社の駐車場に下山。遡行2時間、下山1時間ほどであった。

ラバーソール沢靴での高天谷の遡行は実に快適そのものであった。巻きではフエルトほど滑らないし、乾いた岩ではグリップ力がしっかりしている。濡れた岩でもヌメっていなければまったく問題なかった。部分的に水苔のついている岩もあったので、試しに足を置いてみると、確かにそういう岩では滑りやすかった。そこはフラットに足を置くことで対応はできたが、全体的にヌメっている谷ではかなり苦労しそうである。遡行終了時に靴を履き替える必要はなく、そのまま下山できるのが楽である。これからは沢の状況次第で、ラバーソールとフエルトソールを使い分けることになりそうだ。

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August 10, 2022

比良 明王谷 白滝谷:まったりと水と戯れる!

口ノ深谷を遡行した翌日は、当初の予定では奥ノ深谷に行くはずだった。しかしながら、2人とも前日の疲れがだいぶ残っていたこともあり、急遽、当日の朝に癒やし系の白滝谷に行き先を変更した。疲労抜きを兼ねて、水と戯れながらマッタリと沢登りを楽しんだ。

【日程】2022年8月7日(日)
【山域】比良
【渓谷名】安曇川水系 明王谷 白滝谷
【メンバー】Oさん、マメゾウムシ(OMUNWV部)
【天候】曇りのち晴れ
【コー スタイム】坊村(葛川市民センター)駐車場8:37〜白滝谷入渓地9:32-58〜白石谷出合11:56〜白滝下12:50-13:06〜夫婦滝下13:35-40〜夫婦滝上13:50-14:17〜オトワ池14:49〜白滝山15:05〜わさび天滝15:52〜伊藤新道出合16:22〜坊村17:00

前日の口ノ深谷の遡行の疲れと飲み過ぎのため、すっかり朝は寝坊してしまった。前日は久しぶりの登攀系の沢だったこともあり、2人とも体はバキバキであった。テンションも低いので、行き先を、当初の奥ノ深谷から癒やし系の白滝谷に変更することにした。白滝谷は過去に2回遡行したことがあるので、概要はわかっている(2015年6月27日2020年7月24日の記録)。この日は、疲労抜きを兼ねながら、白滝谷で水と戯れながらマッタリと沢登りを楽しむことにした。前日と異なり、この日は沢登りと思われる人たちが駐車場には結構いた。

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前日と同じく明王谷沿いの林道を進み、口ノ深谷出合より少し奥にある白滝谷出合より入渓する。この日はヒルは靴にくっついていなかった。

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岩の上にウスバカミキリがいた。大型のカミキリムシである。

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朝のうちは曇りだったが、だんだんと日差しも出てきて、水と戯れるにはちょうど良いぐらいの暑さになってきた。

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早速、チョックストン3m滝の釜に入るOさん。

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いったん右から滝を越えた後に、再び釜に飛び込み、今度は左から越えるOさん。前日の疲れはどうなった?

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積極的に水線を攻める。年寄りも若者に付き合わされる。

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白石谷出合に到着する。奥には布ヶ滝25mが見える。

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岩肌に滑る3m滝。

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3m滝は穴を潜って越える。

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2条5m滝は左を登る。

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7m斜滝も左を登る。

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2段4m斜滝も左を登る。

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次々と滝が現れるので飽きない。どの滝も登れる。

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大岩帯を通過する。

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潜って越えたり。

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白滝8mに到着する。

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白滝の釜で泳ぎの練習をするOさん。

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白滝を左岸から巻くと、ナメ滝3段12mが現れる。

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Oさんはナメ滝でウォータースライダーを楽しむ。ナメ滝は左からフリクションを効かして登る。

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斜滝15mが現れるが、左を簡単に登れる。

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廊下状の流れを越えると、2段2条18mが現れる。高さはあるが、中央を直登する。

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遡行終了点である夫婦滝2条25mに到着する。

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夫婦滝の釜でも水と戯れるOさん。

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遊びに飽きたところで、夫婦滝を左岸から巻く。探勝道があるので、容易に滝上に上がれる。

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滝上には壊れかけた御堂があり、沢装備を解除する。下山は沢沿いの登山道も取れるが、白滝山を経由することにした。

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沢沿いのやや不明瞭な登山道を登り、オトワ池に出る。

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白滝山への道も不明瞭だが、だいたいの方向を進めばなんとかなる。

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あまり整備されていない伊藤新道を下山した。途中にあったわさび大滝。やはり白滝谷沿いの道を沢装備のまま下山した方が速くて楽だったかもしれない。

ワンゲル部員のOさんに付き合わされて、積極的に水線通しに進むのは楽しかった。水と戯れる若者は、なんとも可愛らしいものだった。

YouTubeにアップした記録動画です。

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比良 明王谷 口ノ深谷

パッとしない天気予報だった先週末でしたが、比良方面は土日とも天気がもちそうということで、ワンダーフォーゲル部員のOさんと比良方面の沢へ行ってきた。初級レベルの沢登りは何度か経験済みのOさんであるが、もう少し沢登りのグレードを上げたいというリクエストもあり、土曜日に口ノ深谷、日曜日に奥ノ深谷を計画することにした。まずは口ノ深谷の報告です。

【日程】2022年8月6日(土)
【山域】比良
【渓谷名】安曇川水系 明王谷 口ノ深谷
【メンバー】Oさん、マメゾウムシ(OMUNWV部)
【天候】曇り
【コー スタイム】坊村(葛川市民センター)駐車場7:06〜口ノ深谷出合7:48-8:19〜13m滝下11:24〜上部がナメ状の10m滝下13:48〜15m滝下14:35〜登山道交差点15:50-16:12〜ワサビ峠16:26〜御殿山16:33〜坊村18:06

比良の明王谷での沢登りは、奥ノ深谷(2018年6月18日の記録)と白滝谷(2015年6月27日2020年7月24日の記録)の遡行経験はあるが、口ノ深谷は私にとっては初めての沢である。どんな沢登りになるか、実に楽しみであり、新鮮さをもって臨むことができそうである。今回のパートナーは私が顧問をしているワンダーフォーゲル部の3回生であるOさんである。Oさんはテレマークスキーやテンカラ釣りにも挑戦し、初級レベルの沢登りはすでに何度か経験済みである。今回は、もう少し沢登りのグレードを上げたいというOさんのリクエストもあり、2級レベルの口ノ深谷と奥ノ深谷の遡行を目的とした。

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初日に口ノ深谷を遡行することにした。前夜のうちに登山口である坊村に入り、車中泊で朝を迎えた。どんよりとした天気であるが、ヤマテン予報では天気がもつとのこと。琵琶湖の東側の長浜では前日に大雨による河川の氾濫があったばかりだが、こちらは安曇川本流の流れを見た感じでは平水と思われる。最近は線状降水帯の形成による局地的な大雨が多くなっているが、琵琶湖の東と西という距離的には近い所にもかかわらず、これだけ状況が異なるのは実に驚きでもある。これも地球温暖化によるものだろうか。沢ヤさんたちは増水を心配をしていたのか、この日に沢登りで入山するのは我々だけのようだった。

出発前にOさんから、片方のコンタクトレンズの調子が悪いことを打ち明けられた。片目は眼帯をしていくとのこと。これが後で遡行時のスピードに影響することになるのだった。

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明王谷沿いの林道を進むと、Oさんがあっと驚く。なんと3匹のマムシが絡み合っていた。1匹はすぐに逃げていったが、残りの2匹は絡み合ったまま。どうやら繁殖行動中のようだ。気がつかなかったら、踏んづけていたところだった。

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林道を40分ほど歩いた口ノ深谷の道標があるところから入渓するが、なんやらOさんの様子がおかしい。なんと足にヒルがくっついていた。今にも血を吸い出しそうなヒルを除去し、靴の中にいるヒルも取ってあげた。自分の足下を見ると、自分の靴にもヒルが1匹くっついていた。入渓前にヒルの洗礼を受けてしまったが、これは想定内のとことであった。

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口ノ深谷の出だしは、鬱蒼とした暗い樹林の中の流れから始まった。

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すぐに小滝が現れて、最初の連瀑帯が始まる。

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最初の斜滝5mは水際をへつって、流れの中央を登る。

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次の斜滝7mは直登はできそうだったが、水流が強そうだったので、右のガレから巻くことにした。巻きではあるが、ガレが崩れやすいので、念のためロープを出した。ビレイ体勢に入って、Oさんの登ってくるのを待ったが、一向に登ってこない。しばらくして、ようやく登ってきたが、ビレイ解除等のこちらの声が滝の音で聞こえなかったとのこと。「ロープが出るのが止まってからある程度時間が経って、勢いよくロープが上がりだしたら、登ってきてもよい。」と説明したが、このあたりの阿吽の呼吸がわかるようになるには、何よりも経験を積んでもらうことが重要であるだろう。ホイッスルを使ってもよかったのだが。

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ゴルジュの奥に7m滝が現れる。手前の右にあるガレからロープを出して巻いたが、これがひじょうに崩れやすくて悪かった。滝の手前の右壁を登った方がよかったのかもしれない。ここまでだいぶ時間を消費してしまった。

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倒木が多い所があるが、和泉山塊の沢に比べれば、だいぶマシである。Oさん、片目のため、スピードが出ない。

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形のよい8m直瀑が現れる。左のガレから落口に伸びるバンド上の踏み跡を使って巻く。

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3m滝を越える。

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途中で旧道が横切り、そのまま進むと、奥に13m滝が現れる。

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13m滝は下をくぐって、右のガレから巻く。

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13m滝の落口に出る。

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まだ半分も来ていないのに、もう正午である。最悪でも日没までには登山道に出たい。

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5m滝は直登で越える。

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チョックストン6m滝が現れる。

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チョックストン6m滝は左から直登するが、少々悪いので、Oさんにはお助け紐を出した。

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ナメ滝が現れて、少し癒やされる。

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またナメ滝。

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8m滝が現れる。右岸の踏み跡を使って、容易に巻く。

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斜滝4mを越える。

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上部がナメ状の10m滝は、右岸から楽に越える。

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3mと4mのチョックストン滝が2つ現れる。岩の間をくぐっていく。

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岩の間から続く10m滝の飛沫が見えるが、これも岩をくぐって越える。

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10m滝の全貌を見ることなく、落ち口に出る。

前半でロープを出してかなり時間をロスしたが、後半はロープを出す場面が少なく、だいぶスピードアップはできた。

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ナメ滝4mを越えると、

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ラスボスの15m滝が現れる。口ノ深谷最大の滝である。

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15m滝の左にあるガレを登ってみると、左から右上するバンドを使って簡単に登れそうである。

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念のためロープを出して登ってみたが、なんと落口付近がツルツルである。立木と残置ハーケンでランニングを取り、落口付近の左壁を滑らずになんとか登って、無事滝上に出ることができた。Oさんのビレイを信じてはいたが、結構冷や汗ものであった。

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滝上は平凡な流れとなる。

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中峠からワサビ峠への登山道が横切る所で遡行終了である。奥の左岸の台地にツエルトが張ってあった。16時前だったので、なんとか日没までには下山できそうである。

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沢装備を解除して下山に入る。

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ワサビ峠と御殿山を経由して、

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坊村に下山。

今回の口ノ深谷遡行は、下山時間も含めると合計11時間の行動時間となり、沢登りとしてはそこそこハードであった。Oさんのコンタクトレンズの不調で、スピーディーな遡行ができなかったことも、長時間行動となった原因ではあるが、そこそこ登攀要素があり、巻きに使うガレが悪かった点も時間がかかった要因である。私個人のグレードでは奥ノ深谷よりも口ノ深谷の方が難しいと思ったのだが、いかがなものだろうか。今回は立場的に全てリードしたが、そろそろ部員にもリードをしてもらってもよいかもしれない。翌日は疲れが残っていたこともあり、白滝谷でまったり沢登りとなったのであった。

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August 03, 2022

台高 本沢川 黒倉又谷

先週末は沢仲間と久しぶりに台高方面で、黒倉又谷を遡行した。軽く日帰りのつもりが、想定外のヌメリの酷さで、どの岩も滑るし、スラブ滝は滑り台状態。フエルトソールでも厳しく、明らかに難易度がワングレードは上がっていた。

【日程】2022年7月27日(土)
【山域】台高
【渓谷名】吉野川水系 本沢川 黒倉又谷
【メンバー】Mさん、どうちゃん、ばるちゃん、マメゾウムシ
【天候】曇り時々雨
【コー スタイム】筏場駐車場7:50〜黒倉又谷出合8:16〜(8mスラブ滝からの撤退で40分ロス)〜ゴルジュ上9:12〜750m枝沢(4段ノ滝下)11:49〜860m植林小屋跡13:09-14:02〜本沢川沿いの登山道15:53〜筏場駐車場16:02

台高と言えば、最近では台高山脈北部の縦走や大杉谷のハイクは行っているが、沢登りは2015年8月に遡行した堂倉谷以来の実に7年ぶりである。今回の遡行先に選んだ黒倉又谷は、吉野川水系である本沢川の支流であるが、2014年にその別の支流である黒石谷を遡行したことはある。そんな久しぶりの台高での沢登りの同行者は、バックカントリースキー仲間であり、沢仲間でもある気の知れた3人であった。現在は試験期間中でワンゲル部員たちは山に行けないこともあり、今シーズン初のワンゲル部員以外との沢登りでもあった。

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本沢川沿いの林道の終点にある筏場駐車場がスタート地点である。ヤマテンの予報では大台ヶ原方面は曇り時々雨の予報だったが、この時点で雨はまだ降っていなかった。車から降りて、沢装備に履き替えようとすると、なんと靴にヒルがくっついているではないか。アスファルトで舗装された所以外はどうやらヒルがいるようで、いきなりヒル注意報が発令された。

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本沢川沿いの登山道を進む。大台ヶ原ドライブウェイができるまでは、大台ヶ原へ登るにはこの登山道を使っていた。今でこそ大台ヶ原は簡単に行ける山になってしまったが、かっては秘境だったのである。

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25分ほどで黒倉又川の出合に到着する。黒倉又川は、出合からいきなりゴルジュとなる。

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3m斜滝の釜を泳いで突破する。いきなりの泳ぎは水の冷たさを特に強く感じる。

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ツルツルの3m斜滝を、小さなスタンスを使って、なんとか登る。

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その上の8mスラブ滝は恐怖の滑り台と化していた。どうちゃんがフリクションで突破しようとするが、スリップしてしまった。幸いなことにうまく着地できて大事には至らず。突破を諦めて、泳いで越えた釜へ戻ることにする。この戻るのも大変で、滑りながらの下降で、実に冷や汗ものだった。

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釜を泳いで戻って、右岸から高巻くことにする。ここまでで40分の時間をロスした。

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ゴルジュをまとめて巻く。ゴルジュ内の5m滝を見下ろす。近場でよく行く和泉山塊の沢に比べると、スケールの大きさを感じる。

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ゴルジュの高巻きを終えて、沢に戻る。前方には5mほどの滝が見える。予報通りに雨が降り始めるが、すでに濡れているので問題はない。

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美しい斜瀑とナメが始まる。

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全長60mのナメの中にある釜。

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4m滝の上から。

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くの字の5m滝。

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4m前後の滝が続く。

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この4m滝は左岸から巻いた。

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後半の核心部である4段ノ滝の始まりである5m滝。これは右岸から巻く。

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3条の4m滝と背後の6m滝。

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6m滝を間近から見る。

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6m滝を右岸から巻くが、少々緊張する巻きだった。その上の6m滝もまとめて巻いた。

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その上は巨岩帯となり、滝は現れたが、特に問題はなかった。

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右岸に朽ちた植林小屋が現れ、ここで遡行終了である。雨はいつの間にか止んでいた。

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植林小屋の上流は平凡な流れとなり、二俣になっている。ちょっこっとテンカラ竿を振ってから、沢装備を解除する。

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下山は左岸にある杣道を利用する。比較的すぐに杣道を見失うが、しばらく上に登った所で杣道を発見する。

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杣道には結構キノコが出ていた。これはベニヤマタケか?

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ベニナギナタダケ。

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途中、杣道が不明瞭な箇所はあったが、うまく繋げて本沢川沿いの登山道に出た。

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1名、ヒルへの献血者がいた。

久しぶりの台高は、身近な和泉山塊の沢と比べるとスケールは大きかったが、これほど岩のヌメリの酷かったことは、これまでの自分の沢登りでもほとんど経験がなかったレベルであった。おそらくヌメリが流されるだけの大雨が、今シーズンはまだ降っていなかったためではないだろうか。

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