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July 25, 2022

金剛山 高天谷:土砂と倒木で埋まった右俣

高天谷の右俣は倒木と土砂で埋まってしまったことは知っていたが、沢登りの要素はまだ残っているのだろうか。その右俣の様子を確認しに3年ぶりに行ってみた。

【日程】2022年7月24日(日)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 高天谷右俣
【メンバー】マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】高天彦神社駐車場11:13~高天滝11:25~10m大滝下11:38~二俣12:44~ダイトレ(950m地点)13:29-45~郵便道分岐14:00~高天滝下14:50-56〜高天彦神社駐車場15:05

毎シーズン何度も遡行する高天谷であるが、右俣が土砂と倒木で埋まってからは左俣ばかりを遡行している。今シーズンも左俣を2回遡行している(2022年5月8日6月5日の記録)。その右俣がひどく埋まってしまったのは、過去の自分の記録によると、2020年6月27日以降で、2020年9月5日よりは前であるようだ。この期間に台風の直撃はなかったが、2020年の8月から9月のあたまにかけては、大阪府で2度ほど大雨警報が出ていたので、その時の増水によると考えられる。金剛山周辺は植林ということもあり、台風などの大雨で増水や土砂崩れが起きやすい。それによって沢の地形が大きく変わることが過去に多々あった。左俣もかっての中庄谷・吉岡さんの遡行図では4段40mとなっているが、現在は最初が2段20m滝で、その後は4m滝が2つと、おそらく滝の途中が土砂で埋まってしまって連続性がなくなっている。

週明けから大学は試験期間に入るので、これから2週間はワンゲル部への技術指導はない。偵察に行くにはちょうどよい時期である。倒木で埋まっているであろう右俣の様子を確認しに、コロナ前以来の3年ぶりの右俣(2019年6月2日の記録)へ行ってみることにした。

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いつも通りの遅めの自宅発で、高天彦神社に到着する。駐車場はほぼ満車状態だったが、かろうじて駐車することができた。

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沢装備を装着して、入溪地点の高天滝へ向かう。水量は平水と思われる。

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高天滝の付近はトノサマガエルが多い。高天滝は右のハシゴを利用して巻いた。途中の3m滝と背後の堰堤のところで、1パーティーに追いついた。年配男性と比較的若めの男性の2名パーティーだったが、年配男性がバテているようで、ここから戻るとのこと。暑い日だったので、熱中症の可能性があるが、無事下山できただろうか。

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かっての10m滝は左岸から高巻く。

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荒廃地を越えて、樹林の中に入ると連瀑帯になる。

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5m滝は右寄りを直登する。

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ゴルジュ状になる。

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トイ状5m滝はシャワーを浴びながら越える。

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倒木で埋まった二俣に到着する。ソロだとロープを出さないので速い。

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倒木を掻い潜って右俣に入る。

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右俣はナメが続くはずだが、その大部分は倒木と土砂で埋まっていた。

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部分的にナメが埋まっていない所はある。

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やはりその上も土砂と倒木で埋まっていた。

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幸いなことに、最上部のナメだけは埋まっていなかった。

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正面の沢を詰めると、脆い岩場になり、右の尾根状に逃げる。

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踏み跡があり、赤テープがついている。そのまま右に沢を見ながら詰めていく。

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最後は急斜面を木を掴みながら登る。

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ダイトレに出て、遡行終了。ハイカーがよく通る横で、沢装備を解除する。下山はダイトレを金剛山に向けて標高差110mほど登り、郵便道の合流点から高天方面に下る。

右俣を3年ぶりに遡行したが、残念ながら右俣からは沢登りの要素は失われていた。行くならば左俣という選択となるだろう。左俣は詰めも下山も右俣よりだいぶ楽である。

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July 18, 2022

滝畑 ソノ谷遡行・醤油谷下降:ワンゲル部員の沢トレにて3年ぶりの再訪

7月の3連休は遠征と行きたいところだったが、生憎の雨予報。唯一天気の良さそうな一日を利用して、近場の滝畑へワンゲル部員の沢トレに行ってきた。

【日程】2022年7月17日(日)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 石川 千石谷・ソノ谷・醤油谷
【メンバー】Hくん、Mくん(OPUWV部)、マメゾウムシ
【天候】曇りのち晴れ
【コー スタイム】滝畑ダムバス停9:54~ソノ谷出合(5m滝)10:50-11:10~堰堤下11:46~760m二股13:46~一本杉(鏡の宿)14:27-32~醤油谷下降地点14:42~600m二股15:41~醤油谷出合16:37-17:00~滝畑湖畔観光駐車場17:50

すでに梅雨明けはしているはずなのに、まるで梅雨の終わりのような雨予報が続くこの頃。実は梅雨はまだ続いていたと思わざるを得ない。そんな雨予報の7月の3連休は、唯一天気の良さそうな中日を利用して、3年ぶりに滝畑のソノ谷に、ワンゲル部員と行くことにした。ソノ谷は過去に2回ほど遡行していて、セットとして隣の醤油谷を下降している(2018年6月2019年7月の記録)。今回は、沢遡行だけでなく、下降も行うことで、ワンゲル部員の沢技術の向上を目的とした。

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公共交通機関利用にて、河内長野駅前から滝畑ダム行きのバスに乗り、終点の滝畑ダムで下車する。岩湧山の登山口から少し登ると、すぐに千石谷林道に出る。ソノ谷出合へはこの林道を進む。

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途中に千石谷大滝がある。水量は平水もしくは渇水気味であるが、この辺りはあまり雨が降っていなかったのか。

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大滝を超えてしばらく進むと、樹林の中から対岸に滝が見える。ここがソノ谷出合である。

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近づくと出合は5mの滝である。

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5m滝は右を直登する。後続はロープで確保した。

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沢の中には赤テープがつけられている。この赤テープは最後の詰めまで終始付いていたが、一般ルートではない沢登りルートにつける必要はあるのだろうか。

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2m滝はシャワーを浴びながら越える。

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続く3m滝もシャワーを浴びながら越える。

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堰堤が現れる。

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堰堤は左から超える。

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堰堤上は一時的に伏流となる。

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平凡な沢歩きとなるが、藪が少々濃く、藪を掻い潜るところもある。

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いきなり4m滝が現れる。前回は直登できたが,少々難しい。

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無理せずに、左岸から巻くことにする。

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高めに巻くので、最後は細木や木の根を掴みながら沢に戻る。

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ヒバカリがいた。

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木の根元の1m滝。

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ラスボスの7m滝が現れる。高さはあるが、ホールドとスタンスはあるので直登する。

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後続はロープで確保する。

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小滝はまだ続く。

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最後はナメだったはずだが、土砂に埋まってしまったようだ。

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徐々に蟻地獄状態になっていく。

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蟻地獄状態を避けて、左の植林に逃げる。

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植林の中の急な笹藪を詰めていく。ワンゲル部員にとっては慣れていないこともあり、かなり苦労していたようだ。赤テープがついているところには、確かに踏み跡があって登りやすいのはよいのだが...

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笹藪を漕いで、一本杉に出る。滝畑ダムバス停からここまで4時間が経過していた。

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次は醤油谷の下降だが、紀見峠方面に登山道を進み、2つめのコルから下降に入る。1つめのコルからでも醤油谷には入れるが、こちらは笹が濃いので、2つめのコルから入る方が楽と思われる。

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下っていくと、水流が出てくる。

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滝も出てくる。

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左岸から巻く。

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基本的に小滝はクライムダウンで下りられる。

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4m滝のみ、懸垂下降で通過した。ワンゲル部員2名にとっては初めての本番での懸垂下降であった。

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こちらはクライムダウン。

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堰堤を右岸から越える。まもなく千石谷に出て、下降終了となった。沢装備を解除して、あとは滝畑ダムへ林道を下るだけ。

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17時台のバスには間に合わず、18時台はバスの便がないため、19時8分発の最終便まで、1時間ほどの時間潰しとなってしまった。

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July 04, 2022

易しい沢でも油断大敵!:テンカラ釣り行中のトラブル

週末は奥美濃にあるワンゲル部山小屋をベースに沢登り・テンカラ釣りの予定だったが、日曜日の天気が悪く、土曜日だけしか行動できなかった。その土曜日もトラブルありで、予定していたことの半分で終了となってしまった。

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写真は、前日の移動途中に、敦賀付近で撮影した日の入り。

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移動途中で食べた8番ラーメン。北陸方面ではメジャーなラーメン屋チェーン店である。塩ラーメンと餃子をチョイスした。このお店のラーメンには野菜がたくさん入っていて、二日酔いには優しいスープである。

今回の同行メンバーはワンゲル部員1名と、テンカラ釣り仲間(テレ仲間でもある)2名で、私を含めて計4名であった。同じ日程で、ワンゲル部OBのHくんが所属する京都雪稜クラブの6名も入舎していて、計10名と山小屋は賑やかだった。

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土曜日は標高1000m近い山小屋でも朝からやけに暑かった。入溪してすぐに釜で泳ぐTさん。この日は山小屋から歩いて行けるD谷へ入った。私は自ら竿を出さずに、ガイドと指導役に専念した。

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2週間前にテンカラ釣りデビューして、今回は2回目のテンカラ釣りとなるワンゲル部員は、入溪してすぐに良型のイワナを釣り上げた。

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Tさんも釣り上げて、釣れていないのはOさんのみ。

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エゴノキの花。

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D谷は基本的に藪沢であるので、木の枝が沢の上にかぶっている所が多い。そのような所では、オーバーハンドなキャスティングはしにくいので、このような弓矢式のキャスティングを行うこともある。なかなか目標ポイントに毛鉤を投入するのが難しいが、以前にこの方法で尺イワナを釣ったことはある。

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滝の裏側に入って涼む女子2名。よく釣れるのはこの滝の上からである。

この滝の目の前でOさんが転倒して、脇腹と腕を岩にぶつけて負傷する。一時はなかなか動けなかったほどで、搬出方法を考えたりもした。Oさんには痛み止めを飲んでもらって、ワンゲル部員が持っていたテーピングテープを使って、ぶつけた腕にテーピングもした。しばらくしたら、なんとか歩けるとのこと。

まずは滝を1つ越えなければならなかったので、巻き道にロープをフィックスして、フリクションノットでセルフビレイを取ってもらった。とりあえずは自力で登ってもらうが、2人でサポートしながら登ってもらった。最後を登ったのは20歳女子のワンゲル部員だったが、その前のテーピングの件にしても、ロープ等の回収にしても、なかなか頼もしく思った。まだまだ教えるべきことはあるが、充分にリーダーをこなせるだけの器は身についている。

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滝上は平凡な沢歩きとなるので、ゆっくりと歩いてもらって脱溪となった。この後に某大滝の登攀のための下見を予定していたが、それはもちろん中止とした。いったん山小屋に戻って、それから車で白鳥の救急へ行ってもらった。骨には異常なしとのことで、一安心だった。京都雪稜クラブのHくんパーティーは別の谷に行ったのだが、そちらも熱中症が1名出るトラブルありで、予定よりもだいぶ時間がかかったとのこと。双方のパーティーのトラブルから、易しい沢でも油断大敵との教訓だった。

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夜は2パーティー合同で、盛大にバーベキューを行った。

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現地調達のウドの芽の天ぷらや、ミズのおひたしもあり、よく飲み、よく食べた。

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最後は花火にて締める。花火をしたのはいつ以来だろうか。

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翌日は台風の影響か、朝からの雨予報に変わっていた。キャッチ&リリース区間で竿を出すことも考えたが、雨のためテンションが上がらない。そのまま福井周りで帰路につくことにした。途中、立ち寄った道の駅「越前おおの荒島の郷」には九頭竜川淡水魚ミニ水族館があり、餌が良いのか、体高のある32cmぐらいの尺イワナが水槽の中を悠々と泳いでいた。野生ではこんなに体高のあるイワナはほとんど見ない。

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こちらはヤマメと、地方名アラレガコ(標準和名はカマキリ)の2種。

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ヤマメ(サクラマス)の稚魚もいた。京都東ICまで下道で帰ったので、だいぶ高速代を節約した。

今回のトラブルは、何でもない所での転倒でも打ち所が悪ければという教訓でもあった。沢の場合は岩にぶつけやすいというのはあるが、ハイキングレベルでも起こり得る事故でもある。私の知っているところでも、低山の登山道での転倒で大きな滑落につながったケースがある。結局のところ、そのようなリスク回避は、事前に行えることとしては、体幹を鍛える、歩行技術の向上といった経験値を上げることであるだろう。現場では、ここに足を置いたらどうなるかなど適度な緊張感を維持し続けることも必要であるだろう。事故後の対応方法を事前にしっかり学んでおく必要もあるだろう。負傷者が動けない場合は搬出方法も知っておかなければならない。ザックを使っておぶって搬出する方法が頭に浮かんだが、年に一度ぐらいはそのような訓練もやっておくべきだろう。別パーティーで生じた熱中症も、やはり事前の対策と現場での対応が重要であるだろう。今回はどちらも大事には至らなかったが、どんな所でも油断大敵という教訓であった。適度な緊張感を維持しながらの行動を心がけたいと思う。

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