岩湧山でバリエーションルート講習:井関谷右岸尾根・権現尾根
先週末は、顧問をしているワンダーフォーゲル部への技術指導のため、岩湧山の地図に載っていないバリエーションルートをワンゲル部員たちと一緒に歩いてきた。目的は、急斜面や岩場の登下降の技術と、読図およびコンパスを使ったナビゲーション技術の向上のためであった。
【日程】2021年11月21日(日)
【山域】生駒・金剛・和泉
【山名】岩湧山
【メンバー】ワンゲル部員2名、マメゾウムシ
【天候】晴れのち曇り
【コー スタイム】天見駅9:22〜流谷八幡神社9:35〜井関谷林道入口分岐9:52〜424m小ピーク10:03〜アシ谷登山道合流地点10:42〜根古峰11:06〜阿弥陀山前分岐11:33〜五ツ辻11:46〜岩湧山東峰12:05〜岩湧山12:15-26〜横谷・ネバシ谷方面分岐12:57〜梅の木峠13:43〜梨ノ木峠14:05〜横谷山14:24〜権現山14:58〜権現滝上15:21〜横谷の岩場ゲートロック偵察15:29-38〜滝尻バス停15:55
コロナ禍にあって、大学からは学生の課外活動に対して合宿禁止のお達しが出たままで、ワンダーフォーゲル部においては日帰り登山しかできない状況が続いている。ハイキング程度の経験だけでは、部員の登山技術を向上させることはなかなか難しい。そのような状況下では、できる範囲で効率の良いトレーニング方法を考える必要がある。今回は、大阪の裏山である岩湧山にて、急斜面や岩場の登下降の技術と、読図およびコンパスを使ったナビゲーション技術の向上を目的として、地形図に道が示されていないバリエーションルートを使って講習会を行ってみた。今年の5月に1回歩いたルートでもある(2021年5月の記録)。
南海高野線の天見駅をスタートし、集落の中を流谷方向へ進み、井関谷林道入口まで歩く。ここで、やけに重荷をもった若者2名と出会う。後でSNSにて判明したのだが、歩荷訓練中の関西大ワンゲル部員であった。少し天見駅方面に戻った井関谷出合から右岸の尾根に取り付いた。
井関谷右岸尾根は地形図に道は示されていないが、踏み跡はある。ただし、部分的に急斜面の直登が要求される。
獣害被害の防護柵を越える。
スギの木の幹にナナフシの幼虫がいた。424m小ピークを越えて、620m小ピークは東から巻くが、その途中で、アシ谷からの登山道が合流する。この合流点からは道は明瞭になる。
道は九十九折りになり、それを登り切ると、根古峰の三角点に出る。そのまま踏み跡を南に進むとダイヤモンドトレイルに出る。さすがに週末のダイヤモンドトレイルはハイカーが多い。
一般ハイカーたちとすれ違いながら、岩湧山を目指す。
岩湧山の山頂はハイカーで賑わっていたが、ススキの死角になっている秘密のベンチは空いていた。おかげで落ち着いてランチを食べられた。
岩湧山からはダイヤモンドトレイルを横谷・ネバシ谷分岐まで進み、そこから地形図に道が示されていない権現尾根を下降する。最初は踏み跡もなく、急斜面の尾根は明瞭ではないので、読図とコンパスでのナビゲーション能力が要求される。ポイントは、横谷・ネバシ谷分岐から横谷への登山道を80mほど進むとトラバースに入るので、トラバースに入る地点からほぼ真北に下降すること。部員には、この下降地点でコンパスの方角を固定してもらい、コンパスでナビゲーションしながら下降してもらった。
急斜面を下りきると、木材運搬用のロープウェイと思われる土台の残骸がある。
権現尾根上の3つめの小ピーク482.8mは、コヤブ山というらしい。梨ノ木峠まで小ピークを4回通過するので、小ピークごとに位置と地形の確認を行った。地形図に示されない小ピークもあるので、標高差10mがどんなものかを体験してもらうことができた。また100mという距離がどれくらいかを把握していることも読図には重要になってくる。
梨ノ木トンネルを越えて、最初のピークは梨ノ木山である。
横谷山451mに到着する。ここにはキノコベンチがある。
このあたりの標高の木々の葉の色づきがちょうどよい。
途中に奥立岩の展望台がある。左側が奥立岩で、右がゴジラの背と衝立岩。ゴジラの背は1週間前に登攀している。
学校峠(362m)と権現山の間はアルペンチックな様相になり、簡単な岩場の経験ができる。振り返ると岩湧山が見える。
権現尾根の最後のピークである権現山に到着する。
権現山からは権現滝方面に急な尾根を下降したが、岩場の下降もあり、部員にはいいトレーニングになった。やはりハイクだけだと岩場に慣れないこともあり、岩場の登下降は技術的な課題と思われた。
権現滝上のゴルジュ部分に出る。
横谷川を徒渉して、林道に出る。バスの時刻まで時間があったので、すぐ近くにあるゲートロックの偵察に行った。ゲートロックは横谷の岩場にある初心者向けの岩場で、ワンダーフォーゲル部の岩登り練習の候補地として考えている。実は1週間前に試登もしている。
今回の講習会は直前の募集だったこともあり、部員は2名だけの参加だったのが残念だが、ぜひ他の部員にも内容を伝達してほしいものである。年内には、地図読み講習とクライミングの基礎講習も予定している。
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