金剛山 イワゴノ谷
先々週に遡行したクソマル谷に続いて、14年ぶりに金剛山のイワゴノ谷を再訪した。最初の大滝をどう登るかに苦労した記憶しかなかったが、高天谷と同じぐらいかそれ以上に面白い谷であった。
【日程】2021年6月12日(土)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】大和川水系 イワゴノ谷
【メンバー】Hくん、マメゾウムシ
【天候】曇り
【コー スタイム】高天彦神社9:32~最初の堰堤9:59-10:18~15m滝落ち口11:08~830m二俣12:36~45~ダイトレ合流13:27-44~郵便道分岐13:58~高天彦神社14:57
金剛山のイワゴノ谷は、先々週に遡行したクソマル谷と同様に、14年前に1回遡行しただけで、その後になぜか再訪することはなかった。当時は記録も少なく、高天彦神社から伏見への道も整備されていなかったように思う。記憶に残っているのは、最初の大滝をどう登るかに苦労したことと、高巻きすぎて懸垂下降で沢に戻ったことだ。当時は記録を残すという意識は希薄で、写真もほとんど残っていない。最近はイワゴノ谷の記録も増えており、噂によると金剛山の最難関ルートであるらしい。個人的には金剛山でそこそこの沢登りができるのは高天谷と思っているので、ちょっと腑に落ちない。高天谷ほどの面白さがあったならば、14年もご無沙汰してしまうことはあり得るだろうか。ここは再訪して確かめるしかない。梅雨時でありながら、週末の土曜日は、大阪周辺だけ天気がもちそうだった。裏山の沢登りは単独で行くことが多いのだが、今回はワンゲル部OBのHくんを誘って計画を決行した。
9時過ぎぐらいに高天彦神社に到着したが、天気がパッとしないためか、駐車場にはそこそこ空きがあった。今シーズンは2回ほど高天谷を遡行するために高天彦神社に来ているのだが、2回とも一般観光客が多く、駐車場は満車状態で、仕方なく路駐していたこともあり、ちょっと拍子抜けした。今回は一般観光客はほとんどいないので、高天彦神社の本来の静寂な雰囲気を感じる。高天谷に入渓すると思われる男女が、ちょうど出発の準備をしているところだった。
まずは入渓地となる伏見集落に向かうのだが、迂回登山道の方に進み、イノシシ柵の扉を開けて中に入る。このような扉の開け閉めをこの後も3回ほど繰り返す。
高天谷とイワゴノ谷の間の尾根に出て、尾根上の道を下っていく。14年前は、この道はまだ整備されていなかったように思う。下りきると、イワゴノ谷に出るが、どこかで取水されているのか、谷には水流がほとんどなかった。
イワゴノ谷を対岸に渡って、進むと、伏見集落に出る。T字路を、左に菩提寺の山門を見て、右方向に進む。そのまま道なりに進むと、右に菩提寺の駐車場がある。
正面に伏見道の入口を見て、右に進むと、またもやイノシシ柵の扉がある。この扉を開けて進むと、イワゴノ谷右岸の林道となる。
林道を進む。途中から道の舗装がなくなる。林道の左端の用水路には水がゴーゴーと流れているが、右に見えるイワゴノ谷本流にはほとんど水流がない。
やがて堰堤が見えてくるが、そこで林道は終点となる。ちょうど林道の終点あたりに取水口があり、イワゴノ谷の下流部に水流が乏しい理由がわかった。この堰堤下で沢装備を装着して、遡行開始となる。堰堤は右から超える。
小さな堰堤が現れる。この堰堤も右から越える。
14年前の記憶の通りに、最初の滝が12mの大滝だった。この滝をどう越えようか苦労した14年前の記憶が残っているが、直登でずり落ちたりした後に、左から木を掴みながら登った気がする。
今回は、左岸にある明瞭な巻き道を利用することにする。
大滝の上あたりに出たが、巻き道はまだ続く。このまま巻き道を進むと、いくつかの滝をショートカットしそうである。大滝の落ち口付近に出たいので、懸垂下降で下りることにした。ちょうど30mロープ1本分の15mの下降だった。
大滝の上には、3m滝があった。
その上には、3m斜滝。
さらに2段で2mと3mの斜滝がある。巻き道を進んでいたら、このあたりの滝はショートカットとなるだろう。
シャワーを浴びながらの直登!
倒木はあるが、遡行にはそれほど支障はない。奥に大滝が見える。
最初の大滝より少し大きな滝が現れた。高さはおよそ15mで、一説によると、みそぎの滝というらしい。
右から巻いている記録が多いが、滝のすぐ左の泥壁が登れそうだったので、登ってみる。
ちょうど大滝の落ち口に出た。小さく巻けたので、こちらが正解かもしれない。
続いて、チョックストン3m滝。
ステミングで直登する。
2m斜滝。
古い堰堤が現れるが、左から超える。
しばらく平凡な流れとなり、少々落ち着く。
左岸に岩壁。倒木は多いが、支障はない。
2段で4mと5mが現れて、ここからまた連瀑となる。
もちろん直登!
さらに上に4mと4mがあり、合わせて4段だった。
シャワーを浴びながらの直登。
2m斜滝。
チョックストン滝で始まる3段滝が現れる。チョックストン滝は3m。
チョックストン滝の上は、およそ5mと5m。
直登は難しそうなので、まとめて左から巻くことにする。巻き中に下の5m滝の落ち口を見る。
上の5m滝。
巻き道は明瞭でわかりやすい。
さらに上にある3m滝もまとめて巻く。ここまでで4段だった。
巻きを終えて沢に戻ると、さらに上に4m滝がある。最終的に5段の連瀑だった。この4m滝は直登する。
2条12m滝が現れる。この滝は横見の滝と呼ばれているらしい。
滝の横が見える右から回り込んで、直登する。
3m斜滝を超える。
ナメの小滝が現れる。
標高720mの二俣を過ぎる。水量の多い右俣へ。
小滝が続く。
4m斜滝を直登で越える。
標高750mで、左岸から流れが入る。
斜瀑のような急な流れになる。
倒木が多く、超えるのに少々面倒になってくる。
2段で2mと4mが現れる。右よりはヌメリがひどいので、左側を直登する。
標高830mの二俣に着く。左俣がさらに分かれているようなので、3俣のようにも見える。真ん中の流れには滝が見える。水量の多い右俣へ進む。
トゲヒゲトラカミキリ
水量が減って源頭の雰囲気となるが、倒木が酷くなる。
杉の木の下の3mガレ滝を越える。
最後の4m滝。
最後の滝下の左側に踏み跡と目印があるが、直登にて谷に忠実に進む。
最後の詰めに入る。
倒木と藪に悩まされながら、急登を登る。
ダイヤモンドトレイルに出て、遡行終了! ハイカーを驚かさずに出ることができた。
山頂はハイカーが多そうなので、山頂には寄らずに郵便道から下山することにする。
ヤマアジサイ
高天滝に出た所で、沢装備を洗う。
高天彦神社に無事下山。
14年ぶりのイワゴノ谷は、高天谷と同じぐらいかそれ以上の面白い谷であった。なぜ、その後、イワゴノ谷を再訪する気にならなかったのかがよくわからない。直登が難しい12mと15mの大滝、4段で計16mの連瀑を除けば、だいたい直登できる。倒木はクソマル谷ほどはひどくはなかった。最後の詰めがちょっときついが、830m二俣で左俣、もしくは最後の滝下にある左の踏み跡を進めば、もう少し楽に稜線に抜けられるかもしれない。今後、調査してみるつもりだ。
遡行図を作成してみた。滝の高さに誤差はあるかもしれないが、遡行の参考になれば幸いである(2023年6月1日に修正)。
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