奥美濃のナラ枯れナメコは終息か?:ワンゲル部キノコ狩りにて
今年は新型コロナウイルス流行のため、学生による課外活動での合宿を大学が禁止している。ワンダーフォーゲル部についても同様で、宿泊山行や合宿ができない状況にある。そのため、これまで晩秋に奥美濃にあるワンダーフォーゲル部所有の山小屋で行ってきたキノコ狩りにも現役部員は参加できない。そのような状況において、今年はOBOGを対象にキノコ狩りを行った。
紅葉は標高の低いところに移ってきている。山小屋周辺でも、これまでナメコ、ムキタケ、クリタケは豊富に採れていた。ところが今年は全然それらのキノコが出ていない。これまで毎年のようにキノコが発生していた枯れ木にもほとんど出ていない。どうやら枯れ木の栄養分は昨年までにこれらのキノコたちに吸い尽くされてしまい、もうキノコが育つ状態にないようだ。
これまでナメコなどのキノコが豊富に採れたのは、ナラ枯れに原因があるらしい。ナラ枯れは、カシノナガキクイムシという昆虫がナラ菌という病原菌を木の中に運び込むことよって引き起こされる樹木の病気である。ナラ枯れで枯れた樹木には、ナメコなどの食菌が発生しやすいらしい。また枯れ木が増えるだけでも、キノコなどの分解者にとっての生活環境が増えることにもなる。このあたりで初めてナラ枯れが確認さたのは2006年で、2014年には岐阜県下の34の市町村にナラ枯れが広がっていたそうだ。
ナメコの場合、ホダ木栽培では本格発生は菌の接種から2夏経過してからで、3~5年目が最盛期で、その後漸減して、通常8~9年で寿命が終わるらしい。それから逆算すると、2012年前後に一斉にこのあたりのナラ類がナラ枯れによって枯死したのかもしれない。2014年にはすでにナラ枯れが広がっていたので、数字的におかしくはない。昨年はそれなりに収穫があったが、その前年に比べれば明らかに収穫量は少なかった。ナラ枯れの流行で一斉に枯死した枯れ木に同じようにキノコが育ち、どの木も同じように終息に向かっていったのかもしれない。そうであれば、今後しばらくはキノコの収穫は期待できないに違いない。
そのような状況でも、粘って探したら、少しはキノコが採れた。上の写真はナメコ。
大きく育ったナメコ。
ムキタケ。
クリタケ。
かろうじてザル一杯分の収穫だった。この量でなんとか7人分のキノコ鍋は作れた。2年前はカゴ一杯分はキノコが採れたのだが、来年ははたしてこれぐらいの量でさえ採れるのだろうか?
Comments