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October 20, 2020

紀ノ川水系 嵯峨谷川(孫右衛門の滝と清水の滝)

嵯峨谷川は大阪府と和歌山県の府県境にある南葛城山の南面に流れる紀ノ川水系の谷である。名前がついている滝として清水の滝と孫右衛門の滝の2つがある。前半部の滝は豪快であり、登攀性もある。残念ながら、後半は平凡な沢歩きとなってしまうが、それを我慢できれば、十分に面白く楽しめる谷であった。

【日程】2020年10月18日(日)
【山域】生駒・金剛・和泉
【渓谷名】紀ノ川水系 嵯峨谷川
【メンバー】マメゾウムシ
【天候】晴れ時々曇り
【コー スタイム】高野口駅8:39~六地蔵六面石幢9:59~林道終点10:41~清水の滝下11:17~2条3m滝(最後の滝)12:23~林道13:33~一本杉13:49-14:09~阿弥陀山分岐15:12~紀見峠駅16:23

当初は、前日にイベントがあり、夜に飲み会もあるかもしれなかったので、何も予定を入れていなかった日曜日であった。その日の朝は、不思議なことにかなり早起きできて、アルコールも体に残っていなかった。そこで、以前から気になっていた嵯峨谷川へ行ってみることにした。嵯峨谷川は大阪府と和歌山県の府県境にある南葛城山の南面に流れる紀ノ川水系の谷である。古い山と高原地図には、ワラジ・ザイル必要と記載されていて、遡行についての情報も少ない。調べてみると、名前がついている滝として清水の滝と孫右衛門の滝の2つがあるらしい。それらの滝と嵯峨谷に沢登り要素があるかを確認してみたいというのが、今回の動機だ。入渓地点は和歌山側で行ったことがないところなので、道の細さと駐車スペースの心配があった。そのため、アプローチと下山は多少長くはなるが、公共交通機関で行くことにした。

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橋本駅からJR和歌山線に乗車した。これが初めての和歌山線乗車であった。ワンマン電車であるが、車両は新しく、ICカードも使える。内部は路面電車を大きくしたような感じだった。電車の本数は1時間に1〜2本と少ない。

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橋本駅から和歌山方面2つめの高野口駅で下車する。ICカードは降りる時に車内でピッとする。かってはこの駅は高野山詣での拠点だったそうで、やや大きくて古い木造駅舎が残る。駅前にはタクシーが停まっていたが、人数がいるならば、嵯峨谷の集落までタクシーに乗車すれば、だいぶ時間を短縮できるはずだ。

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高野口駅から嵯峨谷集落までは、スマホのナビで歩いたが、だいぶアップダウンのある道を案内された。途中、ゴミ処理場の前を通った。

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カキ畑やミカン畑の中を通っていく。車の交通量は少ない。

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嵯峨谷川沿いの道に入ると、嵯峨谷付近の案内図があった。まだ3kmほどあるようだ。

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嵯峨谷沿いの道を進む。途中、嵯峨谷集落のおじさんに、「ハイキングかい? 頂上まで行くんか?」と声をかけられた。

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集落内にあった六地蔵六面石幢(せきとう)。六地蔵は墓地の入口に六体並べられることが多いが、これは六角柱の幢身側面の各面に仏像や梵字が刻まれている。南北朝時代北朝年号の「貞和5年」(1349年)という年紀も刻まれていて、橋本市の文化財に指定されている。

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ふるさと体験村への道を左に見送り、嵯峨谷川沿いの道に入る。

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嵯峨谷川沿いの林道を進む。嵯峨谷川にはいくつも堰堤がかかっていた。

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林道終点の小堰堤のところから入渓した。ここまで高野口駅から所要2時間強で、距離6.7km、標高差450mのアプローチだった。奥に滝が見える。

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すぐに現れたのが、険悪そうなゴルジュの中にある連瀑であった。この連瀑が孫右衛門の滝であった。水量も多く、滝の迫力もあり、ソロということもあって一見ひるんだが、ホールドは豊富そうなので、イチかバチかゴルジュストロングスタイルで突っ込むことにした。自信のない人は決して真似はしないでほしい。

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まずは3段の滝で、1段目5mは左から直登する。気温が低いので、シャワーはあまり浴びたくないが、否応なくかかってくる。

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2段目3mも左から直登する。

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3段目4mは右からの直登を試みたが手こずる。岩が脆く、体重をかけると簡単にボロっと剥がれるので、ホールドとスタンスを慎重に選ばないといけない。気温的にあまり濡れたくはなかったが、シャワーを浴びながら水流の中のホールドやスタンスを使わないと登れなそうだ。ゴルジュに中に入ったら最後、巻くこともできない。ソロで来るべきでなかったと後悔する。ここは覚悟してシャワーを浴びるしかない。確保なしでスリル満点だったが、なんとか直登で突破できた。ロープを使う場合、途中に支点の取れる木はないので、ハーケンかカムが必要である。

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3段12m滝の落口を覗き込む。落ちなくてよかった!

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すぐに2条の1.5m滝。

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今度は、1.5m滝のすぐ上の4m滝に手こずる。ここも右からシャワーを浴びながら直登した。ここも岩が脆いので、ホールド選びを慎重にしないといけない。久しぶりに本気で滝の登攀をしたので、翌日は肩から腕に掛けて筋肉痛になった。

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次は2mが2段で計4m。これは難なく越える。ここまでの連瀑を孫右衛門の滝とよぶようだ。なかなか迫力のある連瀑だった。

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一段落すると、倒木が待っていた。

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すぐに3m斜滝。

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斜滝の上に2m滝。

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次に2条の2m滝。

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滝を終えると、今度は倒木地獄が待っていた。

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倒木帯を越えると、大きな滝が現れた。これが清水の滝15mだった。

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清水の滝に近づいて1枚。なかなか豪快で迫力のある滝だ。

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清水の滝は左岸から大きく高巻く。

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高巻く途中で遊歩道に出たので、遊歩道を利用することにする。

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ところが遊歩道は途中で崩壊していた。慎重に崩れやすい崩壊箇所を渡る。初心者がいるならば、この通過はロープを出すべきだろう。

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清水の滝のすぐ上が二俣になっていて、右俣を横断してから、本流である左俣に下りた。

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落口マニアとしては、清水の滝の落口を見に行かねばということで、見に行く。

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清水の滝のすぐ上が標高550mの二俣で、右俣には3m滝が2本かかっていた。水量は3:1で、水量の多い左俣を進む。

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左俣に現れたのが7m滝。

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7m滝は左岸から高巻く。結構滝より高く登ってしまい、沢へは急な壁となっていて、下降によさそうな場所が見つからない。

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そのままその上の滝も一緒に巻くことはできそうだったが、滝をしっかり見ておきたかったので、懸垂下降で沢に戻ることにした。25mロープで距離は足りた。

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下降したところにあった4m滝は、左から小さく巻いた。

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2m斜滝。

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続いて2m滝を2つ越える。

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標高610mの二俣に到着。左俣は3m滝がかかる。水量が2:1で多い右俣を進む。

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2条3m滝が現れる。右は階段状。これが最後の滝だった。

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この後は平凡な沢歩きとなる。

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スギの木の根元が小滝になっている。土砂崩れでスギの木が立ったまま沢の中に移動してきたらしい。スギは枯れていなかった。こんな風景がもう1箇所あった。

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倒木が多くなり、スピードは上がらない。

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少しばかりナメはあるが、大部分は土砂の下になっているようだ。

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標高800mを越えると、水流がほぼなくなる。

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サワガニ発見!

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石堤があり、

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その上は藪漕ぎとなったが、

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すぐに林道に出た。

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ここで遡行終了でもよかったが、林道から稜線への登山道に出るよりも、沢を詰めた方が稜線には速そうな感じがしたので、そのまま沢を詰めることにする。

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部分的に水流が復活する。

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すぐに笹藪となったが、背丈はそれほど高くなく、藪漕ぎを困難にする蔓もトゲのある草木はないので、藪漕ぎとしてはかなり楽だった。

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登山道に出ると、

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すぐに通い慣れた一本杉だった。沢装備を解除し、ダイトレ経由で紀見峠駅へ下山した。紀見峠駅へは2時間と少しほどかかった。

嵯峨谷川は後半の平凡な沢歩きを我慢できれば、十分に面白く楽しめる谷であった。先日行った同じく紀ノ川水系のコースケ滝谷もよかったが、こちらも悪くはなかった。初心者向きの沢が多い和泉の沢の中では、嵯峨谷川のグレードは少々高いと思われる。前半部は連瀑のため、登攀力が要求される。高度感もあるので、必要ならば躊躇なくロープは出すべきである。夏の暑い時であれば、シャワーを浴びながら滝の登攀が楽しめるだろう。

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遡行図

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