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September 25, 2020

奥美濃 石徹白川 イワナ谷遡行・推高谷右俣下降:イワナのいないイワナ谷!

奥美濃にワンダーフォーゲル部の山小屋があり、山小屋をベースに活動するとなると、石徹白が直近のエリアとなる。このような環境にあるため、石徹白川流域の沢を調べるということを時々行っている。シルバーウィーク2日目は、石徹白方面の沢に詳しいがおろさんのブログで気になっていたイワナ谷を遡行することにした。がおろさんの調査では、イワナ谷という谷名にもかかわらずイワナが確認されなかったようだが、にわかには信じられなかった。一方で、このイワナ谷には「幻の白いイワナ」が生息しているらしいという情報もある。この情報は、同じく石徹白に詳しい石徹白川専用すず竹竿さんのブログに書かれている。現在、石徹白川水系で最もよく見られるイワナのタイプはニッコウイワナ系であるが、これはニッコウイワナの放流によるもので、元々の在来イワナは、紀伊半島に生息するヤマトイワナ系のキリクチのように白点が少なく小さいことと赤みや黄色みが強いのが特徴らしい。そうなると、この「白いイワナ」は在来のイワナとも違うことになる。タイプ的には白点だけで朱点がないエゾイワナ(アメマス)みたいな感じだ。石徹白にもともと異なるタイプのイワナが分布しているのであれば、それは生態学的にも大変興味深いことである。生物学者としてはぜひ確かめてみたい。それが今回のイワナ谷遡行の理由だった。

【日程】2020年9月20日(日)
【山域】奥美濃
【渓谷名】九頭竜川水系 石徹白川 イワナ谷・推高谷
【メンバー】Hくん、マメゾウムシ
【天候】曇り時々晴れ
【コー スタイム】倉谷川出合(駐車地点)7:08~イワナ谷出合7:21~イワナ谷1010m二俣8:28~1341と1321の間のコル9:54-10:11~推高谷1040m二俣12:12~推高谷出合14:24-37~倉谷川出合(駐車地点)14:52

パートナーは前日の釣りに引き続き、ワンゲル部の若きOBのHくん。

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倉谷川出合の広場に車を駐めて、10分ほど大杉登山口方面へ林道を歩いたところがイワナ谷出合である。適当な所から林道を下りて入渓した。出合は上を木の枝が張っていて、それを掻き分けながら進む。川幅は狭く、流れは少々速い感じがした。

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早速、最初の堰堤が現れる。左から越える。

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すぐに2つめの堰堤で2段。右から越えるが、

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藪が濃い!

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最初の滝が現れた。5m滝で、左から巻いた。

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今度はまた堰堤で、左から越える。

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石積みの古い堰堤が現れる。これも左から越える。

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ゴーロとなるが、

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まだ堰堤があった。左から越えたが、いったいいくつあるねん! 結局、これが最後の堰堤だった。

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標高1010mで二俣となり、水量は1:1。ここは左俣を進む。ここまで魚影はまったくなし。上部を木の枝が覆っているのでテンカラ竿を降りにくいが、魚がいれば魚影があるはずだ。こう下流部に堰堤が多いと、場所的に釣人も入ってこなそうなので、魚はスレていないはずだ。竿を出すまでもなく、確かにイワナがいないと感じる。イワナがいてもおかしくない環境なのに、イワナがいないというのはまったく不思議だ。イワナ谷はちょっと川幅が狭く流れが急なのがイワナに不向きなのかもしれないが、そのような渓でもイワナはいたりするものだ。

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前方に特徴的な形をしたピナクルが現れる。

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上流から見るとゴリラの顔にも見える。ゴリラ岩だ!

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1〜2mぐらの小滝の連瀑となる。

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2m滝。

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いい感じだ!

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ナメ床もあり!

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美しい!

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2mぐらいのナメ滝。

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5m滝が現れるが、左をシャワーを浴びながら直登した。これがラスボスだった。

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イワナ谷を最後まで詰めると薙刀山に上がれるが、詰めのササ藪の通過が困難を極める。薙刀山には登山道はないため、下山も沢の下降しかない。今回の情報元のがおろさんと同じく、我々も標高1260mから沢を離れ、右岸の踏み跡(獣道?)らしきところを登って、1340と1321の間のコルを目指すことにした。コルにはブナ林の中を登り、藪漕ぎもなく、すぐに上がることができた。ここで休憩とする。

結局、イワナ谷ではイワナを見つけることができなかった。1260mより上流は水量も少なく、5m滝が魚止めになっていれば、イワナの生息する可能性は低いと思われる。

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コルからは反対側の推高谷右俣への下降だが、緩斜面をコンパスにて南西方向に進む。こちらはササと積雪によって横向きに伸びた木によって藪漕ぎとなったが、それほどキツくはなかった。

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枝沢に出て、そのまま下りていくと、推高谷右俣に出た。

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ナメとなる。

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3mのナメ滝。推高谷右俣の上部はナメが多くを占めた。

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淵もあり。

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またナメ!

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1040m二俣に出た。左俣は8月末に遡行しているので、ここから先は状況がわかる(推高谷左俣の記録)。

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沢が開ける。イワナ谷に比べると推高谷は川幅もあり明るい沢である。

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このあたりはいい自然林が残っている。クマも多そうだが...

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多条2段5m滝を左岸から巻き下りる。前回は左を直登したが、今回は水量が多く、シャワーを浴びるは必至だろう。

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4m滝の落口に出る。

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左岸から巻き下りた。巻き方はわかっている。

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10m滝の落口に出る。

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左岸から巻き下りる。巻き道には釣人がつけたであろうフイックスロープがある。

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途中にあった蔓のブランコで遊ぶHくん。

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最後は堰堤で、右岸から越える。

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石徹白川本流に出て、下降終了!

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沢装備を解除して、林道を歩いて駐車地点に戻る。15分ほどで駐車地点に着いた。

結局、イワナ谷で白いイワナを確認することができなかった。ニッコウイワナではない石徹白在来イワナさえ私は確認したことがないのに、本当に「幻の白いイワナ」はいるのだろうか? イワナ谷という名前がつくぐらいだから、過去にはいたのかもしれない。下流部に石積みの堰堤を含めて5つも堰堤が作られたのが問題な気がする。堰堤によってイワナ個体群が分断し、小集団で長く隔離されると、近親交配などによる遺伝的劣化が生じやすく、絶滅リスクは高くなると考えられる。あるいは過去に川に毒を流すなどの違法な漁がされたのかもしれない。「幻の白いイワナ」は石徹白のどこかの谷にまだいると信じたい。

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