高野山 町石道:トレラン中にスズメバチに刺される!
自宅から比較的近い高野山には、参詣道として7本の街道「高野七口街道」があることを知った。その7本の道の一つである町石道(ちょういしみち)は約22kmの距離があり、久しぶりのトレランにはちょうどよい距離である。沢のシーズンが終わり、スキーシーズンが始まる前のこの時期のトレーニングとして、11月の3連休初日をを利用して、この町石道をトレランスタイルでスピーディーに行ってきた。なんとその道中にてスズメバチに刺されるというトラブルがあったが、昔日の面影が残る古道でのトレランはなかなか趣のあるものだった。
【日程】2019年11月2日(土)
【山域】紀伊
【場所】高野山 町石道
【メンバー】マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】九度山駅9:36〜慈尊院9:49〜展望台(百六十五町石)10:15-22〜六本杉峠11:04〜古峠11:17〜二ツ鳥居11:21〜神田地蔵堂11:33〜笠木峠11:59〜矢立峠12:31-37〜展望台(四十町石)13:09〜鏡石13:21〜大門13:49〜根本大塔14:02〜金剛峯寺14:11〜高野警察前バス停14:25
高野山町石道は、弘法大師・空海が高野山を開創した際、木製の卒塔婆を建てて道標とした表参道である。高野七口街道の中でも、町石道は主要参詣道として利用され、町石は単なる道標ではなく、参拝者が卒塔婆形町石に礼拝をしながら山上を目指したことを今に伝えている。
アクセスは公共交通機関利用にて、南海高野線の九度山駅からスタート。
久しぶりに生足の正統派トレランスタイルにて。
まずはロードラン。すぐに真田庵(善名称院)を右に見ながら通過する。真田庵は真田昌幸・幸村親子が蟄居していた屋敷跡に建てられたお寺である。
道の駅柿の郷くどやまの前を通過して、しばらく進むと慈尊院に到着する。
石段を登り、慈尊院の中に入ると多宝塔が目に入る。
慈尊院が町石道の起点になる。ここから高野山の大塔まで180本の卒塔婆形町石が1町(約109m)ごとに建てられている。町石には密教の仏尊を示す梵字と壇上伽藍までの町数、そして寄進者の願文が刻んである。町石道が開かれた当初は木製であったため、やがて朽ちていったが、鎌倉時代、幕府の有力御家人、安達泰盛らの尽力で朝廷、貴族、武士などの広範な寄進により木製の卒塔婆に代わって石造の五輪卒塔婆が建立され、ほぼ完全な形で今日に遺されている。弘法大師はこの道を通り、月に9度は山を下りて、この慈尊院に滞在していた母のもとに通っていたらしい。それがこの地の地名「九度山」の由来となったそうだ。その後、多くの人々が参拝に訪れるようになり、高野山へ通じる7つの道が開かれ、「高野七口」と呼ばれるようになる。
このような町石道についての説明板が途中にいくつかあった。
このあたりはクマが出るらしい。舗装路の急登を登る。
舗装路の急登を登って、百六十五町石の展望台に到着。
休憩所には人慣れしたネコがいて、擦付いてきた。
柿畑の中を進む。右手には紀ノ川の眺め。
舗装路を登り切ると、トレイルになる。トレイルの走りは気持ちよい。
銭壺石。こんな感じの石や岩が途中に何ヶ所かあり、その由来についての説明がある。
これが町石。
六本杉峠に到着。この辺りから先行者をどんどんと追い越していく。アップダウンがあまりなく、実に走りやすい。
二ツ鳥居を通過。弘仁10年(819年)5月3日、丹生明神・高野明神を弘法大師が高野山に勧請した時、この鳥居を鄧材で建立したと言われている。現在の石造りになったのは、慶安2年(1649年)5月と言われている。
白蛇の岩と鳥居を通過。
神田地蔵堂を通過。この辺りは右手がゴルフ場の敷地になっている。久しぶりのトレランにもかかわらず、調子は悪くない!
笠木峠を通過。この辺りから逆方向から来る人とすれ違うことが増える。
走っていると、いきなり右膝のあたりに激痛を感じた。キイロスズメバチと思われるハチが1匹まとわりついていたので、そのハチに刺されたらしい。巣が近くにあったのだろうか? 刺された箇所は腫れてきたし、ズキズキと痛むので、しばらく止まって様子を見る。過去にクロスズメバチに刺されたことはあるが、それほど腫れはひどくはならず、アナフィラキーも出なそうな感じだったので、とりあえず歩いて進むことにした。すでに町石道の3分の2以上は来ているので、まあ、残りも行けるだろうと楽天的に考えた。
歩いて進むつもりでいたが、実に走りやすそうなトレイルが続く。痛みはあるが、やはり走ることにした。最近は虫に刺され慣れたのか、歳のせいか、カ・ブヨ・ヌカカ・アブなどに刺されてもあまり腫れないし、痒みもすぐに引いてしまう。どうやら虫刺されには強い身体になってしまっているようだ。
車の音が聞こえてきて、しばらく進むと矢立峠に出た。茶屋などもあり、休憩にはよい場所だ。
再びトレイルに入り、袈裟掛石を通過する。
押上石。
車道を渡って、登っていくと四十町石の展望台に着く。
展望台からいったん下ると、再び登り基調となる。その途中にある鏡石。ハチに刺された箇所はズキズキするが、走るのは特に問題ない。
最後のつづら折りを登りきると、目の前に大門が姿を現す。高野山に到着だ!
壇上加覧中門。
壇上加覧金堂。
根本大塔。
せっかくなので、観光客が多い中を金剛峯寺へ。
金剛峯寺に到着。当初は女人堂から極楽橋駅まで走って下山する予定だったが、スズメバチに刺されたこともあったので、大事を取ってバスとケーブルカーにて下山することにした。ここまで総距離は22km、登りの累積は1250m、所要時間5時間であった。
帰宅してから刺された箇所をアイシング。腫れと痛みは翌日も残ったが、翌々日にはすっかり引いていた。どうやらハチにも強い身体のようだ。
今回はスズメバチに刺されるというトラブルはあったが、古道のトレランは歴史を感じるなかなか趣のあるものであった。残りの高野七口街道も近々歩いて(走って)みようと思う。
Comments
災難でしたね。刺された後でも走り続けるとは。。。
ハチに刺されて腫れるということは、毒をもっている、ということでしょうか?
刺したハチは、死んでしまう?
Posted by: cima | November 08, 2019 07:46 PM
スズメバチ類は強力な毒をもっていて、ヒスタミン、神経毒、ププチド、タンパク質が主な成分です。
スズメバチは何度でも刺しますが、ミツバチは針に返しがついているので、硬い人の皮膚では針が抜けずに、針自体が毒腺と一緒に腹部から取れてしまい、刺したミツバチは死んでしまいます。
Posted by: マメゾウムシ | November 11, 2019 02:59 PM