薬師沢左俣:クマを蹴散らして遡行!
真川・岩井谷をMくんと1泊2日で遡行し、薬師峠でテント泊した翌日は、薬師沢左俣を遡行してきました。稜線に出る最後の詰めで、なんとクマに進路を塞がれるという事態が。我々に気がついたクマは逃げてくれましたが、クマとの駆け引きという貴重な経験ができました。
【日程】2017年9月24日(日)
【山域】北ア・立山
【渓谷名】黒部川水系 薬師沢左俣
【メンバー】Mくん、マメゾウムシ
【天候】晴れのち曇り
【コー スタイム】薬師峠6:10〜太郎平小屋6:25〜薬師沢左俣出合7:15-27〜12mトヨ滝下8:53〜10m魚止めの滝下9:04〜2315m二俣10:20〜稜線11:52〜北ノ俣岳12:20〜太郎平小屋13:25〜薬師峠13:39-14:17〜太郎平小屋14:35〜折立16:50
岩井谷を遡行した翌朝は見事な快晴! その代わり、夜は放射冷却でかなり冷え、3シーズンシュラフでは寒かった。今日はテントを張りっぱなしにして、空荷で薬師沢左俣を遡行する予定。その間に夜露に濡れたテントも乾くだろう。
日の出で朝日に輝く山々! 当初は薬師峠から薬師沢中俣を左俣出合まで下降する予定だったが、朝のあまりの寒さに、とても早朝から水に浸かりたくはない。登山道で左俣出合まで下ることにする。
草紅葉と朝日が見事にマッチして美しいが、木道に霜がおりていて滑りやすい。
見事な雲海! 美しい!
太郎平小屋から薬師沢方面への道に入る。
正面に黒部五郎岳。
薬師峠から1時間ほどで薬師沢左俣出合に到着。この時点での入渓者は我々だけのようだ。
沢装備を装着して遡行開始。
テンカラ竿を振ってみるが、どうも魚がスレているようで、岩井谷ほどは釣れないし、サイズも小さい。それでも今シーズン最後となる渓流釣り。悔いはありません!
最初は釣りをしながらの平凡な河原歩き。
滝が現れたところで、竿をしまい、遡行モードへ。まずは12mトヨ滝は右から。
続いて、2段6mと4m2条滝も右から簡単に。
やがてゴルジュ状となり、その中に魚止め滝10m。
これは右から高巻いたが、本当はもっと大きく高巻くべきだったようで、最後は濃い藪に苦労した。
4m2条滝。
迫力のある大滝が前方に見えた。1つの滝のように見えましたが、8m、3m、8mハネと連瀑でした。まずは右岸のルンゼを登って途中からトラバース。
それから右岸のスラブを登る。
一気に高度を稼いだ感じ。
大岩が沢を埋める。
8m幅広滝。
右から回り込む。
次は大滝多段70mとのことですが、10m程度の滝が連続している感じ。
まとめて大滝ということ? 登るのは容易ですが、豪快ではあります!
連瀑帯が終わったところで、2315m二俣。ここで大休止して、左俣へ進む。
最後の3m滝を左から越える。
最後の滝を越えると緩やかな小川状となる。時々チビイワナが走るから驚きである。
Mくん、沢3日目でお疲れ気味かな? この先で赤木沢を遡行し、左俣を下降してきた2人パーティーと会う。なんと以前に一緒に滑ったことのあるヤマちゃんでした(2014年4月のBCの記録)。3年半ぶりの再会でした。
ダラダラとした歩きは飽きてきますが、紅葉した美しい景色はそんな気持ちを吹き飛ばしてくれます。
流れがなくなり、稜線への詰めに入ります。
前方になにやら黒い動物がいるぞ!
なんとクマでした! そこは我々の進路なんだけど。
クマは高山植物の根を掘り起こして食べているようだった。クマは食べるのに夢中で、我々には気がついていない。このままだと進めないし、沢を戻るわけにはいかないので、蹴散らすことにする。蹴散らすと言っても、こちらの存在を知らせるだけ。「ヤッホー」と叫んでみる。ちなみに黒部では「オーイ」と叫ぶと、妖怪に取り憑かれるらしいので、「ヤッホー」と叫ぶのがよいそうです(黒部の山賊より)。
声に気がついたクマは振り返って我々の方をジッと見る。しばらくすると稜線方向に逃げていきました。クマは基本的にはヒトを恐れる。稜線方向には登山道がついているのだが、大丈夫かな?
クマがまだいるかもしれないので、気を付けながらガレと草付きを詰めて、登山道に出ました。何人かの登山者が歩いていましたが、登山者と出会い頭はなかった模様で一安心。とりあえず、出会った登山者にはクマがいたことを伝えておきました。
沢装備を解除して、薬師峠へ戻ることに。北ノ俣岳を通過。今年5回目の登頂です。
チングルマも綿毛で、すっかり秋の装いです。
休まずに薬師峠を目指す。すっかり空が雲に覆われてしまいました。
薬師峠に戻ったら、テントを撤収して下山です。沢装備をパッキングしたザックは重い。
太郎平小屋のランチタイムはすでに終了で残念。そのまま折立への道を下ります。
前日に遡行した岩井谷です。また来る機会はあるかな?
長い折立への下山ですが、アラレちゃんの看板まで来たら、もう遠くはない。
17時前に折立に下山。本日の行動時間は10時間40分でした。Mくん、3日間お疲れ様でした。それだけ行動できれば、問題なしです。
下山後は亀谷温泉で汗を流し、帰路につく。これで2017年の渓流釣りと沢登りは終了です。金剛山周辺の沢登りにはまだ行くかもしれませんが、本格的な沢登りは来年までは行くことはないでしょう。今シーズンも楽しめました。いよいよ雪のシーズンに向けての準備を始めるとしましょう!
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