奥美濃の幻の滝を見に荒倉谷川遡行
遡行から10日も経ってしまいましたが、7月3連休に行った奥美濃での沢登りの報告です。
奥美濃の白鳥からは石徹白を経て白山まで続く白山美濃禅定道がある。前谷集落から石徹白の檜峠までは、その旧道が残っている。その旧道から見えるのがアラクラ滝である。このアラクラ滝は木々に葉が茂っている間は見ることができない。葉がない時期は冬だが、この一帯は豪雪地帯でもあり、雪の中をあえて滝を見に行く人はそういない。そのため秋口から初雪が降るまでか、春の雪融け後から葉が茂るまでの限られた時期にしかこの滝を見ることができない。それが幻の滝と言われる所以である。今回は、ワンゲル部OBの若きクライマーIくんという頼もしいパートナーと、荒倉谷川の出合から遡行し、アラクラ滝を下から眺めようということになった。ついでにアラクラ滝が登れるようであれば、登ってしまおうと。荒倉谷川は前谷川の小さな支流でもあるので、まったく遡行の記録はネットでは見つからない。短い沢で遡行の魅力がないのかもしれないが、未知の沢は冒険心をくすぐる。はたして荒倉谷川はどんな沢で、アラクラ滝はどんな滝だったのか、以下、報告です。
【日程】2017年7月15日(土)
【山域】奥美濃
【渓谷名】長良川水系 前谷川支流 荒倉谷川
【メンバー】Iくん、マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】檜峠7:21〜白山禅定道案内板8:19〜荒倉谷川取水口8:37-59〜アラクラ滝下9:45〜アラクラ滝偵察終了10:49〜アラクラ滝落ち口11:19〜白山禅定道横断地点(標高810m)11:38〜檜峠12:27
今回は白山美濃禅定道の旧道部分も歩いてみたかったので、檜峠を起点にした。帰りは登りになるかもしれないが、たまにはそんな沢登りもよいだろう。
檜峠からは毘沙門岳の登山道に入る。
しばらく進むと分岐があり、下方向に向かう白山禅定道の旧道に入る。
中の峠、茶屋峠とアップダウンがある。
茶屋峠を越えると、アラクラ滝が見えるポイントに。滝は木々の葉に隠れて見えず、滝の音がするだけ。
途中、動物の鳴き声が茂みの中からするので、見てみるとカケスの雛だった。おそらく巣から落ちてしまったのだろう。我々としてはどうすることもできない。
旧道だけあり、社の跡もある。
白山禅定道の案内板まで下りると、そこからは車道になり、分岐を左に下る。
途中で、岐阜の棚田21選に選ばれた正ヶ洞棚田を眺めることができる。
県道に出る手前で左の林道に入って、しばらく進むと取水施設がある。ここが荒倉谷川の入渓地点で、取水のためこの下は涸れ沢となっていた。
沢の入口は草木の葉が生い茂り、狭く暗い。水量も少ない。まるで金剛山や滝畑の沢の雰囲気。はたして遡行価値はあるだろうか? まあ、行ってみるとしましょう!
すぐに小滝が現れて、いくつも続く。
胸まで水に浸かる深みもある。
そんなに悪くないのでは!
シャワーも浴びる!
チビイワナが時々走る!
小滝の後は、樹林の中の沢歩き。
ヒキガエルもお出迎え。
イワナはチビばかりだが、結構、魚影が見られる。 人が入らない沢のためイワナの警戒心が弱いのか、水中写真を撮ることができた。
ちょっとしたナメもある。
5m滝が現れた。この沢初の本格的な滝である。
直登は容易でした。
なにやら大きな滝の音が。
入渓から1時間ほどだったが、ついに幻のアラクラ滝が姿を現した。下1段は4mほど。
その上は、さらに2段あり、全部で3段50mはある。
下から2段目までは直登できた。落ち口を眺めるが、上部1段の直登は難しそうだ。
右から高巻きを試みるが、岩盤に阻まれ、トラバースは難しそうだ。
アラクラ滝の直登は頑張ればできそうではあるが、今回は無理せずに偵察だけにする。直登は次回の宿題だ。高巻き地点から30mロープ2本の懸垂下降で撤退。
比較的安全なアラクラ滝の高巻きは、滝下から南方向の斜面を登り、白山禅定道に出るルート。部分的に岩が脆い所があり、滑落に注意は必要だ。
標高にして100mほど登らねばならないので、結構キツい。
白山禅定道に出たら、しばらく登ってから沢へ戻る。滝上の流れは平凡で、もう遡行要素はなさそうだが、落ち口を見に行くことにする。
落ち口は狭い。狭いから、水量が少なくても、滝がそこそこの見映えになるのかもしれない。滝上にもチビイワナは見られた。
沢を白山禅定道が横切る所で遡行を終了とする。これより上は遡行要素はなさそう。入渓前に下った白山禅定道の登りは、暑さもあり、結構堪えた。
荒倉谷川は、標高差260m、距離にして2.4 kmの短い沢だったが、アラクラ滝を見に行くには充分に使えるルートである。また初心者の沢入門にもよいかもしれない。
荒倉谷川の遡行図です。
Comments