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July 26, 2017

奥美濃石徹白の玄関口である前谷川遡行

前谷川は大日ヶ岳の南面にその最初の一滴を発し、奥美濃の白鳥にて長良川に注ぐ石徹白の玄関口にある谷である。前日に前谷川支流の荒倉谷川でウォーミングアップを済ませた我々は、前谷川の完全遡行に挑んだ。

【日程】2017年7月16日(日)
【山域】奥美濃
【渓谷名】長良川水系 前谷川
【メンバー】Iくん、マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】檜峠5:30〜魚返し橋6:08-35〜取水設備6:56〜10m滝(最初の本格的な滝)7:11〜堰堤7:48〜15m大滝7:11〜V字5m滝9:21〜2条8m滝9:27〜二股に分かれる8m滝10:25〜3段15m滝10:41〜ねじれた10m滝10:52〜黒壁の15m滝11:14〜黒壁8m滝13:08〜1530m二股15:18〜登山道15:56〜鎌ヶ峰16:43〜水後山17:06〜ウイングヒルズスキー場トップ17:33〜檜峠18:07

前谷川は奥美濃では比較的知られた沢のようで、ネット上にも記録はいくつか見つかる。どの記録を見ても思うのはその行程の長さと、最後の詰めである笹藪の猛烈さだ。ヘッデン下山はできれば避けたいので、早立ちということで5時半に檜峠を出発した。

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県道314号線を40分ほど歩いて、前谷川の入渓地点である魚返し橋に到着。よさげな渓相である。ここは野伏ヶ岳などにバックカントリースキーに行く際にいつも通る所で、以前から気になっていた沢でもある。

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沢に下降するところを捜すがよさげなところがない。左岸側から懸垂下降で入渓することにした。どうやら下流側に容易に下降できる所はあったようですが。

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いきなり、いいナメが始まります!

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癒やし系か!

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小さなナメ滝も続きます!

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チョックストンがいきなり行く手を阻むが、ザックを下ろせば、トンネルをくぐれます。

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またナメ滝!

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沢靴のフエルトのフリクションを利かせて、ヒタヒタと歩く。

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名渓か!

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そんなナメも取水施設が現れると終わってしまいます。

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その後はゴーロになりますが、部分的にナメ滝が出てきます。

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入渓してから35分歩いたところで、最初の本格的な滝である10m滝が姿を現す。左から容易に越える。

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すぐに3段10mの斜め滝。

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ゴルジュとなり、深い淵が現れたが、泳ぎか?

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水量が平水時より少ないためか、泳がずに突破できました。

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見事にはまったチョックストン!

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こんな所に堰堤が現れる。左から越える。堰堤上は幕営適地だが、入渓から1時間ちょっとしか経っていない!

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しばらく沢はゴーロ状に。

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右岸に見える大きな岩壁からは水が滴る。

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堰堤から30分ほど歩いて現れた15m大滝。

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15m大滝は、ロープが上部に残置されていた右のバンドから、ロープで確保して若きクライマーIくんが取り付いた。岩が脆く、Iくんは1回スリップしたが、無事とめる。その後は、なんとか木のある所まで登ってくれた。セカンドで登った私も結構ヒヤヒヤものだったが。確保されている安心感は大きかった。この大滝の下まではイワナの魚影はあったが、この上では見かけなくなった。

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その次に現れたのは、V字の5m滝。

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左から比較的容易に登れた。

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すぐに2条の8m滝が姿を現す。右の草付きから巻く。

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ハコネサンショウウオ。ちょっと水流がショボくなってきたが...

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ついに水流が無くなってしまい、伏流になる。梅雨時なのに渇水なのか?

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10分ほど歩いたら、水流が復活して一安心。この暑さで、ここで水が無くなってしまったら、とても稜線まで抜けられません。

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下部で二股に分かれる8m滝が姿を現す。

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左から登る。

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3段15m滝が姿を現す。

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下から2段までは直登し、シャワーを浴びながら左にトラバースして、最上段は左から越えた。

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すぐにねじれた10m滝。

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ここは右から登る。

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滝が連続し、緊張も続いたので、ねじれ滝のすぐ上の2m滝でちょっと息抜き!

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ここまで登って来て、再び水流がショボくなってきました。

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水が染みこんでいるのか、黒くなった大きな滝が現れました。黒壁の滝15mです。弱点がなさそうだが、右の草付きのルンゼから高巻いてみた。岩が脆く、草付きはドロドロズリズリ。最初はノーロープで行ったが、ちょっと不安を覚えたので、先に登ったIくんにロープを下ろしてもらった。木の生えている上部では、猛烈な藪に行く手を阻まれるし、沢も見えない。ルートファインディングに迷う。

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仕方なく、途中まで藪の中を懸垂下降で下りることに。懸垂下降中にわかったことだが、最上部まで登らずに、途中から左にトラバース気味に進めば、懸垂しなくても沢に下りられたようだ。この高巻きに2時間近くも費やしてしまった。

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3段15m斜め滝は階段状だが、疲労で足取りがだいぶ重くなってきた。若いIくんはさすがに元気。

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最後の滝である黒壁の8m滝がついに姿を現す。 上部は濡れると黒くなる岩質なんだろうか?

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右の草付きのルンゼから高巻くが、ここも岩が脆く、足下も崩れやすい。いつ抜けるかわからない草だけが頼りのところも。滝と同じ高さまで登ったら、木を掴みながら落口にトラバースしてクリア。

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これで大きな 滝はもうないはずと、ホッとする!

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しかし、この先がまだ長かった。沢は狭くなり、藪も濃くなり、障害物競走に!

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やがて水流もなくなった。途中にスノーボードが落ちていた。大日ヶ岳はバックカントリースキーでも有名な山なので、誰かが冬季に大日ヶ岳から流してしまったものか?

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最後の1530m二股は左股に入った。右股に入った記録は、どれも激しい笹藪漕ぎになったらしい。これが正解で、笹藪漕ぎにはなったが、激しいというほどではなかった。

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無事登山道に出たが、すでに時刻は16時近くになっていた。 ブヨは多いし、雨も降り出す始末。大日ヶ岳の山頂は省略。

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下山はピークを2つ越えるのだが、これが疲れた体に堪える。

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あとは下りだけだが、雨の降りが強くなってきた!

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ウイングヒルズ白鳥スキー場のゲレンデトップに出たときには、幸いなことに雨は止んでくれていた。

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ゲレンデを下って、無事檜峠に下山となりました。満天の湯で汗を流してから夕食についたのは、20時を越えていた。

前谷川は、前評判通りに行程の長い沢だったが、なんとか暗くなる前に下山できた。1泊で遡行してもよい沢だが、幕営適地はあまりない感じだった。滝の高巻きは、ほとんどが足下が崩れやすい草付きで、岩も脆い。いつ抜けるかわからない草だけが頼りのことも。そんな緊張感が多かったこともあり、心身共に結構疲れました。今回のパートナーのIくんはまだ20代で強かった! 若者には体力ではもう勝てないなと思いました。

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前谷川の遡行図を作成してみました。今後遡行する人たちの参考になれば幸いです。

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July 25, 2017

奥美濃の幻の滝を見に荒倉谷川遡行

遡行から10日も経ってしまいましたが、7月3連休に行った奥美濃での沢登りの報告です。

奥美濃の白鳥からは石徹白を経て白山まで続く白山美濃禅定道がある。前谷集落から石徹白の檜峠までは、その旧道が残っている。その旧道から見えるのがアラクラ滝である。このアラクラ滝は木々に葉が茂っている間は見ることができない。葉がない時期は冬だが、この一帯は豪雪地帯でもあり、雪の中をあえて滝を見に行く人はそういない。そのため秋口から初雪が降るまでか、春の雪融け後から葉が茂るまでの限られた時期にしかこの滝を見ることができない。それが幻の滝と言われる所以である。今回は、ワンゲル部OBの若きクライマーIくんという頼もしいパートナーと、荒倉谷川の出合から遡行し、アラクラ滝を下から眺めようということになった。ついでにアラクラ滝が登れるようであれば、登ってしまおうと。荒倉谷川は前谷川の小さな支流でもあるので、まったく遡行の記録はネットでは見つからない。短い沢で遡行の魅力がないのかもしれないが、未知の沢は冒険心をくすぐる。はたして荒倉谷川はどんな沢で、アラクラ滝はどんな滝だったのか、以下、報告です。

【日程】2017年7月15日(土)
【山域】奥美濃
【渓谷名】長良川水系 前谷川支流 荒倉谷川
【メンバー】Iくん、マメゾウムシ
【天候】晴れ
【コー スタイム】檜峠7:21〜白山禅定道案内板8:19〜荒倉谷川取水口8:37-59〜アラクラ滝下9:45〜アラクラ滝偵察終了10:49〜アラクラ滝落ち口11:19〜白山禅定道横断地点(標高810m)11:38〜檜峠12:27

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今回は白山美濃禅定道の旧道部分も歩いてみたかったので、檜峠を起点にした。帰りは登りになるかもしれないが、たまにはそんな沢登りもよいだろう。

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檜峠からは毘沙門岳の登山道に入る。

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しばらく進むと分岐があり、下方向に向かう白山禅定道の旧道に入る。

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中の峠、茶屋峠とアップダウンがある。

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茶屋峠を越えると、アラクラ滝が見えるポイントに。滝は木々の葉に隠れて見えず、滝の音がするだけ。

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途中、動物の鳴き声が茂みの中からするので、見てみるとカケスの雛だった。おそらく巣から落ちてしまったのだろう。我々としてはどうすることもできない。

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旧道だけあり、社の跡もある。

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白山禅定道の案内板まで下りると、そこからは車道になり、分岐を左に下る。

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途中で、岐阜の棚田21選に選ばれた正ヶ洞棚田を眺めることができる。

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県道に出る手前で左の林道に入って、しばらく進むと取水施設がある。ここが荒倉谷川の入渓地点で、取水のためこの下は涸れ沢となっていた。

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沢の入口は草木の葉が生い茂り、狭く暗い。水量も少ない。まるで金剛山や滝畑の沢の雰囲気。はたして遡行価値はあるだろうか? まあ、行ってみるとしましょう!

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すぐに小滝が現れて、いくつも続く。

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胸まで水に浸かる深みもある。

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そんなに悪くないのでは!

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シャワーも浴びる!

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チビイワナが時々走る!

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小滝の後は、樹林の中の沢歩き。

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ヒキガエルもお出迎え。

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イワナはチビばかりだが、結構、魚影が見られる。 人が入らない沢のためイワナの警戒心が弱いのか、水中写真を撮ることができた。

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ちょっとしたナメもある。

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5m滝が現れた。この沢初の本格的な滝である。

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直登は容易でした。

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なにやら大きな滝の音が。 入渓から1時間ほどだったが、ついに幻のアラクラ滝が姿を現した。下1段は4mほど。

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その上は、さらに2段あり、全部で3段50mはある。

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下から2段目までは直登できた。落ち口を眺めるが、上部1段の直登は難しそうだ。

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右から高巻きを試みるが、岩盤に阻まれ、トラバースは難しそうだ。

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アラクラ滝の直登は頑張ればできそうではあるが、今回は無理せずに偵察だけにする。直登は次回の宿題だ。高巻き地点から30mロープ2本の懸垂下降で撤退。

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比較的安全なアラクラ滝の高巻きは、滝下から南方向の斜面を登り、白山禅定道に出るルート。部分的に岩が脆い所があり、滑落に注意は必要だ。

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標高にして100mほど登らねばならないので、結構キツい。

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白山禅定道に出たら、しばらく登ってから沢へ戻る。滝上の流れは平凡で、もう遡行要素はなさそうだが、落ち口を見に行くことにする。

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落ち口は狭い。狭いから、水量が少なくても、滝がそこそこの見映えになるのかもしれない。滝上にもチビイワナは見られた。

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沢を白山禅定道が横切る所で遡行を終了とする。これより上は遡行要素はなさそう。入渓前に下った白山禅定道の登りは、暑さもあり、結構堪えた。

荒倉谷川は、標高差260m、距離にして2.4 kmの短い沢だったが、アラクラ滝を見に行くには充分に使えるルートである。また初心者の沢入門にもよいかもしれない。

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荒倉谷川の遡行図です。

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July 10, 2017

雪彦山でワンゲル部員の岩場歩き訓練+献血活動

先週末は、夏合宿で剱岳や後立山に行く予定のワンゲル部員たちの岩場歩き訓練のために、一緒に雪彦山を登って来ました。

【日程】2017年7月8日(土)
【山域】近畿
【場所】雪彦山
【メンバー】ワンゲル部員11名、マメゾウムシ
【天候】曇り
【コースタイム】雪彦山登山口5:10〜出雲岩5:59〜見晴らし岩6:12-33〜大天井岳6:59-7:28〜三角点雪彦山8:02〜鉾立山8:28-39〜ジャンクションピーク8:48〜虹ヶ滝9:45〜雪彦山登山口10:35

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20時半に堺を出て、23時に登山口に到着。車で夜に出発し、翌日は早朝から登山活動を開始することは、社会人の山屋にとってはごく普通のことと思うのだが、普段は公共交通機関で移動している現役ワンゲル部員にとってはあまり経験のないことらしい。

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現地に到着したら、いつも通りに晩酌開始。外ではまだホタルが飛んでいる。ワンゲル部員には未成年もいるので、声はかけずに1人晩酌。未成年の飲酒に厳しくなった昨今では、こういう文化は社会人山岳会を経験しないと身につかないのだろうか。

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諏訪の地酒「真澄」をちょっと飲んでから横になる。

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4時起床で5時10分に登山口を出発。事前に雪彦山にはヒルが多いことを代表者に伝えたはずなのだが、部員には伝わっておらず、明らかに無防備! あとで予想通りの結果となりました。

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岩山である雪彦山にはクライミングのルートもある。トップロープでのクライミング練習も考えたが、11名ではちょっと人数が多い。結局、一般ルートの岩場を歩いてもらう中で、3点確保や足の置き方などを意識してもらうことにした。

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まずは大天井岳を目指す。すぐに急登となり、蒸した中をダラダラと汗をかきながら登る。

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上部は急な岩場歩きとなる。大きなハング状の出雲岩が現れる。

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出雲岩にはボルトやハーケンが打たれており、どうやら人工登攀のルートがいくつかあるようだ。アブミを使った登攀はもう20年はやっていない。

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見晴らし岩からの眺め。確保なしであまり先に行くな! やはりリスクマネージメントがなってない。クライミングや沢登りの経験が彼らにはないからだろうが、リスクに対する指導の必要性を感じる。補助ロープと環付カラビナを使って、ムンターヒッチでの確保をやってみせる。

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セリ岩をくぐる。

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岩場では足の置き方がうまくない部員もいる。つま先が乗れば安定するのだが。少々、夏合宿に不安を感じる。

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大天井岳に到着。ここまで2名がヒルに献血しました。

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行動食を食べて30分休憩。スタートしてから2時間しか経っていないにしては、ちょっと休憩時間が長い気も。

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山頂にあるミズナラの樹液に来ていたミヤマクワガタ。

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大天井岳からは北へ縦走していく予定なのだが、どちらに行ったらよいか迷う部員達。地図を見なさい! 地図を見て、行く方角を確認すれば簡単にわかるのだが。どうやら地図読み講習会は行う必要がありそうだ。

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838mピークにあった三角点。

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縦走路は一転してトレラン向き。

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展望の悪い三角点雪彦山を通過。みんな安易に先頭について行っちゃうね。結果的に問題ない所だったが、しっかり地図でルートを確認しないとね。

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鉾立山で休憩。

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氷ノ山が見える。先シーズンは氷ノ山には滑りに行かなかったな。

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ジャンクションピークからは谷への下りとなる。

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下るにつれて登山道の隣を流れる沢の水量も増えていき、小滝も現れてくる。

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テーブル状のナメは面白い。

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結構、沢には滝がある。短さとすぐ隣に登山道があるのを気にしなければ、沢登りでもまあまあ楽しめそうだ。登山道にはクライムダウンが必要なところもあり、岩場歩きの訓練にはなる。

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虹ヶ滝。ここから地蔵岳へ登り返して、鎖場を通ったらよいと思うのだが、そのまま下山とのこと。

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虹ヶ滝の下にも滝がある。登山道の下りは技術が要求されるが、スリップする学生がいたのが、少々夏合宿に向けて不安を感じる。

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スリット型の堰堤を通過したら、もう登山口は近い。

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無事下山?

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11人の部員のうち7名がヒルへの献血に協力していました。

今回、部員達と一緒に歩いてみて、ワンゲル部の課題がさらにはっきり見えてきました。体力はあるのだが、技術が身についていない。もう少し緊張感もほしい。たぶん部員自身も気づいているだろうが、合宿やそれに向けてのトレーニングの体制などを見直す必要はあるでしょうね。

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