白山 手取川水系・目附谷(3):ハイマツ漕ぎで感動のフィナーレ!
3日目(9月22日):1630m幕営地〜小又出合〜1816m二俣〜四塚山〜市ノ瀬
目附谷遡行の3日目の記録です。概要については1日目の記録をご覧下さい。
2日目は核心部をヘロヘロになりながらなんとか突破した我々。3日目は標高2100mまで本流を詰めて、最後は四塚山南西尾根に逃げて、感動のフィナーレとなりました!
3日目も5時に起床し、火を熾す。焚き火がないと、寒くて朝食の準備ができないので。
今日も7時に出発。小又出合はすぐだった。
我々は右の本流を進む。あとで聞いた話しでは、単独のNさんは情報のある小又を進み、さほど苦労せずに稜線に出られたそうだ。我々に気づくようにNさんはケルンを積んでくれたそうだが、本流に行く気満々の我々には残念ながら気づかなかった。
すぐに赤壁からの支流を右に見送って、しばらく進むと、1816m二俣に到着。
ここでどちらに行くかが、運命の分かれめ。右俣は情報があるのだが、本流と思われる左俣には情報がない。しかし、右俣は谷が深く、その谷を埋め尽くす雪渓が見えていた。左俣は斜度が右俣よりも急ではあるが、谷が広く雪渓のリスクは少ないと判断。遡行できなくなっても、ここまで来れば、なんとか尾根に逃げることもできるだろう。
左俣は小滝が続いたが、フリーで登れた。
しかし、前方には4段100Mはあろうかという連瀑が見えた。
登れるかもしれないが、ハーケンやハンマーの準備が我々は不十分。情報もない。ここはリスクを冒さずに、右に見える四塚山から南西に伸びる尾根に逃げることにした。
標高2100m地点から沢を離れて、右の急なガレガレのルンゼに取り付いた。
落石に注意しながらバランスで登り,草付きに入る。樹林になったところで滑落の危険はなくなったが、藪漕ぎが待っていた。それでも沢から標高差150mを1時間ほどで尾根に乗ることができた。あとは尾根を山頂を目指して歩くだけなので、嬉しさが沸き上がる!
しかし、そう甘くはなかった。まだハイマツ漕ぎが残っていた!
展望がいいので、テンションは下がりません!
尾根に出てからの標高差250mを2時間かけて、ようやく四塚山に立てました。感動のフィナーレでした!
紅葉もちょうどいい感じです!
あとは紅葉を楽しみながら、長い釈迦新道を下るだけ。
我々が登って来た尾根が左奥に見える。
当初考えていた右俣の連瀑が見える。フリーで登れるとのことだが、ちょっと厳しそうに見えるが...
ミヤママツムシソウやミヤマリンドウなど秋の花が咲いていた。
釈迦岳への登り返しはきつかったが、釈迦岳前峰まで来れば、あとはほぼ下りのみ。
釈迦新道のブナ林はなかなか見事でした。
たくさんのツキヨタケ。
ようやく林道に出ました。
市ノ瀬に着いたのは18時半近く。ギリギリでしたが、なんとかヘッドライトを使わずに下山できました。でもヘロヘロ!
白峰の展望の湯で汗を流してから、Repuさんの車を回収するために道の駅瀨名に移動して、今回の濃厚な沢登りは解散となりました。
目附谷は、最初のスリット型堰堤での流木登りから始まり、徒渉、釣り、ルートファインディング、高巻き、ゴルジュの大高巻き、ロープ長ぎりぎりの懸垂下降、リスキーな雪渓歩きとトンネルくぐり、滝の直登、焚き火、ガレガレ登り、ハイマツ漕ぎ、長い釈迦新道の下りと、大変濃厚な3日間でした。2日目と3日目は1日10時間以上の行動で、常にフルスロットル。目附谷遡行を無事完了できた達成感はひじょうに大きなものです。
目附谷遡行に誘っていただいたRepuさんにはとても感謝しています。ともに力を合わせることで、困難を突破したことは、忘れることのできない思い出になります。そして目附谷についての貴重な情報を提供してくださり、早朝に林道を送迎して下さったナベさんに心から御礼申し上げます。また、テン場の整地や焚き火でお世話になった渓友会のNさんにも御礼申し上げます。
下山後は、まるで100マイルのトレランレースを走ったのと同程度の疲労感で、しばらく回復に時間がかかりそうです。
Repuさんの3日目の記録と目附谷から読む白山地域の地質についての解説もご覧ください。
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