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November 25, 2013

立山初滑り:雪崩事故との遭遇

毎年恒例の立山初滑りに今年も行ってきました。
初滑りそのものはよかったのですが、真砂岳付近で大きな雪崩が発生するのを目撃。
残念ながら、その雪崩によって7人のスキーヤーが命を落としました。
いろいろと雪山の安全について考えさせられる初滑りとなりました。
故人のご冥福をお祈りするとともに、雪山での行動についてはこれまで以上に気をつけて行こうと思いました。
以下、記録です。

【山域】立山
【場所】富山県

【日時】2013年11月22日(金)〜23日(土)

【メンバー】マメゾウムシ

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1日目(11月22日)

【天 気】 11/22 雪

富山側の高原バスは悪天のため、3日続けて運休。この時期は長野側からの入山が確実である。

去年に引き続き、扇沢は積雪していた。平日にもかかわらず、すでに結構な台数の車が一番下の無料駐車場に入っていた。積雪のため駐車スペースに困ったが、なんとか自分で除雪することで駐車できた。ここで、4月の山岳スキーレースに参加していたテレマーカーのCさんと会う。今晩は雷鳥荘泊まりだそうだ。

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富山側が動かないので、長野側に人が集中したのか、もしくは今年は連休ではないので、平日に休暇を取った人が多かったのか、結構な数のスキーヤー・ボーダーがすでに改札口で待っていた。ロープウェイは整理券での乗車であった。2時間近くかかって室堂に着いた時にはグッタリという感じ。室堂は雪で視界不良気味であったが、それほど荒れてはいなかった。

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まずは宿泊先のみくりが池温泉に向かう。時間はたっぷりあるが、視界不良のため行動範囲は限られる。いつもの雷鳥荘前のゲレンデで初滑りをすることにする。まあ視界不良と言っても見える方であった。

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ちょっと重めのパウダーであったが、まずまずの滑りができた。

雷鳥沢を登っているパーティーがいたが、視界不良の中で行動をするのは、地形がわからずに誤って雪崩地形に入ってしまうリスクがあるのではないだろうか。ちょっと行動に疑問を感じた。前日にJANの出川さんがメーリングリストに送られた立山注意喚起のメールを思い出す。

2回ほど滑ったところで、風雪が強くなってきたので、切り上げることにする。

みくりが池温泉に戻ったら、まずは日本最高所の温泉に入り、言うまでもなくこれです。

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夕食はいつもながらに豪勢だった。立山で立山を飲む!

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2日目(11月23日)

【天 気】 快晴
【コースタイム】みく りが池温泉7:46〜浄土山9:20-36〜浄土山カール滑走〜カール下9:41〜浄土山9:58-10:09〜浄土沢滑走〜標高2400m地点 10:28-50〜(雪崩発生目撃10:55)〜室堂山荘11:23-29〜室生山荘の裏斜面滑走〜標高2350m付近11:31-53〜山崎カール標高 2640m付近12:59-13:10〜山崎カール滑走〜雷鳥沢キャンプ場13:20-35〜室堂ターミナル14:33

翌朝は見事に晴れました。御来光です。

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朝食はしっかり食べる主義です。

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大量降雪が続いた後の晴天。JANの出川さんからの21日のメールでは、「立山は雪崩リスクが高い状態だ」という情報が。とりあえず、サポートのない急斜面は避けて行動することを心がけなければならない。この時点で、山崎カール上部、雷鳥沢、大走りはルートからは外れた。とりあえずは当初の予定通り、浄土山に向かうことにする。

一ノ越の手前から浄土山方面に方向を変える。浄土山のカールをダイレクトに登ってもよさそうだが、念のため稜線通しに登った。途中、風の影響を受ける部分はクラストしていて、やむなくクトーを装着して突破した。シーズン始めだけあって、ちょっと体が重く、本来の調子ではなかった。そんなわけで山頂の一番乗りにはなれなかった。

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浄土山からの剱岳。

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雄山。

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浄土山のカールはそれなりに急ではあるが、すぐにフラットになるため、雪崩が起こっても大規模なものは起きにくい。すでに何人か滑っていたこともあり、私もドロップ。極上のパウダーで、積雪も安定しているという印象でした。

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あまりに気持ちがよかったので、登り返してもう1本!

浄土山からの槍ヶ岳。5月に行ったオートルートスキー縦走を思い出します。

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2本目の滑走はそのまま浄土沢まで。

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標高2400m地点まで滑って、室堂山荘へ登り返す途中で、ゴーッという音が聞こえた。別山と真砂岳の間あたりから雪煙が上がっている。思わず、「雪崩だ」と叫んでしまった。

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今まで私が遭遇した雪崩よりもはるかに大きなものでした。この時点では誰も巻き込まれていないことを願っていた。

室堂山荘からはすぐ裏の急斜面を滑走した。ここも急ではあるが、すぐにフラットになるところである。わずか数ターンだったが、ここも気持ちよく滑れた。沢に下りたところで休んでいると、富山県警の警備隊員が3人ほど、つぼ足でタンカーを運びながら近づいてきた。ここで初めて雪崩に何人かが巻き込まれたことを知る。これから現場での救助活動に加わるとのこと。雪崩発生から30分ちょっとでの大変迅速な初動と思われる。

山崎カール方面へ向かって登り返す。途中で救助ヘリが現場に向かうのを目撃する。山崎カールも下部であれば、斜度もそれほど急ではない。ただし上部で起こった雪崩には気を付けなければならない。標高2640m付近から雷鳥沢方面へ、すなわち雪崩現場方面へ滑走した。

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標高が低くなると、ちょっと重めのパウダーとなったが、それでも気持ちよく滑れた。これで今日の滑走は終了。

雷鳥沢キャンプ場から見た雪崩末端のデブリ。

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ヘリが3回ほど雪崩現場と室堂を往復していたが、死者がいないことをこの時は願っていた。救助活動としては大変迅速に行われたと思うが、おそらく現場で的確に行動できるリーダーがいたのだろう。

雷鳥荘へ登り返すと、雪崩の破断面が大走りの上部に見えた。はっきりとした面発生雪崩だ。標高差からしてかなりの破壊力だったことが予想できる。

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富山湾方面は見事な雲海であった。

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室堂を15時15分発のバスに乗ったが、これが長野側への最終であった。最終を16時と勘違いしていたので、危うく乗り過ごすところであった。これで乗り過ごしていたら、富山側から扇沢へまわらなければならないところだった。

宿に着いてからニュースを見てわかったことだが、この雪崩事故で7人が犠牲になった。故人のご冥福をお祈りするとともに、雪山におけるリスクマネージメントの大切さをあらためて思うのだった。

今回の立山での雪崩リスクの高さは十分に予測されていたはず。基本的に沢状地形などサポートのない急斜面には入るべきではない。しかし、雷鳥沢の内部など沢状の急斜面にまでシュプールがついているのを見ると、どれだけのスキーヤー・ボーダーが地形を考えた行動をとったのかとつい思ってしまう。やはり今まで大丈夫だったからとか、自分だけは大丈夫というのもあるのではないだろうか。雪山では常に初心に戻って細心の注意を払うことを心がけなければならない。今シーズンは今まで以上に雪崩には気をつけて行こうと思う。

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追記

あらためて考え直すと、今回は「積雪は安定していた」と判断してしまっても、その判断を安易には批判できないものと思いました。JANの速報を見ると、雪崩の破断面は表面から2m前後の所です。ピットを掘って、コンプレッションテストをしても、これだけの深いところでは反応はなかったでしょう。また、あちこちの急斜面に次々とシュプールがついていくにもかかわらず、その時点で雪崩の発生はなかった。「積雪は安定している」と判断してしまってもやむを得なかったと思います。私も正直なところ、滑っているうちにそのように思い始めていました。雪崩を目撃しなかったならば、安易な行動をしていたかもしれません。実際のところ、あれだけあちこちの急斜面が滑られても、雪崩が生じたのは4箇所(真砂沢、雷鳥沢、山崎カール、剱沢)だけしかなかったという事実。それを考えると、積雪は思ったよりも確かに安定していたのかもしれません。昨晩に参加したアバランチナイトでも、そのことを出川さんがおっしゃっていました。たまたまスラブが薄いウイークポイントにスキーヤーが乗ってしまったが故に起こった不運な事故だったのかもしれません。地形だけを見ると、確かに事故現場は雪崩地形ではありますが...

なかなか雪山での判断は難しいところです。亡くなられた7人のご冥福をお祈り致します。

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Comments

11月の立山って、雪崩、地雷、人の多さ、のイメージが年々強くなってきて、足が遠のきます。
富山側からのアクセスも難しいですしね。
身勝手なスキーヤー、ボーダーの起こした雪崩や、落石に巻き込まれる可能性もありますし、気をつけると言っても、限界があります。

Posted by: CIMA | November 26, 2013 at 12:26 PM

この時期の週末の立山は人が多くなりましたね。
これだけ多くのスキーヤー・ボーダーが入ると、確率的に身勝手な人も出てくるものと思います。
やはり平日に休暇を取って行くのがいいですね。

Posted by: マメゾウムシ | November 26, 2013 at 01:06 PM

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