悪天の天狗原と The Dayの裏ヒヨ
休日出勤の代休を利用して行ったスキー山行の前半2日間の報告です。
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1日目:悪天の天狗原
【山域】白馬 天狗原
【場所】長野県
【日時】2011年1月20日(木)
【メンバー】マメゾウムシ
【天 気】 雪
【コースタイム】栂池林道入口8:52〜成城小屋9:51-58〜天狗原手前(2150m付近)11:18-32〜成城小屋11:50〜栂池高原スキー場12:10
代休4連休の初日は冬型が強まり、大雪でした。朝からしんしんと雪が降り続いていた。スキー場ですでに視界が悪い。平日の栂池は閑散としていて、なにか寂しい感じがする。一応、ゴンドラは動き出したので、とりあえず天狗原を目指して、行けるところまで行ってみることにする。
ゴンドラと栂の森のリフト1本を乗り継いで、いつもの林道入口に滑り込みます。当然ながらこのような悪天の日に山に入る人などいませんので、ノートレースのところを1人でラッセルをしなければならなかった。新雪で林道がのぺーっとなっていて、不明瞭になっていたが、通い慣れた林道であるので迷うことはない。この時点で視界は十分にあり、風も強くはなかった。林道をショートカットできるところはして、1時間ほどで成城小屋に到着した。雪が軽いのか、それほどラッセルは苦にならなかった。
成城小屋からは斜度も増してくるので、急なところはキックターンもまじえて登っていく。標高2000mを超えた辺りから風も強くなり出し、視界も悪くなってきた。雪もそれまでのフカフカの新雪から風で締まったウインドスラブに変わってきた。天狗原手前の斜度が緩くなる標高2150m辺りで、ついに吹雪とホワイトアウトとなってしまった。気温も−20℃近いのではないだろうか。体感温度的にはもっと低い。このまま耐えていては顔が凍傷になってしまうので、登りはここまでとして滑走準備に入る。強風の中での滑走準備は結構きつい。
視界が効かないので、GPSに頼ろうとしたが、オレゴン450TCは低温で電源が落ちてしまい、肝心の時に役にたたない。自分のトレースはすでに風で消えてしまっているので、コンパスだけが頼りである。登ってきた方向の南東に向かって慎重に滑走する。ホワイトアウトで平衡感覚がおかしくなり、何でもないのに転倒してしまう。
ようやく視界がよくなってきたところで、往きに通ったところの木に付いた目印を発見できた。あとはもう大丈夫である。これでまともに滑ることができる。激パウだったが、成城小屋まではあっという間であった。
あとは林道を戻るだけ。こんな天気の日に山に入る変わり者が私以外にもいたようである。自分が作ったトレースがより明瞭なものとなっていた。この日は結局、深夜までしんしんと乾いた雪が降り続いた。
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2日目:The Dayの裏ヒヨ
【山域】白馬 裏ヒヨ
【場所】長野県
【日時】2011年1月21日(金)
【メンバー】マメゾウムシ
【天 気】 晴れ時々曇り
【コースタイム】栂池林道入口8:45〜早稲田小屋9:00〜ヒヨドリ西尾根9:45-10:30〜親沢滑走終了地点11:10-25〜若栗の頭12:10-25〜白馬乗鞍スキー場12:40-55〜栂池高原スキー場13:20
2日前の朝は晴れであった。北アルプスの峰も見えている。大雪の次の日は待ちに待ったThe Dayであった。
前日に引き続き。閑散とした平日の栂池高原スキー場のトップから林道に滑り込んだ。なんと林道にピステンがかかっている。昨日のラッセルは何だったのだろうか。早稲田小屋までは楽ちんであった。
早稲田小屋からは、ヒヨドリ西尾根のドロップ地点を目指して、急斜面をキックターンを繰り返しながら登る。ほぼ真北に登るという感じである。今日も1人ラッセルで、汗がにじむ。トレースを使わせてもらうと30分で登れるところだが、尾根まで45分かかった。
念のため、尾根の北側でピットを掘ってみた。積雪は2m80cm、1月3日にも同じところでピットを掘ったが、その時より1mは増えている。コンプレッションテストでは、積雪上部から17cmぐらいのところの層が圧縮破断したが、不明瞭で凹凸のある断面だったので、凸上の急斜面さえ避けれ ば問題はなさそうである。おおむねgoodの評価と言える。
早速、シールを外して尾根北側の親沢へドロップ。何の抵抗もなくスーッと板が進んでくれる。まさに激パウ! 真っ白な雪面にシュプールを刻んでいく。
静寂に包まれたこの場所にいるのは自分だけである。雪面にあるのは自分のシュプールだけである。
最初は広い親沢も、下るにつれて次第に狭くなっていく。
V字状の狭い部分を通過していく。このような場所は雪崩が起こった時に地形の罠になる。小さいスラフでも全身が埋まってしまうかもしれない危険箇所である。しかし、今日の雪質であれば、急な斜面上部をトラバースしない限り、おそらく大丈夫であろう。
しばらく進んでいくと、沢が少々広がる。若栗の頭に向けて登り返さないといけないのであるが、どこから登り返せばよいか、地図を広げた。その時、突然後ろから来たスキーヤーに声をかけられた。誰も来ないだろうと思っていたので、つい驚いてしまった。
そのスキーヤーも白馬乗鞍スキー場へ行くということで、大変ご親切に登り返し地点を教えてくれた。さらに少し下ったところで、支流が合流する開けたところであった。おまけに先頭でラッセルもしていただいた。私も交代しようと急いだが、結局、追いつけなかった。おおよそ真東を目指して斜面をトラバースしていくという感じである。
若栗の頭に着いたあたりからガスが出てきた。先導してくれたスキーヤーは最後の挨拶をして、急なブナ林を黒川沢へ消えていった。私もその後をに続く。なかなか気持ちのよいブナ林であった。急斜面を滑り終えると、あとは緩やかな黒川沢を進む。
ここまで来るとガスも晴れて、再びよい天気となった。スリット状の堰堤をくぐると、もう白馬乗鞍スキー場はすぐであった。
白馬乗鞍スキー場からはスキーを担いで、車道を25分歩いて栂池高原スキー場に戻った。この日はまさにThe Day。思う存分、激パウを堪能した1日であった。
下山後に食べた栂池のラーメン屋「きざし」の肉ラーメンは、とろけるチャーシューとあっさりとしたスープで結構美味しかった。
Comments
いや~、うらやましい。今年は、山スキーヤーにとっては当り年ですね。
代休がとれて平日にスキー出来るなら、毎年仕事を買って出たほうが得。
それにしても、寒さでGPSの電源が落ちるなんて。。。GPSに頼りきりの自分には恐しい話です。
懐に入れるなど寒さ対策必要ですね。
Posted by: CIMA | January 24, 2011 06:46 PM
CIMAさん、いつもながらコメント有り難うございます。
休日出勤で平日代休は悪くないですね。
タッチパネルのオレゴン450TCは、他機種に比べて特に電池寿命も短く、低温に弱いようです。
やはり基本は地図とコンパスでこまめに自分の位置を確認すべきなのでしょうね。
おまけに親沢では車にGPSを忘れてしまいました。
Posted by: マメゾウムシ | January 24, 2011 10:25 PM
裏ヒヨのコース、私も行ってみたいです。若栗の頭へ向かっての登り返しのポイントについて、是非教えてください。
Posted by: uyw | January 26, 2011 05:45 PM
uywさん、はじめまして。
親沢から若栗の頭への登り返し点ですが、地図上では若栗の頭から真西にあたるところで、沢が3股になっているところです。
上から滑り降りていくと、沢が広がって、真東に進みやすい箇所なので、わかると思います。
そのまま真東へトラバース気味に緩やかに登っていけば、若栗の頭への尾根に乗れます。
Posted by: マメゾウムシ | January 26, 2011 06:56 PM