ビーコンクリニック
白馬乗鞍岳を滑る前日に白馬クロスカントリー競技場(スノーハープ)で行われたビーコンクリニックに参加してきました。
主催は株式会社ケーイーエム(PIEPS 製品輸入総代理店)と定非営利活動法人 ACT(Avalanche Control Team)です。
ビーコンクリニックの意図はビーコン訓練ではありません。
各種ビーコンの特性を比較検証し、その能力を客観的に判断する機会を提供するというものです。
いくら優れたビーコンを持っていても、自分のビーコンの特性を正しく理解していないと、 いざという時に役に立ちません。
この日の天気は雪で寒い。
行われたのはもちろん屋外です。
行ったことは、送信モードにしたビーコンを1台置いて、各メーカーのビーコンが何メートル先からその電波を受信できるかを比較するというものです。
その際、送信モードの置き方を3通りに変えます。
まずはお互いのビーコンが縦向きになるようにして比較しました。何と最も遠いところで受信できたのはアナログビーコンのオルトボックスF1でした。
この向きでの受信はどのビーコンもそれなりのよい結果でした。
次に送信ビーコンを横向きにします。
受信ビーコンとは向きが垂直になります。
どのビーコンも受信距離が短くなりましたが、3本アンテナのピープスDSPが最も遠い位置で電波を受信できました。
基本的に3本アンテナのビーコンはよい結果でしたが、オルトボックスの3本アンテナのものはいまいちでした。
最後に深く埋没した時のことを考えて、送信ビーコンを棒を使って4mの高さに上げます。
本来であれば埋めるべきなのですが、さすがに4mは掘れませんので、こうしたわけです。
今度は近くから直線的に捜索して、ビーコンの数値が最短距離になるところをチェックします。
なんと1本アンテナおよび2本アンテナのビーコンは最短距離になるところが2カ所出てきます。
それもその2カ所の距離がかなり開きます。
その2カ所の真ん中辺りが送信ビーコンの真下になるのですが、この特性を知っていないと埋没者の位置特定ができないということです。
それはビーコンの電波が真っ直ぐに出ているわけではなく、楕円状に出ているという特性にあります。
一方、3本アンテナのビーコンはおおよそ送信ビーコンの真下辺りが最短距離になっていました。
深く埋まった場合には、3本アンテナでないと、スピーディーな埋没位置特定ができないということです。
これは目から鱗が取れる思いでした。
1本アンテナは直線的に電波を捉える。
2本アンテナは縦横と平面的に電波を捉える。
3本アンテナはさらに深さが測れ、立体的に電波を捉えることができるということです。
結論から言うと、とりあえず3本アンテナのピープスDSPかマムートパルスバリフォックスのいずれかを持っていれば間違いがないようです。
その他にアイプローブというゾンデが紹介されました。
ゾンデの先端がビーコンの電波を捉えるというもので、埋没位置の特定が短時間でできるという宣伝でした。
自分の持っているビーコンはピープスDSPですが、自分のビーコンの特性を知ることができる貴重な機会でした。
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