立山で雪崩事故
本日、立山で雪崩があり、死傷者が出た模様です。
「30日午前8時55分頃、富山県立山町の北アルプスの室堂平にある通称・雪の大谷(標高約2400メートル)南側の国見岳斜面で、スノーボードとスキーで訪れていた男性6人が雪崩に巻き込まれたと、グループの川崎市の男性から、立山町消防署に119番があった。
県防災・危機管理課によると、30歳代の1人が死亡、1人が意識不明の重体のほか、足の骨を折るなど2人がけがを負った。県消防防災ヘリが出動し、県警と救助にあたった。」
(読売オンラインより)
私は11月18日〜20日で立山で初滑りをし、先週末も行く予定でした。しかし、天気予報で悪天が予想されたので中止しました。
雪崩はその悪天がようやく治まった好天時に起こりました。JANのセイフティキャンプでは「吹雪の後の好天時は気をつけなければならない」と教わりましたが、今回の事故はまさにその典型的な例と思われます。
ニュースの映像から判断すると、比較的規模の大きい面発生の乾雪表層雪崩のようです。ハイクアップによる刺激が雪崩を誘発したものと思います。発生点は不明瞭な沢地形の上部のようで、斜度も結構あり、条件さえ揃えば雪崩が起きてもおかしくないところです。私が行ったときにはたくさんのシュプールがありました。室堂ターミナルからもアクセスしやすい場所です。立山黒部アルペンルートはこの日でクローズとなるので、ボーダーやスキーヤーも最後のチャンスと思って油断したのではないでしょうか。
立山では22日に少し積雪があった後は、雪が降らず、27日まで比較的暖かい日が続きました。そのため、クラスト(氷化)した滑り面が形成されたものと思われます。夜間の冷え込みで弱層になる表面霜も形成されたかもしれません。28日と29日は冬型になり、吹雪でかなりの積雪があったようです。事故のあった30日は富山側の高原バスは除雪が間に合わないために運休になったほどです。急な冷え込みで積雪の中には極端な温度勾配ができて、下部のクラスト気味の古い雪の層と新雪との間に弱層になるこしもざらめ雪もできたのではないでしょうか。その弱層がハイクアップ時の刺激で破綻して、クラストした古い雪の面を一気に新雪の層が滑り降りたと考えられます。
11月の立山では2005年にも浄土山の北斜面で雪崩が発生し死者が出ています。今回の雪崩事故のニュースで、バックカントリースキーヤーとしては雪山ではどんな時も慎重に行動しなければならないことを強く思いました。昨年受講したJANのアドバンスセイフティキャンプで学んだ事を常に肝に銘じて、これからのシーズンに臨むつもりです。
最後に、今回の悲運に遭遇した故人の冥福をお祈り致します。
Comments
大谷の急斜面のところでしょうか?
雪崩が起きても不思議ではないところですね。
時々バスに乗るとボーダーを見掛けますが。
Posted by: CIMA | November 30, 2010 11:51 PM
大谷の急斜面のところのようです。
ニュース映像ではアルペンルートにもデブリが流れ込んでいました。
高原バスが運行していれば、タイミングによってはやばかったかもしれませんね。
Posted by: マメゾウムシ | December 01, 2010 02:28 PM