富士山の強風の恐ろしさ:片山右京さんらの事故について
12月18日に元F1レーサーの片山右京さんらが富士山で遭難した事故の報道を見ると、私も自らが経験した冬富士の恐ろしさを思い出してしまいます。
実は富士山の強風によってテントの張り綱が切れて、3人が入ったテントが雪(氷)上を滑り出すという経験を私もしたことがあります。
もう16年も前の12月のことですから、片山さんらが登ったのとほぼ同じ時期で、登山口も同じ御殿場口からでした。
南米大陸最高峰アコンカグア遠征を控えての高所順応のための登山でした。
おそらくテントを設営した地点は、彼らが6合目付近に対して、私たちは7合目付近だったのではないかと思います。
オフシーズンで閉鎖された山小屋が建つちょっとした平らなテラスでした。
メンバーは3人で、就寝前にちょっと一杯やっていた時でした。
風が強くテントが変形するほど揺さぶられてはいましたが、小屋に直接張り綱を結んでいましたので大丈夫だろうと思っていました。
ところがそれまでにない突風がテントを叩くと共に、張り綱がブチッと切れて雪面を動き出したのです。
運良く1mも動かずにテントが止まってくれたため助かりましたが、もう少し滑っていたら斜面をテントごと滑落していたことでしょう。
そうなっていたらおそらく生きてはいないでしょう。
慌てて登山靴を履き、外に出て、テントのポール部分と小屋をザイルでしっかり結びました。
テントは激しく風で揺さぶられましたが、しっかりと固定でき、なんとか眠ることができました。
ただし、翌日テントを撤収すると、ポールは無残にも曲がっていて、もう使える状態ではありませんでした。
その時は山頂を踏んでから下山しましたが、その途中で滑落する登山者も目撃しました。
その登山者はちょっと足をひねったぐらいで済んだようですが、冬の富士山の恐ろしさを十分に知ることができました。
今回の片山さんらの事故では残念ながら2名が亡くなってしましました。
故人のご冥福をお祈り致します。
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