卒硏発表会のプレゼンテーション
昨晩ぐっすり寝たおかげでだいぶ調子が戻りました。
日常生活にはもう支障がありません。
さて、今日の教室会議(旧大阪女子大学のです)で、卒硏発表会のプレゼンテーションが問題になった。
1つは、学生への質問に対して、学生が答えられないと安易に指導教員が答えていた点。発表原稿を読みながら発表している学生も結構いたこと。
前者についてはすでに私もブログで触れているとおり同感である。しかし、原稿については卒論レベルでは読む学生がいてもある程度はやむを得ないと思う。ただ、原稿を読まないで発表するための努力はするべきかもしれない。発表原稿を作ること自体は、話す内容の論理を整理する点ではひじょうに効果的なことであるが、あくまでそのためだけに使うべきである。なお、効果的なプレゼンを行いたいのであれは、国立環境硏の竹中明夫さんの「学会発表の心得など」が大変参考になるだろう。
もう1つ問題にされたのは、一部の学生がアニメーションや漫画などを多用して笑いに走ったことである。ほとんどの教員は望ましくないという意見であった。それによって本質的な内容から聞き手の関心が笑いの方にずれてしまうという理由である。
私はそのような意見にかなりの違和感を感じた。私自身はそのようなプレゼンには特に抵抗も感じず、むしろそれによって興味をもってその学生の発表を聞くことができたように思う。その違いは一部ではそのようなプレゼンへの慣れのせいかもしれない。生態学関係では結構ユーモアの入ったプレゼンをする研究者がいる。また、欧米の研究者によるプレゼンの中にも、結構ユーモアの入ったスライドなどを拝見する。プレゼンにユーモアを入れること自体は、聞き手の興味を引く意味ではかなり効果的なことではないだろうか。特に学会ではたくさんの人が発表するわけで、聴衆は自分が関係する分野の話でなければボーッと聞いているだけのことが多いだろう。今回の卒硏発表会でも全くの分野外の話も聞く必要があるわけで、それぐらいの刺激がないとがんばって聞こうという気になれないのも正直なところである。そのような状況では、ユーモアの入ったプレゼンは聴衆を真剣に聞く気にさせる効果を持つと考えられる。また、そのようなプレゼンは聞き手の印象にも強く残る。そのため、大勢の発表者がいるにもかかわらず、名前を覚えてもらえる可能性が高いという宣伝効果もあるだろう。もちろんこれらは発表の内容があってのことである。ユーモアの入ったプレゼンはむしろ学会発表で推奨すべきことではないだろうか。
ただ、卒硏発表会は学会とは異なり審査の場でもあるので、やはり行き過ぎたユーモアはよくないこともあるかもしれない。今回の発表会ではかなりコテコテ的なユーモアの入ったプレゼンがあったことも事実である。どの程度までのユーモアならば許容範囲かはなんとも言えないが、卒論レベルでもあるし、学生が自主的に作成したものであれば、多少は大目にみてもよいように思う。また、大学が大阪にあり、関西出身の学生がほとんどである以上、学生が笑いに走るのは地域文化的にもある程度は許容してもよいとも思う。プレゼンに個性あるいは研究室の雰囲気が出ることも決して悪いとは思えない。要は研究の内容がしっかり聞き手に伝わったかどうかではないだろうか。
以上、プレゼンに入れるユーモアについて私の考えを述べたが、皆さんはどのようにお考えでしょうか?
ご意見いただければ幸いです。
本日の主な仕事内容
・教室会議への出席
・卒論添削
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Comments
はじめまして、ブログランキングからやってまいりました。樹木生理生態学やってるしがないD2の者です。私の大学も今日卒論発表会が行われています。プレゼンの地域性(お笑い傾向)、なかなかおもしろいと言うか、さすが大阪というべきか。にしても、やはりどこの大学も似たような問題が山積してるんですね。ちょくちょく拝見させていただきますので、以後よろしくお願いいたします。
Posted by: Tappy | February 23, 2006 09:59 AM
Tappyさん、コメント有り難うございます。
卒論レベルはなかなか難しいですね。
今後もよろしくお願いします。
Posted by: マメゾウムシ | February 23, 2006 02:37 PM
おう! ブログなんかやっていたんだね。
5日からのシンポはよろしく。準備する時間がなくて大変だけど。
プレゼンに関していえば、発表を聞く方にも発表の外見にとらわれず本質を
見抜く力量が必要ということかな。しかし発表者にも、プレゼンをおろそかに
するのは問題だとしても、まずは内容を高める努力を怠ってほしくないのも
事実だな。H大のHE氏とか、Q大のKEとかは圧倒的に「内容派」だね。
要はバランスか。アニメーションとかで内容をカバーしているような発表は
ダメだと思うね。まあ人の発表を見て、自戒を込めて自分を改める姿勢が
研究の質もプレゼンの質も高めてくれるかな。
すまんね、酔っぱらいのたわごとで。そろそろ寝るかな。たまたま迷い込ん
だけど二度とここにたどり着けいない気がする…。
Posted by: yama | March 01, 2006 01:04 AM
yamaさん、コメント有り難うございます。
おっしゃるとおりです。
アニメーションよりもまずは内容を高めることが最も重要ですね。
シンポでは飲みましょう。
Posted by: マメゾウムシ | March 01, 2006 05:48 PM