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December 20, 2005

性の進化

本日は今年最後の講義です。来週は休講です。

中百舌鳥キャンパスで「生物学2」の講義です。対象は1年生で、教養課程の生物学です。とにかくマクロ生物学の面白さに触れてもらうということで、進化生物学のトピックを毎回取り上げて講義しています。

今日のテーマは「性の進化」です。なぜ有性生殖が進化し、それも2つの性だけがなぜ進化したのかを説明しました。単位時間あたりの増殖率だけを考えると有性生殖よりも無性生殖の方が有利です。有性生殖にはコストもあります。繁殖相手を捜す必要性、減数分裂の手間など。にもかかわらずウイルスを除くほとんどの生物は有性生殖をします。細菌でさえ、接合という有性生殖をします。

有性生殖の特徴は、減数分裂およびその際に生じる組み替えによって、子の遺伝的多様性が高められるという点です。無性生殖では子は遺伝的には親と同じクローンです。突然変異が生じれば親とは遺伝的に異なることになりますが、それでも子の遺伝的多様性は有性生殖にははるかに及びません。子の遺伝的多様性を高めることが有性生殖の利点なのです。

では、なぜ子の遺伝的多様性が高いことが利点なのでしょうか? まずは環境が変化したときに適応進化で対応できる点です。自然選択による適応進化が起こるためには遺伝的変異が必要です。遺伝的変異の大きさは適応進化の速度に比例します。子の遺伝的多様性が高いほど、環境が変化しても、進化によって速やかにその環境に適応できるのです。

もう一つは寄生者への対応です。寄主(寄生される側)は寄生者に比べると、世代時間が長いなどで単位時間あたりの増殖率が劣るものです。そうなると寄生者の方が進化速度が速くなることからも、寄生者は寄主に適応してしまいます。一方、寄主は寄生者に対抗できる性質を進化させられず、一方的に寄生者にやられてしまうことになります。これを打開する策が有性生殖なのです。有性生殖により子の遺伝的多様性が高められ、寄生者の進化速度に負けないぐらいまで寄主の進化速度が速くなるのです。

では、なぜ性はオスとメスの2つしかないか?  これは卵と精子(配偶子)の大きさと数との関係で説明できます。生物個体が繁殖に使えるエネルギーには限りがあります。卵のような大きい配偶子を作ると、その分、数は減ります。一方、たくさんの配偶子を作ると、1配偶子あたりのサイズは小さくなってしまいます。大きい配偶子の利点は、栄養分が増えたことによる生存率の上昇です。一方、小さな配偶子の利点は、数の増大による異なる配偶子への遭遇確立の上昇です。中ぐらいの大きさの配偶子は、生存率の上昇および遭遇確立の上昇という点で中途半端です。中途半端な配偶子は当然進化しません。そのような理由で配偶子は精子と卵という2極化へ進化したのです。そして精子を作るのがオス、卵を作るのがメスということで、2つの性が進化したわけです。

学生の皆さんわかりましたか?

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Comments

新潟お疲れ様でした。アンコウ鍋もちゃんと召し上がれたようで、ようございました(笑)(あっ、茨城でのアンコウ鍋のお誘い、ありがとうございます~っ。是非!室内壁も☆)
寄生者への対応…それは知りませんでした。ぬぬ、勉強不足。生態学の概念って、誰が思いついたんだろう、すごいなあ、と思わせられるものが沢山あって面白いです。もっと言うと、生物という存在は本当にスゴイ。
性の進化について、またわらわら非常識な質問をするかもしれません。よろしくお願いします。
最近巷がクリスマスムードで、どこもかしこもイルミネーションが…ロマンチックなシチュエーションを気にする必要なんてさらさらない私は、エネルギーの無駄使いと木の健康が心配です(笑)

Posted by: maririn | December 21, 2005 at 03:25 AM

マリリンさん、コメント有り難うございます。進化生態学はひじょうに面白い学問です。質問がありましたら、どうぞご遠慮なくしてください。
しかし、クリスチャンでもない人達がなぜクリスマスになるとこう騒ぎ出すのでしょうか? 世間に簡単に流されるアホな日本人という感じがしてしまいます。

Posted by: マメゾウムシ | December 21, 2005 at 10:42 AM

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