October 09, 2017

憧れの槍ヶ岳北鎌尾根を完登!

槍ヶ岳の北鎌尾根! 北鎌尾根には登山道がついていないこともあり、その通過には、岩登りの装備・技術を要し、ルートファインディング能力も求められる。そのため戦前からバリエーションルートとして岳人を魅了し、厳冬期に、「単独行」で知られる加藤文太郎や「風雪のビバーク」で知られる松濤明が遭難死した場所としても知られている。
その北鎌尾根と私の縁は20代の時に遡るが、当時は山岳会の新人で、冬山デビューとして年末に常念岳に登った。その時に山岳会の先輩精鋭パーティーが登っていたのが北鎌尾根であった。先輩達は無事に北鎌尾根を完登し、なんとなく憧れを感じていた。それからなぜか北鎌尾根に行くという機会はなく、その後、厳冬期から残雪期の山行スタイルがスキー、夏のスタイルが沢になってしまったこともあり、特に北鎌尾根へ行こうという気持ちも湧かずに現在に至ってしまった。
そんな時に北鎌尾根に行く切っ掛けを作ってくれたのがBC仲間のしっきーである。今年の薬師岳BCの時に彼女から北鎌尾根に行きたいと聞き、女の子に誘われたら断れないというのもあるが、それなら行こうかとつい二つ返事してしまったのである。日程も平日に早々と押さえられてしまった。メンバーには他にしっきーの友人のKさんも加わり、出発の日を迎えたのだった。

【日程】2017年10月4日(水)〜6日(金)
【山域】北アルプス南部
【場所】槍ヶ岳 北鎌尾根
【メンバー】Kさん、しっきー、マメゾウムシ
【天候】10/4 曇りのち晴れ、10/5 晴れ、10/6 曇りのち雨
【コースタイム】
10/4 上高地バスターミナル7:12~徳沢園8:37~横尾9:22~槍沢ロッジ10:46~槍沢大曲11:56~水俣乗越12:55-13:15~北鎌沢出合14:52
10/5 北鎌沢出合4:38~北鎌のコル6:49~P9(2749m)8:09~独標トラバース開始8:51~P11(2905m)9:41~P13(2873m)10:31~北鎌平下12:32~槍ヶ岳13:13-35~槍ヶ岳山荘13:52~殺生ヒュッテ14:42
10/6 殺生ヒュッテ8:03~大曲9:19~槍沢ロッジ9:57-10:23~横尾11:22~徳沢園12:21-49~上高地バスターミナル14:12

今回は3人でパーティーを組むことになったが、私以外の2人は関東在住で、しっきーはすでに殺生ヒュッテ入りしていたので、1人ずつ集合場所ごとに加わっていくことになった。

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平湯温泉のあかんだな駐車場に早朝に到着し、始発のシャトルバスで上高地に入る。平日なのにバス1台は満員で、もう1台バスが出るとのこと。紅葉シーズンは平日でもそこそこ混むようだ。

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上高地バスターミナルで、東京からの高速夜行バスで来られたKさんと落ち合い、北鎌尾根への第1歩を踏み出す。まだ朝の上高地は静かだが、結構寒い。山は雲に覆われている。しっきーとは水俣乗越で落ち合う。

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横尾に着くと、青空が見え出す。平日なのに人は多いが、多くは涸沢に向かうようだ。

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槍沢ロッジに到着。

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涸沢の紅葉は有名だが、ここ槍沢も悪くない紅葉だ!

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大曲に到着。

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北鎌尾根を目指す登山者への注意喚起の看板!

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水俣乗越への急登を登る。初日では1番辛い箇所である。

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大曲から標高差400mを1時間ほどで水俣乗越に到着。しばらく休んでいると、殺生ヒュッテから下りてきたしっきーが合流。これでメンバー3人が揃った。

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水俣乗越からは登山道を離れ、天井沢へ下降する。ここからはバリエーションとなるので、何が起きてもよいようにハーネス・ヘルメットを装着する。

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足下が崩れやすいザレをスリップに注意しながら下る。

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出だしはかなり急なので、転がったら大変だ。

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下っていくと傾斜は緩んでいくが、落石には要注意だ。下の方にサルの群れがいるのが見える。

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北鎌尾根だ!

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下りていく我々を避けてサルが斜面を登っていくが、落石を起こすから困る。落石に気を付けながら高度を下げる。

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ガレガレを下るが、下から登ってくる人がいる。ガイドの多賀谷治さんたち2名でした。同行者の靴のソールが剥がれたので引き返してきたとのこと。お気の毒です。北鎌沢出合からコルにかけてのテン場や水場のことなど教えていただく。

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ここまで下りてくれば一安心。あとは北鎌沢出合を目指してダラダラと進む。

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水俣乗越方面をバックに。下りは慎重に下っても、高度を落とすのはあっという間だった。

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流れも出てくるが、イワナはいないらしい。

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水俣乗越から1時間半で北鎌沢出合に到着。この付近は伏流になっているので、水を汲むにはちょっと下る必要がある。

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北鎌沢出合には数張りのテントスペースがある。テントを張って、薪を集めて焚き火に火がついたら、とりあえずは乾杯! どうやら今日のこのテン場は我々だけのもよう。

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気温は低いが、焚き火のおかげで身体が温まる。持ち上げたお酒がなくなったところで就寝となった。

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翌日は3時に起床し、まだ暗い4時40分に出発。氷点下まで気温が下がったのか、周囲には霜が降りていた。空には星も出ていて、天気は良さそうだ。今日は北鎌尾根を進む長い行程が待っている。

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急な北鎌沢右俣を登る。登山靴を履いた沢登りである。途中、しっきーのためにお助けスリングを出す。

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北鎌沢出合から北鎌のコルまで標高差600mを一気に登ることになるのだが、かなりキツい!

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右俣は途中、伏流箇所もあったが、結構流れは上まで出ていた。

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出合から2時間10分で北鎌のコルに到着! コルには2張りぐらいのテントスペースがある。下からは誰も上がってこないので、どうやら北鎌尾根を我々だけで貸し切りできそうだ。

Releef

北鎌のコルにあったレリーフ。気が引き締まる。遭難者のご冥福をお祈りします。

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いよいよ北鎌尾根上を進みます!

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なかなか険しそうだが、独標までは踏み跡を追えば大丈夫。

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夜は氷点下まで冷え込んだからか、つららができている。

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北鎌尾根上での最初の難場である独標が姿を現す。

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北鎌のコルから独標までは標高差が400mあり、アップダウンもあるので辛い所である。

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いよいよ独標のトラバースに入る。トラバースの起点にはフイックスロープがある。

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かなりの高度感がある。もちろん落ちたら死にます。

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足下はザレていて、その下は切れ落ちているので緊張する!

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上部からの落石にも注意が必要!

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コの字岩は、姿勢を低くして通過しようとするとザックが引っかかる。一歩外側に踏み出した所にスタンスがあるので、そこに右足を置けば、容易に通過はできる。下は切れ落ちています。

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トラバースを終えて一息といきたいところだが...

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チムニーを登らねば。

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その後は尾根への直登。3点確保を守れば、充分にロープ無しで登れます。

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独標の巻きを終えて尾根に戻ると、槍の穂先がついに姿を現す。

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独標から先は巻くか直登かのルートファインディングが求められる。アップダウンが続く。

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P11からの槍ヶ岳。最高の眺めです!

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直登! 登攀レベルは平易です。

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せっかく登っても下ることが多い!

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最高の眺めを味わえれば、苦しさも吹き飛ぶ!

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P13を通過!

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槍の穂先も近づいて来た!

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緊張するクライムダウン!

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P14を越えて、大槍の前には、P15が立ちふさがる。

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千丈沢側にP15の巻きに入る。

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尾根に戻らねば。

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P15を巻いた後も、しばらく千丈沢側を巻いてしまったので、尾根に戻ったときにはすでに北鎌平の上にいました。尾根上からの東鎌尾根の眺め。水俣乗越は尾根中央の1番低い所です。

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いよいよ大槍への最後の登りに入ります。

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急登になりますが、登攀レベルは高くはない。3点確保を守ればノーロープで行けます。

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最後のチムニーの登りもロープを出すことなく。

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そしてついに!

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北鎌尾根を完登して槍の穂先に立ちました! 山頂にいた登山者から祝福の拍手喝采を受けました! ありがとうございました!

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山頂から登って来た北鎌尾根を見下ろす!

Fuji

山頂からの富士山!

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穂高方面の眺め!

Shiki

北鎌尾根のヤスリのような鋭い岩で指先を切ったしっきー。私はiPhoneの指紋認証が数日できなくなりました。

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槍の肩で記念撮影! 風もほとんどなく、暑くも寒くもなく、終始よい天気でした。

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今宵の宿である殺生ヒュッテへは東鎌尾根経由にて。

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なぜならば登って来た北鎌尾根が眺められるから。

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天井沢と東鎌尾根。

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殺生ヒュッテにて、北鎌尾根完登祝いの宴となりました。これは1人で飲んだわけではないですよ!

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快適な夜を殺生ヒュッテで過ごし、3日目は下山のみ。

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二日酔い気味の身体で、遅め出発にて、上高地への長い下山へ。さらば槍ヶ岳!

Iwana

槍沢では尺イワナが悠々と泳ぐ!

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徳沢から雨が降り出すが、ここまで来れば問題ない。親父のようなサルが悠々と食事中!

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観光客の多い上高地に下山。東京へ帰る2人とはここでお別れ。私は1人、平湯へのシャトルバスに乗って上高地を後にした。

天気と仲間に恵まれた感動の槍ヶ岳北鎌尾根でした。おまけに我々だけで北鎌尾根を貸し切り。多くの岳人が憧れる理由もわかりました。最高のロケーションです。無雪期は比較的容易に行くことはできますが、ちょっとした油断が事故につながるところでもあります。たとえ使わなかったとしても、ロープなどの登攀具一式は保険として持っていくべきでしょう。バリエーション慣れしていて、ルートファインディングが的確にできる経験者の同行は必要です。うちのワンゲル部員達もこれぐらいのところには行けるようになってほしい。


記録動画も作りましたので、こちらもご覧下さい。

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